デキる!社員の育て方~子育て経験との対比~

第4回

コミュニケーションに逃げるな

奥野 政樹 2015年6月25日
 
~大人はホウレンソウなんかしない~

 僕がキャリアを重ねてくる中で、コミュニケーションの大切さやホウレンソウの必要性を唱えている人に何人も出会った。最近では、その為のマニュアル本や研修まで出回っている。しかし僕は、そういうことを唱えている人とコミュニケーションを図りたいと思ったことはないし、そういう人に報告・連絡・相談したいと思ったこともない。したところで何をしてくれるわけではなし、意味がないからだ。

 大体、そういう人がコミュニケーションが大切だと唱えるのは、穏やかな空気の中でぼんやりと浮遊して、おいしい時だけ分け前にあずかり、割の合わない時には隠れているためだし、ホウレンソウの必要性を唱えるのは、自分だけが何かを知らないという状況になることを回避するためだ。そこには、闘って何かを得ようという自我が決定的に欠けている。あるのは、協調という名の事なかれ主義である。こういう人と一緒に何かをやっても、物事はさっぱり進まないから、自分が成長できない。

 一方闘う人というのは、勝つために必要な情報は自分で獲りに来る。ホウレンソウを待ったりは絶対にしない。また状況の分析においても、誰かが何を言ったとかいう言葉を鵜呑みにしたりは決してしない。自分が培ってきた研ぎ澄まされた感性で状況を把握するのである。コミュニケーションやホウレンソウなどというのは、前もってやるべきものではない。まず行動ありき。お互いの行動の中で状況が生まれ、それをお互いに読み合い、さて協働でもするかという時に最低限行えばそれで十分なのである。つまり、後追いで全然構わないということだ。

 育児でも、お友達を大事にすることばかりを教え、何でもお話し合いで決めなさいでは、子供は成長しない。そもそも、自我をむき出しで喧嘩をしたこともない子供が、どうして平和的に話し合うなどと言う高等技術を習得できるというのか。子供は話し合いなどできないのだ。それを大人が話し合ったかのような外形だけ整えて自己満足しても仕方がないであろう。

 何でもちゃんと説明しなさいも駄目だ。説明なんかできても仕方がないのである。大切なのは行動の結果が自分に跳ね返ってくるということ。そしてその結果は自分が受け止め、どうにかしなければいけないということを学ぶことなのである。

 会社だって同じだ。社員を育てたいなら、社員に闘いの場を用意する必要がある。そしてもっと大事なのは、育てる側が闘っている姿を見せることだ。そうすれば、周囲も一緒に闘うようになり、成長する。コミュニケーションやホウレンソウが強要されるような疑似空間では、人は萎えるだけである。
 
 

プロフィール

インターナップ・ジャパン株式会社
代表執行役CEO 奥野 政樹(おくのまさき)

<略歴>
1988年 早稲田大学法学部卒業
1988年 日本電信電話株式会社入社
1992年 会社派遣によりニューヨーク大学法科大学院へ留学
1994年 ニューヨーク州弁護士資格取得
     帰国後、数多くの国際M&Aプロジェクトで交渉を担当
2003年 インターナップ・ジャパン株式会社へ出向
2006年 同社代表執行役CEOに就任、現在に至る


HP:インターナップ・ジャパン株式会社

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