【事業承継】 事業と家族を守るための親の心得と対処法

第1回

親が納得できない結婚相手をどうする?

FORTUNA GROUP株式会社  村田 弘子

 

~親の反対を乗り越え、家族の絆を深め、事業を未来へ繋ぐ結婚相談~

お子様の結婚は、親御様にとって人生における最重要事項の一つ。特に、同族経営や家業を承継されているご家庭においては、「家」と「家」が結びつくという重大な意味を持つだけに、お相手の方に「本当に大丈夫なのか?」とご心配されるのは当然のことです。

しかし、感情的な反対意見を押し付けてしまうと、お子様との関係がギクシャクし、最悪の場合、事業承継にも影響を及ぼしかねません。

「どうしてもこの相手とは結婚してほしくない!」そう思われた時、親御様はどのようなアクションを取るのが最善なのでしょうか?

本記事では、事業承継を控えるファミリービジネスの経営者である親御様が、結婚相手への懸念がある時に気をつけたいポイント、お子様との良好な関係を維持しながら、建設的な話し合いを進めるための具体的なヒントをまとめました。さらに、事業承継を見据えた結婚相談という新しい選択肢もご紹介いたします。

1. なぜ親は反対するのか?創業家が抱える結婚の悩み

親御様が結婚に反対する理由は多岐にわたりますが、創業家特有の事情も存在します。

●事業への影響:同族経営や事業承継を考えている場合、お相手の家柄や価値観が、会社の経営方針や企業文化に直接影響を与える可能性があります。「創業精神を深く理解し、事業の発展に貢献する気持ちのある方か」など、事業継続に関わる不安は少なくありません。特に、結婚後に配偶者が家業の経営方針に反対したり、後継者育成に非協力的な場合は、深刻な問題に発展しかねません。

●ライフプランの相違:「息子には家業を支え、家庭を守る専業主婦タイプの相手を望んでいたのに、相手はバリバリ働くキャリアウーマン」「高齢出産のリスクが心配」など、ライフプランのイメージが異なると、親御様としては将来設計に不安を感じてしまいます。

●経済状況・価値観の懸念:一般的な経済状況や金銭感覚に加え、創業家においては、経営の厳しさを理解し、会社に貢献してくれる人物かどうかは重要な判断基準となります。「浪費癖があるのでは?」「会社の資産目当てなのでは?」といった疑念は、親御様の心を締め付けます。

●恋愛感情による判断への疑念:親御様から見れば、「子供が恋愛感情に溺れて、冷静な判断ができていないのでは?」と心配になるのも無理はありません。結婚は、単なる恋愛感情だけでなく、経済的な安定や将来設計など、様々な側面を考慮する必要があるからです。

2. 強引な反対が招く3つのリスク

感情的な反対は、一時的な問題解決にはなるかもしれませんが、長期的に見ると大きなリスクを伴います。

●親子関係の破綻:無理やり結婚を反対すると、お子様は「自分の人生を親にコントロールされた」と感じ、大きな心の傷を負う可能性があります。最悪の場合、絶縁状態となり、事業承継どころか家族の絆そのものが失われてしまうこともあります。

●結婚へのトラウマ:「結婚は幸せなもののはずなのに、親に反対されて辛い思いをした」という経験は、結婚そのものに対するトラウマとなり、その後の恋愛や結婚生活に悪影響を及ぼす可能性があります。

●事業承継の危機:後継者であるお子様との関係が悪化すると、事業承継そのものが困難になります。親御様がどれほど事業を継いでほしいと願っていても、親子関係が修復不可能な状態では、スムーズなバトンタッチは望めません。

3. どうしても反対したい…建設的な話し合いのための5つのステップ

どうしても結婚に賛成できない場合でも、感情的に反対するのではなく、建設的な話し合いを通じて、お子様の幸せと家族の未来を守る方法を模索しましょう。

●反対理由の明確化:まず、「なぜ反対するのか?」その理由を具体的に整理しましょう。「育った環境が違いすぎる」「宗教観が相容れない」など、明確な根拠を明確に伝えることが大切です。「ダメなものはダメ」という感情的な言葉ではなく、論理的に説明することで、お子様も納得しやすくなります。

●一度で誠実に伝える:親御様の気持ちを伝える際は、一度の話し合いで、できる限り誠実に、かつ簡潔に伝えましょう。何度も同じことを繰り返すと、お子様は「親は自分の意見を聞く気がない」と感じてしまいます。

●「最終的に決めるのはあなた自身だ」

●「ただし、親としては、〇〇という理由で心配している」

●「一度きちんと話したからには、あなたの判断を尊重する」

●このように、ある程度割り切った姿勢を見せることで、お子様も冷静に考え、真剣に向き合ってくれるはずです。

●時代の変化を理解する:現代の若い世代は、親や親族からの祝福を重視する傾向があります。感情的に罵倒するよりも、冷静な反対意見の方が、お子様の心に響く可能性が高いでしょう。

●お子様の気持ちを丁寧に聞く:「相手のどんなところが好きか」「将来のビジョン」「家業への貢献意欲」など、お子様の考えをじっくりと聞き、理解しようと努めましょう。結婚のタイミングで事業承継についても話し合うことで、お互いの本音を知る良い機会になります。親御様が耳を傾ける姿勢を示すことで、お子様も「親は自分の幸せを真剣に考えてくれている」と感じやすくなります。

●将来像を共有する:同族経営や家業の場合、結婚相手にも何らかの形で協力してもらうことになるでしょう。「どのような役割を担ってほしいか」「会社や家をどう盛り立てていきたいか」など、具体的な将来像を語ることで、お子様とそのパートナーの意識も高まります。単に反対するだけでなく、「〇〇という懸念があるから、〇〇してもらえると助かる」という前向きな提案にすることで、感情的な対立を避けることができます。

4. 親子関係を壊さないための3つの心得

建設的な話し合いを進める上で、親子関係を良好に保つことは非常に重要です。

●日頃からのコミュニケーション:結婚を具体的に考え出す前から、パートナー選びや結婚観についてオープンに話し合う時間を作りましょう。思春期から社会人にかけて、継続的に対話を重ねることで、いざ交際相手を紹介された時も、お子様は親御様の価値観を理解しやすくなります。

●相手への理解:お子様のパートナーを頭ごなしに否定するのではなく、まずは一人の人間として尊重し、理解しようと努めましょう。食事に招待したり、趣味の話を聞いたりすることで、新たな一面を発見できるかもしれません。

●第三者の視点:どうしても感情的になってしまう場合は、信頼できる友人や親戚、専門家などの第三者に相談し、客観的な意見を聞いてみましょう。

5. 新しい選択肢:オーナーのための事業承継を見据えた結婚相談

親御様が結婚相手に不安を感じる理由の一つに、「事業承継」の問題があります。後継者不足が深刻化する現代において、事業を未来へと繋げるためには、結婚相手に深い理解と協力が不可欠です。

そこで、近年注目されているのが、「事業承継を見据えた結婚相談」という新しいサービスです。

これのサービスでは、創業家や事業承継を控えるご家庭の事情を理解した専門のコンサルタントが、結婚相手の選定から、ご両家間のコミュニケーション、結婚後の事業承継計画まで、トータルにサポートするというものです。します。

メリット

●事業承継に理解のある相手探し: 創業家特有の価値観や経営方針を理解し、事業承継に協力的なパートナーを見つけることができます。

●両家間のスムーズなコミュニケーション: 専門家が間に入ることで、両家間の意見の相違を円滑に調整し、良好な関係を築くことができます。

●事業承継計画のサポート: 結婚を機に、具体的な事業承継計画を立て、スムーズなバトンタッチを支援します。

まとめ:結婚はスタートライン。親子の絆を深め、事業を未来へ繋げる

お子様の結婚は、家族みんなの新しい物語の始まりであり、同族経営の家業にとっては、未来を左右する重要な分岐点となります。

一方的な反対や感情的な強制は、お子様の人生に大きな傷を残しかねません。建設的な話し合いを通じて、お互いを尊重し、祝福できる形を目指したいものです。


当相談所では、税理士・公認会計士・弁護士はじめ、専門家との協力のもと、ファミリービジネスアドバイザーとして創業家・事業承継特有の事情に精通した上で、下記のようなサポートを提供しております。

●お子様や親御さんと話しづらいセンシティブな内容について、どう家族の話し合いを始めたらよいかを考え、アドバイスいたします。

●企業理念や社風、家族の絆を理解するふさわしい人物をお探しするなかで、個人の幸せと事業の永続した発展に寄与いたします。

まずは無料相談へ

「子供の結婚相手に不安がある」「事業承継のことも考えると、誰に相談していいかわからない」そんなお悩みをお抱えの経営者様、まずは当相談所の無料相談をご利用ください。

事業承継に精通した専門家が、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案いたします。

結婚はゴールではなく、人生の新たなスタートであり事業承継成功の最初の扉。親子の絆を深め、事業を未来へ繋げるために、今こそ一歩踏み出しましょう。

お気軽に現状をご相談ください。
お問合せはこちら

 

プロフィール

FORTUNA GROUP株式会社
代表取締役 村田 弘子(むらた ひろこ)
一般社団法人事業承継結婚推進機構代表理事
FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定証保持者

創業70年の老舗会計事務所の2代目妻として、3代に渡る顧問先との深い信頼関係の中で、事業承継における婚活支援の必要性を実感。マッチングアプリ全盛の中、伝統的な「お見合い」の価値を再認識し、事業承継の専門家と協力して、日本のファミリー企業の親族内承継を支援。「個人の幸せと事業承継の両立」をミッションに、全国に専門仲人を養成し、家業の永続した発展と地方創生に尽力している。事業承継学会、海外シンポジウムでは、少子化の中での事業承継の解決策を毎年発表し、各地の経営者の会では、経営者が知っておくべき後継者の婚活事情について講演。著書に「事業承継結婚という家族戦略」「絶対に間違ってはいけない経営者の妻選び」「娘が大学を卒業したら親がすぐに読むべき婚活の教科書」他


Webサイト:FORTUNA GROUP株式会社

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