第2回
組織改革コンサルへの『丸投げ』が失敗を招く理由。失敗しないための4つの確認ポイントと事例
アーティエンス株式会社 執筆
「組織を変えたいと思い切って外部のコンサルティング会社に依頼した。なのに、半年経っても現場は何も変わっていない」そんな声を、中小企業の経営者・人事担当者からよく耳にします。
高い費用を払い、立派な提案書も受け取ったはずなのに、実際に変わったという実感がない。それどころか、社員からは「また新しい取り組みが始まった」という冷めた反応が返ってくることさえあります。
実は、この結果を招いている原因の多くは、「コンサルタントに任せれば組織は変わる」という「丸投げ」の姿勢にあります。組織改革は、外部の専門家が代わりに実行してくれるものではなく、社員自身が当事者として進めるものだからです。
裏を返せば、依頼の仕方を少し変えるだけで、同じコンサルティングサービスでも結果は大きく変わります。本コラムでは、組織改革・変革コンサルティングが「丸投げ」になって失敗する仕組みと、依頼する前に確認しておきたい4つのポイント、そして事例をお伝えします。
なぜ「丸投げ」だと組織改革は失敗するのか
組織改革がうまくいかない最大の要因は、「高いお金を払ったのだから、あとはコンサルタントが変えてくれるだろう」という「丸投げ」の姿勢にあります。
この丸投げの姿勢が失敗を招く背景には、大きく2つのポイントがあります。

理由1:改革を実行し、定着させるのは外部ではなく社員自身だから
コンサルタントがどれだけ優れた分析や計画を示しても、それを実際に行動に移し、日々の仕事のなかで定着させていくのは、社内の一人ひとりです。つまり、丸投げによって「計画をつくるところまで」を外部に委ねることはできても、「実行し、根づかせるところ」まで委ねることはできません。
どれほど精度の高い診断や計画であっても、それが日々の会議や判断の場面で実際に使われなければ、施策は「配られて終わり」になってしまいます。
研修や説明会を一度実施しただけで満足してしまうと、その場では腹落ちしたはずの内容も、数週間後には普段の仕事の進め方の中に埋もれてしまいがちです。
理由2:目的を自分たちの言葉で持てていないと、提案の善し悪しを判断する基準を持てないから
自社が「何を目指しているのか」を自分たちで見出せていないと、示された提案が自社に本当に合っているのかを判断できず、それらしく見える施策をそのまま受け入れることになりがちです。結局のところ「良さそうなことをやってもらう」だけの丸投げになり、思うような成果が出なくても、何を基準に見直せばよいのか分からず、軌道修正できないまま走り続けてしまうことになりかねません。
「本当は何を目指しているのか」を自分たちの言葉で見出せていないことを乗り越えるには、そもそも組織改革コンサルティングを導入する目的とは何かを、あらためて捉え直しておく必要があります。
組織改革コンサルティングを導入する目的は、突き詰めれば「企業として存続していくために、変化の激しい時代に適応できる組織へ進化すること」です。
とはいえ、最初から「目指す姿」を言葉にできている企業は多くありません。
最初のご相談では、「業績を伸ばしたい」「リーダーシップを強化したい」「組織文化を良くしたい」といった目的が多く挙がります。しかし、そこで立ち止まらず、「なぜそれを成し遂げたいのか」「自組織はどのような存在でありたいのか」まで掘り下げて考えます。
すると徐々に目的や課題がしだいに自分たちの言葉として輪郭を持ち始め、表面的ではない本質的な対策を考えられるようになります。
そこを掘り下げることなく、目的や施策の判断そのものを外部に委ねてしまっていると、コンサルタントが去った瞬間に元の状態へ戻ってしまう、あるいは制度だけが残って現場は何も変わらない、ということが起こりやすくなります。
このように、コンサルティング会社を探す前に、まず自分たちで目的と課題を言葉にしておくこと、そして依頼する際にも「丸投げ」にならない進め方を選ぶことが、組織改革を成功させる最初の分かれ道になります。次に、依頼前に確認しておきたい4つのポイントを見ていきましょう。
丸投げにしないために、依頼前に確認したい4つのポイント
組織改革・変革コンサルティングサービスの導入でよくある失敗をもとに、依頼前に確認しておきたい4つのポイントを見ていきましょう。

1. 「パッケージ商品」をそのまま勧めてこないか
決まったフォーマットや汎用的なプログラムを、自社の事情を踏まえずにそのまま当てはめる提案には注意が必要です。人がひとりひとり違うように、組織もまた一社一社違います。業種・規模・歴史によって課題が複雑に絡み合っているため、パッケージだけで簡単に解決できるとは限りません。
ただ、サーベイやシステムの導入自体は、パッケージ型のほうが向いていることも多く、それ自体が悪いわけではありません。その枠組みを使いながら、自社に合った組織改革・変革を進められるかどうかが重要です。
自社の状況をどれだけヒアリングしたうえでの提案かを確認しましょう。
2. 社員が「当事者」として関わる設計になっているか
「せっかく高いお金を払ってコンサルタントを入れているのだから、全部やってもらおう」という姿勢でいると見落としがちなのが、このポイントです。
コンサルタントが分析し、コンサルタントが計画を立て、コンサルタントの言うままに実行する、というお任せの進め方では、社員にとって組織改革はいつまでも「他人事」のままで、実際には何も変わらないということも起こります。それどころか、コンサルタントが去った後に元に戻ってしまう、あるいはかえって状況が悪化してしまうことさえあります。
ヒアリングの機会が設けられているか、対話を通じて社員の意見を取り込む工程があるかを事前に確認しておくと、丸投げになるリスクを減らせます。
組織改革・変革は、当事者である社員がメインで進めていくもの、という意識を持つことが重要です。
3. 自社の課題を実際に得意としている会社か
コンサルティング会社にも、それぞれ得意分野があります。経営理念の策定が得意な会社もあれば、組織構造の設計が得意な会社、現場のファシリテーションが得意な会社もあります。
何でも引き受けると答える会社より、自社が今抱えている課題(例えば「理念が浸透しない」「次世代のリーダーが育っていない」など)を具体的に伝えたときに、経験に基づいた答えが返ってくるかどうかを見極めましょう。
得意分野を尋ねたときに、実際に手がけた案件でどのような工夫をしたのかまで具体的に語れるかどうかも、判断材料のひとつになります。
自社の業種や規模に近い実績があるかどうかも確認しておくと安心です。
4. 考え方がアップデートされているか
組織開発の考え方は、時代とともに更新され続けています。たとえば、経営者が描いたビジョンを一方的に社員へ伝えて浸透させようとする、ビジョン共有のやり方は、以前は主流でした。
しかし、今は社員一人ひとりが自分自身のありたい姿を持ち寄り、対話を通じて共通のビジョンを紡ぎ出していく、共有ビジョンという双方向のアプローチが重視されるようになっています。一方的な伝達では、社員にとってビジョンが他人事のままになりやすいためです。
何年も同じ手法・同じ資料で進めているコンサルティング会社でないかを確認しましょう。定期的に手法を見直しているかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。
こうして4つの確認ポイントを事前に押さえておけば、コンサルティング会社との最初の面談自体が「丸投げにならないための土台づくり」になります。
【事例】パワハラ・セクハラ撲滅と職場環境改善による組織変革
従業員50名程度の部品メーカーで、ハラスメントが常態化していた工場が、対話を通じて社員自身が動く組織へと変わった事例をお伝えします。
この企業は、工場内でパワーハラスメント・セクシュアルハラスメントが多発している状態でした。特に工場長は、自身が可愛がっている社員には優遇措置をとり、そうでない社員に対しては強圧的な指導や差別的な扱いを行っていました。
社労士による研修や警告は行われましたが、工場長の権威が強く改善に繋がらなかったとのことで、当社にご相談をいただきました。
そこから現状とありたい姿を丁寧に確認していき、最終的に組織改革プロジェクトが立ち上げられることになりました。
その一環として実施したのが、工場全体を巻き込む形で、本社役員・人事・工場長・課長・中堅・若手・契約社員まで、立場の異なる社員が一緒に課題を話し合うワークショップです。
参加者が自分で議題を提案し、それに基づいてグループディスカッションを行うオープンスペーステクノロジー(OST)という手法を用いて実情に合わせて場を設計し、当事者である社員自身が課題と向き合う場をつくったことがポイントです。
当初、工場長は改革に強く抵抗していましたが、対話の場に加わるうちに、最終的には自ら施策を考えるチームに参加するようになりました。
結果として、ワークショップで関係の質が向上し、ハラスメントは撲滅されました。また、工場長自身も翌年に本社へ栄転し、現場のノウハウを仕組み化する側に回るまで意識が変わりました。
「外部に任せて終わり」ではなく、当初もっとも抵抗していた当事者自身を議論の輪に入れ、自分たちの言葉で「どうありたいか」を見出してもらったことが、変化に繋がりました。
このようにコンサルタントが、当事者である社員自身が目的を自分たちの言葉にできるように設計すると、一時的ではない組織改革を促すことができます。
ここで紹介した事例のほかにも、アーティエンスが支援した組織改革事例があります。自社の状況と重なるところがあるかもしれませんので、どのような変化を得られるのかぜひご覧ください。

今日からできる、最初の一歩
組織改革を進めたいと思った際、コンサルティング会社を探し始める前に、社内でできることがあります。
それは、「今、何に困っているのか」「本当はどうありたいのか」を、経営者・人事だけでもよいので、自分たちの言葉で書き出してみることです。
課題とありたい姿は表裏の関係にあることが多く、たとえば「業績が伸び悩んでいる」という課題の裏には、「業績が伸びた先に、どんな組織でありたいか」という、本当に実現したい姿が隠れています。
この言語化ができていると、コンサルティング会社との最初の打ち合わせで「何を相談したいのか」が明確になり、パッケージを勧められたときにも「それは自社の状況に合っているか」を判断しやすくなります。
組織改革をコンサルタントに丸投げするのではなく、コンサルタントにサポートしてもらいながら自社の中で目的を持って対応していくようにしましょう。
「丸投げ」にしない組織改革コンサルティングは、アーティエンスにご相談ください
「4つのポイントは分かったが、自社の場合はどこから手をつければいいか分からない」
「目的や課題の言語化を、一緒に整理してほしい」
そんな方は、ぜひ一度アーティエンスにご相談ください。
私たちアーティエンスは、研修サービスと組織開発コンサルティングを通して、丸投げにせず社員自身が当事者として進められる組織改革の仕組みづくりを支援しています。対話を通じて各社の状況に合った進め方を一緒に考え、目的の言語化から実行・定着までを一気通貫でサポートいたします。
執筆者

大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。20年以上にわたり自らファシリテーター・講師として現場に立ち続け、大手企業から成長期のベンチャー企業・中小企業まで、500社以上の人材育成・組織変革を支援。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
プロフィール

アーティエンス株式会社は、2010年9月の設立から16年にわたり、新入社員から管理職・経営者まで各階層を対象とした研修・組織開発コンサルティングを提供しています。導入企業数は600社以上にのぼり、大手企業から成長期のベンチャー企業・中小企業までサービスを提供してきた実績があります。同社の特徴は、研修を「実施して終わり」にしない伴走型のスタイルにあります。企画段階からお客様と共に考え抜き、当事者意識・主体性・自律の醸成やリーダーシップ開発といった各社固有の課題に合わせて内容を設計します。さらに研修と現場を繋げるサポートもしており、学びの定着と行動変容が継続する仕組みまで一気通貫でサポートしている点も特徴です。
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⚫︎ホワイトペーパー:組織開発・研修に関するお役立ち資料
Webサイト:アーティエンス株式会社
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