人事制度 新時代

第3回

変化の時代生き抜く「理念」不可欠

 

企業の損害価値をあらわす企業理念を掲載した社員手帳

かつての日本でも、理念やクレド(信条)ブームがありました。それは、江戸時代の享保年間に遡(さかのぼ)ります。

元禄のバブルがはじけ倹約の時代となり、幕府や各大名に対して身分の上でも最下層であった商人にとっては受難の時期を迎えます。金もうけを悪とし、社会の役に立たないただバブリーな会社は必要なくなったのです。

多くの会社は、商売の原点に立ち戻り、家訓を作って、世のため人のためになる商売の骨組みを真剣に考えました。例えば、当時海外向けに銅の生産をしていた住友家には、「信用を重んじ浮利を追わず」という有名な家訓があります。

江戸から現在まで続いている多くの企業は、この享保の時期にこのような家訓を作って、変化の時代を生き抜いてきたのです。

そして今、同様のことが起きています。震災を経て節目を迎えた今こそ、個々の会社が社会に対して明確な存在理由を持たないと、市場から「無駄なモノはいらない」「NO!」と言われかねない状態に来ているのです。

バブルの頃までは、理念や価値観がそれほどしっかりしていなくとも「高機能」「低価格」な商品を作るという命題さえしっかり捉えておけばよかった時代は終わりを告げ、「何のためにわれわれは存在するのか?」という「働く意義」を明確に示していかなければならない時代に突入しました。

現代は、幕府ではなく消費者の目が、いい加減な経営をしている会社の存在を許しません。これからの時代の消費は、自己投影型社会です。グローバル化が進む中で、自分自身を高めてくれ、日本のアイデンティティーを大切にしたいという「日本文化」を反映した商品サービスが売れています。

「人に地域に環境にやさしい持続可能な社会」といった大きな物語のもとで、一社一社が小さな物語を紡いでゆく、そのような行動が今、企業に求められているのです。

第3回コラム執筆者

【プロフィール】

矢萩大輔

 やはぎ・だいすけ 人事・労務代表取締役、日本ES開発協会会長。明治学院大卒。大手ゼネコン勤務を経て1995年、26歳で社会保険労務士として開業。その後、人事・労務を立ち上げ、「人を大切にする経営」を目指す経営者のための日本ES開発協会を主宰。貨幣を超えた新しい時代を生き抜く企業のイノベーションを支えるES(従業員満足)人事制度の導入に力を入れる。

 
 

プロフィール

有限会社人事・労務

現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。

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