人事制度 新時代

第1回

一人の優秀な社員だけで会社は維持できない

 

昨年度の人事に関する相談事例からは、震災の影響からか査定がシビアになっていることがうかがえた。その流れはますます強くなる傾向があり、今年度の昇給・昇格についても、今まで一次・二次考課者に任せていた人事考課に対し、社長自ら考課結果に介入してくるケースが一段と増えています。私には、今までの査定主義の人事制度から大きな転換期に入ってきていると思うのです。

研修風景

「社長のぼやき」ベスト3を紹介しましょう。1位は幹部たちの評価と社長が考える評価の食い違いで、「どうしてこんな身勝手な社員をうちの幹部は、“A”評価にするのでしょう?」というものでした。2位は考課項目の変更。もっと自社のために頑張る社員を評価する仕組み。「お金だけ稼いでくる社員も必要だが、そういうことではないのだ!」といったもの。そして3位は若い社員・優秀な社員の定着。「求人を出しても、ろくでもない若者ばかりが応募してくる。何かが違う!」という話でした。

みなさんの会社でも同じようなケースは起きていませんか?。これらの問題は実は震災前から起きていました。しかし、震災から1年が経過した今になって、加速度的に表面化していると言うのが現状です。

今は、一人の優秀な社員だけで会社を維持していくには、限界が来ています。市場は「モノ」から「コト」へと変化しています。グローバルな視点からまず見てみましょう。

「高性能」で「低価格」な商品を大量に、というかつての日本を含めた先進国のビジネスモデルは「中国」や「インド」の経済的発展を背景に行き詰まりを見せ始めています。今や日本の企業が中国やインドと同じ土壌で戦ってもやる前から勝負が付いています。

日本の将来は、デンマークやスイスのように、良い商品を高価格で少量販売するというビジネスモデル、そしてクリエーティブな商品サービスを市場に向けて開発することが急務の事項であるといえます。

私もかつてデンマークに視察に行きましたが、ロイヤルコペンハーゲンやジョージジャンセン、ヤコブセンといった、クリエーティブで洗練されたデザイン性の高い商品がそこにはありました。北欧の豊かな高い文化基準は、良い商品を作る職人たちと高額な賃金水準、そして、豊かな社会へとつながっているのです。

 
 

プロフィール

有限会社人事・労務

現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。

http://www.jinji-roumu.com/inbp.html
http://www.jinji-roumu.com/jinji/
http://www.jinji-roumu.com/es/esr-jinji.html


Webサイト:有限会社 人事・労務

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