ダイバーシティ新時代のES組織変革

第2回

目標管理は“業績を測るための手段”から変化

矢萩大輔 2016年6月8日
 
 前回は、ダイバーシティ経営によって中小企業のイノベーションを推し進めるために重要な“目標管理”について、今改めてその必要性が高まってきている背景をご説明しました。

 「キャリアに対する視点の変化」に続き、二つ目の背景としては、「組織のカタチの変化」があります。

 これまではピラミッッド型組織が主流でした。トップダウンの指示で物事がスピーディに伝わりやすいピラミッド型組織は、統制と効率化という点で右肩上がりの経済成長においてはメリットが大きかったと言えます。しかし、変化が激しくより複雑な問題に直面することが増えてきた現代においては、リーダーが解決しきれない問題に直面してしまうと、組織そのものが機能しなくなってしまいます。

 そこで理想的な組織のカタチと言えるのが、ネットワーク型です。ネットワーク型組織では、メンバーは、縦方向ではなく横方向に繋がり合い、課題に応じてリーダーが流動的に変わります。プロジェクトごとにその案件を得意とする人がリーダーになっていきます。また、ピラミッド型組織ではメンバーに良いアイディアがあってもそれが採用されることが難しかったのに対し、ネットワーク型組織では、困難な課題に対してその分野を得意とする人でプロジェクトを組んでいくため、より高度な知識とスキル、多様な価値観を掛け合わせながら組織としての最適解を導くことができるのです。

 背景の三つ目は、「組織のES(人間性尊重)という視点」です。

 キャリアを自ら選択していきたいという人が増え、また、複数のプロジェクトが同時並行的に動いていくネットワーク型組織の運営は複雑です。はたらく価値観が多様化した今、自律した社員が好き勝手に仕事をすればまとまりの無い無秩序な組織になってしまいます。従って、ネットワーク型組織をうまく運営していくためには、これまでとは異なるアプローチが必要となります。それが、ESを軸とした目標管理なのです。

 多様な価値観ではたらく社員の自律的なキャリア構築を支援する策としては、メンター制度やキャリアデザイン研修、自己申告制度や社内公募制度等が挙げられます。個々の未来構想や意志を尊重するESの視点を盛り込んだ組織づくりを土台に、目標管理はこれまでの“業績を測るための手段”から変化していきます。

 個々の組織における立場や役割を明確にし、社員自らのキャリアデザインを組織内で共有することで、社員はより人間性を発揮して主体的に働くことができるようになるのです。

2016年6月8日 フジサンケイビジネスアイ掲載
 
 

プロフィール

矢萩大輔(やはぎ だいすけ)

有限会社 人事・労務 代表取締役
一般社団法人日本ES開発協会 会長
社会保険労務士


HP:有限会社 人事・労務

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