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外国人材採用への道

第10回

【エバライフ事業協同組合】代表理事:太田郁男さん

株式会社アゴラ  柏木 太郎

 

コラム「外国人材採用への道」は、外国人材のプロフェッショナルである「監理団体」や「登録支援機関」の代表に外国人材採用に関するノウハウを教えていただくインタビューコラムです。今回のインタビューは、元実習実施者の立場を経験され、外国人材採用の課題を熟知している、エバライフ事業協同組合の太田代表理事に外国人材採用に関するお話を伺いました。

実習実施者の経験を活かし、組合員を全力でサポート

代表理事:太田郁男さん

監理団体を始めた経緯

当初、建設、不動産業を営んでいた前代表理事が、フィリピンに送出し機関を設立し、かつ日本側で監理団体を立ち上げるという構想を練り、2017年にフィリピンに数度訪問して送出し機関設立のための調査を行いましたが、結論としてはフィリピンでの送出し機関の新規設立は非常に難しいということがわかり断念しました。一方、日本側での監理団体設立ですが、2017年に発起人が集まり、2018年12月に設立されました。また2019年3月に私が代表理事に就任しました。

コロナ禍の影響と予期せぬトラブルから学ぶ

2019年11月に特定監理団体の営業許可を得ましたが、2020年1月から始まったコロナ禍の影響により、技能実習生の受入れは2022年4月まで待たなければなりませんでした。

2022年4月から5月にかけ2社で合計4名の実習生が入国しましたが、1年後、1社は別の監理団体の監理を希望され、結果、監理団体の変更を余儀なくされ、もう1社の1名の実習生は実習そのものについていけず、その実習生は実習実施者から技能実習契約を解除されてしまいました。入国当時は予想だにしなかった展開でしたが、数々の教訓を得ました。その後の実習生の入国にあたっては、これまで得た教訓に学んで対応させていただいています。

監理団体の特徴(経験を活かしたサポート体制)

私は2005年から2009年にかけプラスチック成形メーカーで当時の「研修生実習生制度」下で毎年多数の研修生、実習生の受入れの担当を経験しました。数々のトラブルや家主からの苦情対応、実習生による窃盗事件対応、挙句は実習生の労災事故とその実習生から起こされた労災裁判まで経験し、実習実施者の立場ではありますが、管理体制の難しさ、大変さを経験しました。

その経験を活かし、現状は最小人数で運営していますが、以下のような考え方で運営しています。

① 実習実施者、特定技能受入機関からの要望に正確、迅速に対応します。

② 一人一人の実習生とのコミュニケーションを大切にし、失踪者を出さない監理活動を行います。

③ 技能実習法、労基法、労働安全衛生法、入管法等、技能実習と特定技能に関わる法令を監理団体自ら遵守することはもちろん、実習実施者、特定技能受入れ機関にも遵守の徹底をお願いしています。

④ 人材の選抜と教育に熱心で、実習生と実習生の家族に不要な負担をかけず、入国後も実習生の面倒見の良い優良な送出し機関とだけお付き合いします。

⑤ 介護、建設の組合員からスタートし、食品製造の組合員にも参加していただいています。

また、現在協定を結んでいる送出し機関の国はベトナム、ミャンマー、インドネシア、カンボジア、フィリピンですが、中国、ネパール、インドも対応可能です。

エバライフ事業協同組合のミッション

実習生、特定技能外国人と日本の中小企業・介護事業者様をつなぐ人材サービス提供を通じて両者に経済的利益と満足を得ていただくことです。


送出し機関選びが重要

当初試行錯誤しましたが、突き詰めれば、いい人材をご紹介することが監理団体の最重要業務であると思います。

そのためには優良な送出し機関との提携が不可欠です。送出し機関が人材募集時に集団に馴染めないと思われる人材を面接候補者から除外したり、候補者決定後の日本語教育を熱心に行っていただいたり、介護職種でなくてもN4に近い日本語レベルにして送出していただいたり、あるいは、日本入国後実習生からの様々な苦情、要望等に迅速に対応していただける優良な送出し機関と提携することが極めて重要です。

これから外国人材採用を考えている企業へ

技能実習制度が新しい制度に移行すると、転職の増加や日本の都市部への外国人労働者の集中が増加することが予想されます。

しかし、そういう環境下にあっても人材を採用する企業として行うべきことは原理原則に則った雇用と言うことに尽きるのではないかと思います。即ち、労働関係法令等法令順守と従業員(労働者や実習生)の人権尊重です。

具体的には、過度な時間外労働を行わせない、労災のない安全な職場環境の確保、雇用条件書に則った処遇等当たり前のことを確実に行っていただきたいと思います。

海外人材の採用にあたっては入管法、技能実習法、労働関係法、各省庁からのガイドライン等に則った書類作成と申請、申請内容変更等に伴う届出等、非常に手間と時間がかかります。特に入国前から入国後半年ぐらいまでが非常に大変です。

監理団体はそうした手間を可能な限り引き受け、企業様にできるだけスムーズな受入れを行っていただくためのお手伝いをさせていただきます。

一旦落ち着いて実習生が実習するようになれば、実習実施者様も採用して良かった、ということに必ずなりますので、まだ外国人を採用されていない企業様は是非一度ご検討されては如何かと思います。


情報

エバライフ事業協同組合
大阪府豊中市小曽根4丁目9番7号
代表理事:太田郁男

送出し機関紹介
モンゴル注目の送出し機関
MONGOL YAPONY GUUR LLC
モンゴル・ヤポニー・グール

 

プロフィール

株式会社アゴラ
柏木 太郎

様々な業種業態(異業種)と交流し、共同で新規プロジェクト立上げに参加する。



Webサイト:株式会社アゴラ

外国人材採用への道

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