井上達也の誰も言わないIT・DX裏の話

第9回

AIを使うと人は馬鹿になるのか問題

株式会社フリーウェイジャパン  井上 達也

 

AIを使うと人は馬鹿になるのか問題

当社は、会計や税務などのシステムを開発しているためAIの初期(といってもAIはかなり前からあるので、ここで言うAIとは「生成AI」の事とします)から様々な実験を行っています。そのためか、様々な企業の社長から「AIを使うと社員は馬鹿になるんじゃないか」といった質問をされることが多いので私なりの考えを以下に述べます。AIの問題点は2つあります。

1.AIが人を馬鹿にする訳では無いが

 札幌に住んでいる友人が「北海道は車社会なので、朝起きて会社から帰ってきて万歩計を見たら500歩しか歩いていなかった」と言っていました。歩くのは家から車庫、会社の駐車場から職場までと考えると確かに500歩程度しか歩かないのも頷けます。車は時間を短縮できるという大きなメリットがあります。しかし一日500歩しか歩かないのでは運動不足になりますし病気になるかもしれません。ではどうしたらよいのでしょうか。もし通勤に車を使うのであればスポーツクラブに入ったり、町中をウォーキングしたりして運動不足を補う必要があります。

 AIも車と同じです。AIにより考える能力が落ちてしまう分、本を読んだり、能動的なセミナー等を受けることにより自分の脳力を高めていく必要があります。AIが人を馬鹿にする訳ではありませんが、自分自身の考える脳力を鍛える事が重要になります。これを怠ると先程の一日500歩しか歩かない人と同様に不健康になり、脳力は徐々に落ちていくでしょう。

2.AIの回答が正しいかどうかを判別する能力が必要

 たとえば貴方が「宗谷岬」※に行きたいとします。車で行く場合には、場所を確認し、どんなルートを通っていくか考えます。もしかすると電車で途中まで行ってレンタカーを借りるという事もあるかもしれません。一方、AIは将来、今よりずっと進化し「宗谷岬に行きたい」と言えば自動的に連れて行ってくれるかもしれません。さて、ここで問題なのは「ここは本当に宗谷岬なのか」という問題です。

 AIが連れて行ってくれたんだからここは宗谷岬に違いない。果たしてそうでしょうか。猿の惑星という映画をご存知でしょうか。主人公たちは宇宙船に乗って、ある星に到着するのですが、実はそこは未来の地球だったというストーリーです。AIは絶対に間違わないと言いたいところですが、現時点では間違っていることも多いです。また将来、AIのデータが人為的に書き換えられてしまう事があるかもしれません。つまりAIが作ったものを正しく評価できる人しかAIは使えないという事になります。

※宗谷岬(宗谷岬) 北海道稚内市

今やAIで様々なことができるようになりました。時間を短縮できるようになりました。私達はAIで楽になった分、自分自身の脳力を上げ、さらに高みを目指す事が出来るのです。逆に、それが出来ない人たちは、どんどん脳が退化していく事でしょう。

 

プロフィール

株式会社フリーウェイジャパン
代表取締役 井上 達也

株式会社フリーウェイジャパン代表取締役。クラウドシステムの会社としてユーザー数は34万社を超える。著書に「小さな会社の社長の戦い方」「起業を考えたら必ず読む本」などがある。


Webサイト:株式会社フリーウェイジャパン

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