第22回
企業のリスクマネジメントとして行う素行調査の有効性
株式会社TMR 執筆
1.新型コロナウイルス感染拡大の影響による採用への影響
(1)人手不足に陥っている業界
(2)非正規雇用者の採用でも広がるオンライン面接
2.アルバイト店員の悪質行為と企業の抱えるリスク
(1)社会的な問題に発展しつつある悪質行為
(2)アルバイト店員が行う悪質行為と企業の抱えるリスク
3.リスクマネジメントとして行うアルバイト素行調査
(1)アルバイトの素行調査を行った事例
(2)企業リスクマネジメントとして行う素行調査とは
1.新型コロナウイルス感染拡大の影響による採用への影響
(1)人手不足に陥っている業界
ある調査会社の報告によると新型コロナウイルス感染拡大後、人手不足と感じる企業の割合は緩やかな減少傾向にあると言われます。人手不足に悩む企業の割合が減る一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、慢性的な人手不足が加速している業界も存在します。
小売業ではアルバイト人材の人手不足が顕著です。例えば、コンビニエンスストアでは、営業時間が長い分、シフト制を取り入れながら、多くのアルバイト人材を必要としています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から在宅勤務が進み、外食の機会が減ったことにより、購買需要が急速に高まっています。
また教育サービス業では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて外出が制限されたことでオンライン授業への切り替えなど、現場で多くの作業対応が求められています。学生アルバイトを始めとする人手が足りない状況に陥っています。こうした業界では依然として非正規雇用の若者の採用ニーズが高い水準で推移しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人人材の入国が難しくなっていることや、オンライン授業中心になり、地元に戻る学生が増えていることもアルバイト人材の不足に拍車をかけているようです。
(2)非正規雇用者の採用でも広がるオンライン面接
学生アルバイトなど若者の非正規雇用者の採用でも、オンライン面接を活用する企業が増加する傾向にあります。応募する側は空いた時間を活用してお金を稼ぎたいという傾向が見られます。応募者が、わざわざ面談会場に出向くような選考方法では、採用機会を遠ざけることにつながると採用企業の多くが考えています。
録画面接という新しい面接方法も正社員採用だけでなく、非正規雇用者の採用でも普及しつつあります。あらかじめスマホやパソコンのカメラで撮影した動画を、企業から送られてきた投稿フォームにアップロードするだけでより気軽に採用選考を受けることが可能になる手法です。
2.アルバイト店員の悪質行為と企業の抱えるリスク
(1)社会的な問題に発展しつつある悪質行為
採用のオンライン化により、在宅のまま、より気軽にアルバイト応募が可能となる環境整備が進む一方、コンビニエンスストアや飲食店のアルバイト店員が悪ふざけをして、その様子をインターネット上に公開することで騒動が起きる事件が多発し社会的な問題に発展しつつあります。
アルバイト店員が勤務先で悪ふざけを行い、その様子を撮影してSNS等インターネット上に投稿した結果、企業や店舗の評判が損なわれることはバイトテロと呼ばれます。こうした悪質行為は、個人の興味本位で突発的に行われ、防ぐことが難しく、企業や店舗にとっては深刻なダメージを与えるなどリスクが高いことからバイトテロと表現されるようになりました。
あるコンビニエンスストアでは会計前で販売商品のサラダのふたをあけ、素手で触る悪質ないたずらを行った動画が広まりました。さらに、別のコンビニエンスストアのアルバイト店員は、アイスクリームを販売する冷蔵ケースに入った様子を撮影してSNSに投稿した事例もあります。
その他にも、売り物の食材を床や自らの人体にこすりつけてから調理する、あるいはクレジットカード伝票などの個人情報を撮影してSNSなどへ投稿するといった騒動が起きています。
(2)アルバイト店員が行う悪質行為と企業の抱えるリスク
こうした悪質な行為によって、フランチャイズ契約を解除され休業となったケースも見られます。加えて、店舗経営者の個人情報が漏えいし、インターネット上で広まる事態に発展したケースもあります。営業停止に追い込まれるなど、事業存続に関わる大きな被害を受けた事例も少なくありません。
何ら許可を得ずに顧客の来店情報を掲載したケースや、クレジットカード情報などをアルバイト従業員がSNSに書き込んだケースでは経営側が責任を問われ、賠償請求される可能性があります。また、アルバイト店員がいたずらで汚した食材を顧客に提供し、
万が一、食中毒になった場合でも、その責任を問われる恐れがあります。こうした直接的な重大リスク以外に、企業イメージが大きく傷けられるなどの間接的な重大リスクも存在します。悪質行為を行ったアルバイト本人の解雇だけにはとどまらず、企業存続にも影響を与え兼ねない非常に大きな事態となるリスクがあります。
非正規雇用者にもオンライン面談が進んだことで採用スタイルが簡素化し、気軽な応募が可能となる反面、例えアルバイトといえども、企業側が採用後の勤務態度をマネジメントすることの重要性は急速に高まっています。
3.リスクマネジメントとして行うアルバイト素行調査
(1)アルバイトの素行調査を行った事例
ある焼肉店では、在庫の減りが異常に早いため、アルバイトが持ち帰っているのではないかとの疑念を抱き、外部専門機関に依頼してアルバイトの素行調査を実施しました。店長のいない日はアルバイトだけで店舗運営を行うため、アルバイトを常に監視することは難しい状況にありました。
アルバイト店員の素行調査を行ったところ、在庫の肉やデザートを持ち帰ったり、閉店後、勝手に食べたりしていたことが判明しました。さらに焼肉の網をフリスビーにして遊んでいたことまで分かりました。その様子がSNSにアップされていたことも明るみにでました。こうした事実を元に経営者は関与したアルバイト3名を解雇しました。
(2)企業リスクマネジメントとして行う素行調査とは
素行調査とは、調査対象の人物が「いつ・どこで・何をしていたか」を監視し、証拠として記録に残したり、撮影したりする調査のことです。アルバイトの素行調査でわかることとは下記のようなものです。
・勤務中の働きぶり
・立ち寄り先の滞在時間
・勤務中に接触した人物
・勤務時間外の行動歴
・職場以外での交友関係(住所・氏名など)
企業側には労働環境の監督義務があることから、思想・信条・宗教に関する調査や違法な調査方法をとった場合を除き、調査自体が法に抵触することはありません。
(株)TMRでは素行調査として、勤怠、退職理由等の確認を通して、素行不良、経歴詐称など問題がないかどうかを突き止め、客観的な判断材料を提供することが可能です。
具体的には、被雇用者の経歴、特定の団体への加入状況、健康状態、性格素行、前職の退職理由・勤怠状況、生活態度など幅広く調査することができます。こうした経験豊富な外部専門機関の活用により安心・安全なアルバイト人材のマネジメントが可能となります。
※転載元 株式会社TMR お役立ち情報「企業のリスクマネジメントとして行う素行調査の有効性」
プロフィール
株式会社TMRはビジネスにおけるあらゆるリスク対応を支援し、企業価値の向上を全力でサポートします。
・信用を第一に「誠意」「正確」「迅速」をモットーにご納得いただくまで親身にご説明いたします。
・マスコミや弁護士事務所、警察関連組織などへの調査協力も行っており、法令遵守で調査情報の秘密厳守、社会正義に即した調査を行います。
・ISO27001認証を取得しており、調査後の調査資料の廃棄に至るまで厳格に管理しています。
取引先や社員、株主などを対象に「反社会的勢力」との関係をチェックします。情報収集と収集した情報の蓄積を行い、独自でデータベースを構築し、情報利用についても熟知しているため、安心してお任せいただけます。
■信用調査
企業の与信調査(不動産や資産など)から採用時の個人 調査、その他、長年のノウハウを活用したきめの細かい各種信用調査を行います。
与信調査・不動産・資産・債権保全・信用調査・採用 入居者審査・身元調査・市場調査・各種マーケティングリサーチ・テナント調査・身元調査・訴訟関連・債権関連など
ISMS認証のノウハウを活用した情報セキュリティ対策支援やネット風評対策、ハラスメント対策などの企業のリスク対策のほか、盗聴対策などの個人向けの対策を含め、あらゆるリスク対策について対応可能です。
企業リスク対策(情報セキュリティ、情報漏洩等)・ネット風評対策・ハラスメント対策・各種相談窓口開設(コールセンター、内部告発等)・その他 盗聴対策、各種セミナー開催など
Webサイト:株式会社TMR
- 第44回 雇用リスクとは?【第1回 安全配慮義務の対策】
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- 第34回 企業が行うべきリスクヘッジ【第4回 盗聴・盗撮から企業を守るためのリスクヘッジ】
- 第33回 企業が行うべきリスクヘッジ【第3回 情報漏えいのリスクヘッジ】
- 第32回 企業が行うべきリスクヘッジ【第2回 リスクヘッジの取り組み方】
- 第31回 企業が行うべきリスクヘッジ【第1回 リスクヘッジ能力の高い人材の確保と育成】
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- 第26回 企業におけるハラスメント 【第4回 企業間で発生するカスタマーハラスメント(カスハラ)とその対応】
- 第25回 企業におけるハラスメント【第3回 カスタマーハラスメントへの対応】
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- 第23回 企業におけるハラスメント【第1回パワーハラスメントがもたらす企業リスク】
- 第22回 企業のリスクマネジメントとして行う素行調査の有効性
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- 第17回 外部専門会社を活用した前職調査や身元調査で明らかになるネガティブ情報とは
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- 第13回 信用取引において必要不可欠な与信管理とは
- 第12回 オンライン面接へシフトする採用市場における調査専門会社の活用
- 第11回 採用時にネガティブ情報をつきとめるバックグラウンドチェック
- 第10回 企業の社会的責任として求められる、組織全体で行う反社対策
- 第9回 自社の内部統制は本当に機能していますか? 【第3回 内部統制の効果的な運用】
- 第8回 自社の内部統制は本当に機能していますか? 【第2回 内部統制の体制づくり】
- 第7回 自社の内部統制は本当に機能していますか? 【第1回 内部統制とは?】
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- 第3回 採用調査で重要性が増しているリファレンスチェック
- 第2回 ビジネス取引において実施される信用調査とは
- 第1回 貸し倒れリスクを回避するための債権回収の対策