海外駐在員の税務
筆者:朝日税理士法人 三河 康治
日本における消費税率は、段階的に引き上げられ、日本で生活をしている居住者にとっては実に悩ましい問題です。一方、日本に来日した外国人旅行者等の非居住者が、みやげ品等として国外へ持ち帰る目的で輸出物品販売場において購入する物品については、一定の要件のもとに消費税が免除されることになっています。この外国人旅行者等には、海外駐在員で一時帰国する日本人も含まれます。なお、“消費税法上の非居住者”は、“所得税法上の非居住者”と必ずしも同じではないので、その点注意が必要です。
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第3回 海外赴任からの帰任後の外国の公的年金の受給と所得税の確定申告
我が国は欧米諸国を中心に複数の国と社会保障協定(以下、協定という。)を締結しています。この協定は、「保険料の二重負担の防止」と「年金加入期間の通算」がおもな目的です。 「年金加入期間の通算」ができる協定のもとでは、これまで年金加入期間が足りないため外国あるいは日本の年金を受けることができなかった人も、両国の年金加入期間を通算することにより受給資格期間を満たして、両国から年金を受給できる可能性が広がります。
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近年、多くの日本企業は、海外にビジネスチャンスを求めて、自社の役員や従業員を海外の子会社や支店などに派遣していることもあり、海外で活躍している日本人が著しく増加しています。そのような状況の中、海外赴任期間中、日本に帰任することなく日本企業を退職する海外駐在員も増えてきています。海外駐在員の退職の原因として、例えば、貴重な海外赴任経験を持つ者を求めて他社が好条件を提示し有能な人材の引き抜きを行ったり、海外赴任期間中に赴任地国で築いた人的ネットワークに基づいて起業したりするケースなどがあります。多くの日本企業は退職金制度を有しており、海外赴任期間中に退職した海外勤務者に対しても退職金を支払うケースが見受けられます。非居住者に支払う退職金については、日本の所得税法上、特別な取扱いが用意されています。
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海外駐在員にとって日本の消費税の免税が受けられるのは大きなメリットと言えますが、激安店など消費税の免税の適用を受けなくても安く購入できる店舗が多くあります。また、消費税の免税は、一般的に、大手の家電量販店などにおけるポイントサービスとの併用はできませんので、海外駐在員が日本で商品を購入する際は、消費税の免税の適用を受けることの損得について、よく考える必要があるかもしれません。