第7回
理念経営で育む「定着率の高い組織」――意欲的な社員が育つ東京リトルメイトの組織風土とは
株式会社With us 執筆

このコラムは、女性が活躍し成長を遂げている企業が、今どのような取り組みをしているのか、女性活躍に対する企業の思い、今後の展望などを、女性の採用「ララワーク」の長橋と福田が女性目線でインタビューしていきます。
今回は、東京リトルメイト株式会社 代表取締役社長 阪井祐基子様に話を伺いました。
託児から教育まで|日本の未来を担う子どもたちを育てるための事業変革
― まずは、御社の事業内容を教えてください。
保育園、学習塾、体操教室などを運営しています。「保育や教育を通して、日本の未来を担う子どもたちを育てること」これが弊社のサービス内容です。
― どのようなきっかけで保育の事業を始められたのでしょうか。
保育事業は、私の母が始めました。1972年にリーガロイヤルホテル大阪の託児サービスを引き受けたのが最初です。
当時は、母親は冠婚葬祭にも参加せずに自宅で子どもと待つのがあたりまえの時代でした。しかし、リーガロイヤルホテル大阪は、パーティの招待客に対して託児サービスを行い、女性の皆さんにも出席していただけるようにしたいという、当時としては先進的な考えを持っていたんですね。そこで、ホテル内に「リトルメイト」という専用ルームを設けて、お客様のお子様をお預かりするサービスを始めたのが、弊社の保育事業の始まりでした。
― 今でこそ託児サービスは一般的ですが、当時はとても珍しかったでしょうね。
そうですね。珍しかったことと、ホテル内の託児サービスということで富裕層のお客様が多かったことから、デパートがベビー用品やおもちゃを提供してくださり、託児ルームをショールームのように活用してくださっていました。当時は珍しかったベビーフードなども揃っていたんですよ。
その後、京王プラザホテルやホテルオークラ東京からも声をかけていただき、両ホテルにも託児ルーム「リトルメイト」をオープンしました。東京では、ニュースキャスターや外資系の会社の方などが、仕事のときに利用されることも多かったですね。
平成10年頃からは法人契約も増えていき、ホテルでの宴会やパーティ、学会などの際に、主催企業からの依頼でお子様をお預かりするようになりました。
― 教育事業は、どのようなきっかけで始められたのですか。
「お受験」「受験戦争」が始まり、私立の有名幼稚園を目指すお子様が増え始めた時期がありました。そこで、ホテル内に幼稚園受験対策の幼児教室を開き、託児とは別で少人数のお子様をお預かりするようになったのが最初です。
― そこから保育園事業にも進出されたのですね。
そうです。幼児教室は、「リトルメイト・アカデミー ホテルオークラ」「リトルメイト・アカデミー 京王プラザホテル」としてホテル内で運営していました。そして、そこでモンテッソーリ教育や国語教育を行っていたのが話題になって、テレビで紹介されたんですね。それを見ていた人から声をかけてもらい、平成14年に保育園を開園しました。それが、横浜市港北区で運営している認可保育園「なあな保育園」です。
「なあな保育園」では、意欲や美しい心を育むために、国語教育、リズム体操、食育に特に力を入れた保育をしています。
理念経営で作り上げた「職員が離職しない保育園」
― 職員の方は、何名いらっしゃるのですか。
保育園と塾を合わせると、社員54名で、女性が39名、男性が15名です。
― 女性は保育園の方に多いのですか。
保育園は、ほぼ女性です。弊社の保育士は離職率が低いので、入れ替わりがあまりないんですね。採用した当時は男性保育士がいなかったので、女性だけになりました。今なら、男性保育士も採用すると思います。
― 一般的に、保育園は離職率が高く、入れ替わりが多いといわれていますよね。
そういわれていますが、弊社の保育園は離職率がとても低く、職員の勤続年数は平均すると15年くらいです。皆とても意欲的に仕事をしてくれていて、年に2回の面談では前向きな提案も出てくるんですよ。
たとえば、現状の問題点を指摘し、その解決策を提示したり、増収増益のためどのような取り組みが必要かを具体的に提案したり。勉強会の開催や外部への情報発信、ホームページやInstagramの活用といったさまざまな提案をもらっています。
― 定着率が高く、皆さんが前向きに仕事を取り組む組織。理想的ですね。どのようにして組織を作り上げたのですか。
一つには、有給が取りやすく、家庭の状況に合わせて働きやすい環境にしていることがあるかもしれません。有給は、平均すると一人あたり19日とっています。そして、有給を取りやすくするためには人がいなければならないので、園児の定員72名に対して職員を34名配置しました。職員が多ければ、休みも取りやすいし、残業も少なくてすみますよね。
また、職員が正当に評価され、正当な給与を受け取れる制度にしていることも、職員の定着率や意欲向上に貢献していると思います。
― 正当な評価とはどういうものですか。
弊社では、理念に沿っているかどうかを評価基準としています。ですので、たとえば仕事で失敗したとしても、それが理念に基づいた行動による失敗であれば「経験」と考えます。
― 理念経営は、今見直されていますよね。具体的に、どのような理念を掲げていらっしゃるのですか。
「子どもたちが日本の未来をつくるのです。世界で一番大事な仕事は子どもの教育です。私たちは心豊な社会を担う子どもたちを育てます。」これが理念です。
弊社には「人を愛する人は人に愛される」という信条があり、5つの心を大切にしています。
・ 感謝の心
・ 受容の心
・ 謙虚な心
・ 責任を持つ心
・ 向上する心
論語の仁義礼智信から取ったものなのですが、これに当てはめて考え、判断するのが弊社の方針です。
たとえば、子どもが熱を出したから迎えに行かなければならない職員がいれば、他の職員が代わりに仕事を引き受けますよね。私はそのような場合には、まず周囲の職員に感謝の言葉を伝えるように言っています。(感謝の心)
また、仕事で問題があったときにも、
「お客様や周囲の人に対して感謝の気持ちを持ったか」(感謝の心)
「お客様の声を謙虚に聞いたか」(謙虚な心)
「責任を持って言い切れるか」(責任を持つ心)
といった観点で考え、話をしています。
― すばらしい経営方針ですね。阪井さんは長きにわたって経営の現場に立っていらっしゃいますが、女性活躍についてどのようにお考えですか。
そうですね。今は男女共同参画といった言葉もありますが、まだまだ不平等な世の中だと感じています。それは国の取り組みや社会の責任でもありますが、同時に女性の意識改革も必要かなと思います。
―私たち女性にできることが、まだまだあるということですね。経営の参考になるすばらしいお話をありがとうございました。
インタビュー企業:東京リトルメイト株式会社
プロフィール
【インタビュアー】
株式会社With us 女性の採用「ララワーク」
女性の採用「ララワーク」とは…
子育て経験のある女性が、当たり前に社会で活躍する、そんな女性活躍社会を目指して、女性がいきいきと働く企業を増やします!子育てというキャリアをもった女性人材を企業に紹介し、定着のサポートまでお任せください。
◆ララワークについてはこちらから
・HP:主婦の就職支援「ララワーク」
女性の採用「ララワーク」
・公式ライン:主婦の就職支援「ララワーク」
株式会社With us 代表取締役 長橋 知世
静岡県立沼津東高校卒
立教大学社会学部観光学科卒
一般企業、商業高校の教員として勤務したのち、出産を機に退職し家庭に入る。2児の子育てが終わってから、社会保険労務士資格を取得。
2018年に横浜で社労士事務所の開業に至る。
40代50代女性がもっと社会で活躍すべきと、セカンドキャリアの女性コミュニティを立ち上げ、一年でメンバー100名とする。
主婦はキャリアだと認められる社会を目指し、アラフィフ女性に特化した人材紹介業を立ち上げ、女性が活躍する企業を増やし、本当の意味の女性活躍社会の実現を目指して活動している。
Webサイト:女性の採用「ララワーク」
主婦の就職支援「ララワーク」
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」
サポートプラス社会保険労務士事務所
株式会社With us 取締役 福田 由季子
桐蔭学園高等学校卒
立教大学理学部数学科卒
IT企業に勤務後、退職して夫の海外駐在に帯同。現地で出産・子育てに専念する。
帰国後、専業主婦の在宅ワークチームを立ち上げ、PCスキル指導を通じて再就職を支援。
現在は、IT企業で企業ホームページの集客支援や採用サイト制作を手掛けるほか、企業研修講師として人材開発にも携わる。
Webサイト:株式会社ウェブリックハウス
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」とは、人生経験を積み、さまざまなキャリアを経験した女性の第二の人生を応援していくコミュニティです。
ビジネスセミナーや食事会、交流会など、プライベートを楽しみながらビジネスをひろげていくための機会を提供しています。
自己成長できる場、仲間づくり、協業できる環境であり、女性の新しい生き方を承認し、これから社会に踏み出す女性にエールを送りたいと思っています。
◆ララ・コンシェルジュについてはこちらから
・HP
・女性起業家デジタルbook
・ポットキャスト:え?わたしも働ける?人生薔薇色ラジオ
・YouTube:「ララ・コンシェルジュ」チャンネル
・インスタグラム :ララ・コンシェルジュ
・Facebook:ララ・コンシェルジュ
・公式ライン:ララ・コンシェルジュ
サポートプラス社会保険労務士事務所は、横浜を拠点に、企業様の保険関係手続き、給与計算、人事労務相談、助成金のサポートをしております。
事務所開設当時から、スタッフは全員女性で、テレワーク雇用を可能としており、子育てと両立しながら働くことができる環境づくりを実践しております。
サポートしている顧問先様の成長が一番の喜びです。
◆サポートプラス社会保険労務士事務所についてはこちらから
株式会社ウェブリックハウスは、SEO対策を柱とし、戦略コンサルティング、企業研修を行う企業です。
毎月40万人を集客するライター集団が、お客様の会社の売上アップに貢献します。
◆株式会社ウェブリックハウスについてはこちらから
・HP:株式会社ウェブリックハウス
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