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補助金活用のススメ

第3回

ものづくり補助金の補助対象となる経費

株式会社PMIパートナーズ  北口 建

 

今回は、ものづくり補助金の補助対象となる経費(以下「補助対象経費」といいます。)について説明します。

その事業に要した経費全てに対して補助金が利用できるわけではなく、特定の経費に限られます。補助金申請後に対象経費の種類や金額を変更することが困難なため、申請段階でしっかり経費を選定する必要があります。それでは、補助対象経費をみていきましょう。


1 ものづくり補助金の補助対象経費の一覧

ものづくり補助金の補助対象となる経費は次に列挙した経費に限られます(通常枠を前提)。


以上がものづくり補助金の対象となる経費ですが、補助金全体のうち最低50万円以上は「機械装置・システム構築費」の取得に充てる必要があります。また「機械装置・システム構築費」以外の経費は総額で500万円が上限額となります。

これらの要件は、補助金を時的な経費となるよりは、継続的に収益を生み出す会社の資産として残るよう設備投資に利用すべきという考えから課せられています。


2 ものづくり補助金の補助対象外の経費

次に、この経費は補助対象経費にならないのかとよくご質問をいただくものをご紹介します。

【不動産や自動車】

土地建物の購入費や建築費、自動車の購入費はものづくり補助金の対象になりません。

建物(事業所や生産施設)の建設や改修に係る経費に対して補助金を活用したい場合は、事業再構築補助金を検討することになります。

【事務所等の家賃】

事務所等の家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費はものづくり補助金の対象になりません。事務所等の家賃に対して補助金を活用したい場合は、事業承継・引継ぎ補助金を検討することになります。

【自社の人件費】

本事業に従事した人件費はものづくり補助金の対象外です。人件費が補助金の対象となるのは事業承継・引継ぎ補助金です。

【広告宣伝費、ホームページの制作費】

広告宣伝費やホームページの制作費はものづくり補助金の対象外です。広告宣伝費は事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金等の活用を検討することになります。またホームページの制作費は小規模事業者持続化補助金等の活用を検討することになります。

【ハードウェア(PCやタブレット、スマホ、プリンタなど)】

PCやタブレット、スマホ、プリンタなどのハードウェアの購入費用はものづくり補助金の対象外です。これらはIT導入補助金を検討することになります。


3 補助対象経費の発注先に依頼する場合の注意点

発注先の選定にあたっては、入手価格の妥当性が証明できるように見積書を取る必要があります。単価50万円(税抜き)以上の物件等を発注する場合には、原則として2社以上の相見積りが要求されます。相見積りが取れない場合にはその業者を選定した理由書を代わりに提出します。

ここで注意が必要なのは、補助金申請や交付申請の段階では見積書が必要ですが、発注先との契約の締結をこの段階で行ってはいけません。補助金の交付決定前に契約を締結したり支払った経費は補助金の対象外となるからです。発注先との契約は補助金の交付決定を受けた日以降に行い、補助事業実施期間内に支払いを完了する必要があります。

後で経費の支払ったことが分かる銀行振込の履歴を提出する必要があり、支払日も確認されます。


最後に一つアドバイスをさせていただきます。

補助金枠を最大限利用しようと、不必要に過大な経費を申請してしまうと、事業の実現可能性自体が疑われますし、自社の資金繰りにも悪影響を与えてしまいます。そのため、補助金の申請に当たっては、対象経費がその事業のために必要な経費でかつ価格も適切であるかを吟味したうえで申請することが重要です。

当社でも、補助金を申請しようとする会社様の事業内容をしっかり検討させていただき、どの補助金制度を選択するのが適切か、また補助金の対象とする経費の種類や金額が適切かを吟味したうえで補助金申請の支援をさせていただいております。


次回は、ものづくり補助金の申請書の書き方についてご説明する予定です。


※ ものづくり補助金の補助対象となる経費の詳細については「公募要領」をご確認ください。

なお、本コラムの内容は投稿日時点の情報をもとに作成しています。

 

プロフィール

株式会社PMIパートナーズ
代表取締役CEO 北口 建(きたぐち・たけし)

株式会社PMIパートナーズ 代表取締役CEO 弁護士・中小企業診断士
大手製薬会社で、予算・事業計画の作成、業績管理、資金調達・運用、税務等を担当。同社在籍中にM&A(合併)を経験し、主に会計及びシステムに関するPMI作業を担当。この時にPMIの重要性を認識。
その後、弁護士資格及び中小企業診断士資格を取得。弁護士及び中小企業診断士の立場で、中小企業のM&Aスキームの提案、デューデリジェンス(ビジネス、法務)、契約書作成、PMIなどの多数のM&A実務に関与。
「経営」×「法務」の視点から中小企業の幅広い経営課題に取り組んでいる。


Webサイト:株式会社PMIパートナーズ

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