IoTキュレーション

第11回

高速通信5Gの普及速度は?

ピーエムグローバル株式会社 2020年1月21日
 


 第5世代移動通信方式「5G」の商用サービスが今年春から本格化する。圧倒的な通信速度が新たな未来をもたらすとの期待がある一方、消費者へのメリットなど恩恵については懐疑的な見方も多い。果たして5Gはどのように普及するのだろうか。 

 

 5Gの主な特徴は「超高速」「多数同時接続」「低遅延・高信頼」の3つ。現行の4Gをしのぐ10~20Gbpsとされる通信速度や広帯域のほか、大容量のデータ通信にも対応し、送受信を繰り返す際の遅延も短くなるなどの強みがある。ビッグデータを駆使した新たな情報サービスをはじめ、実用化が期待される自動運転では大量のデータを遅滞なくやり取りできる技術が必要となる。また、医療機関が少ない地域への遠隔医療での活用も期待されている。

通信各社はメリットを訴え

 米国ラスベガスで今月開催された世界最大規模の家電見本市「CES」では、通信技術・半導体大手クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長が5Gの将来性をアピールした。複合現実(MR)やビデオストリーミングのほか、自動車分野で大きな役割を果たすとし、懐疑的な見方は変わりつつあると主張している。


 アモン氏は「4G」が音楽の定額配信を身近なものにしたように、5Gではリアルタイムの動画配信(ビデオストリーミング)が楽しめるようになるとしたほか、自動運転技術やインターネットを通じた車両管理サービスといった自動車業界との融合にも言及。自動車メーカーは車両に設置された複数のモニターに多様なコンテンツを提供できる「番組配信会社」のような存在になるとの持論を展開した。


 スウェーデンの通信機器大手エリクソンは報告書「The four industry myths surrounding 5G (5Gにまつわる4つの業界神話)」を公開し、新たな通信方式の明るい未来をいぶかる声に反論する。エリクソンは5Gに対する懐疑的な見方として①消費者には当面のメリットがない②実際の活用事例や高くても買おうとする「価格プレミアム」がない③対応するのはスマートフォンだけ④現行の使用パターンを見れば今後の5G需要は正確に読める──を列挙。その上で、家庭での高速ブロードバンドの実現や都市部の通信速度向上といった変化のほか、IoT(モノのインターネット)家電によるスマートホームの実現や仮想現実(VR)を利用したショッピングを求める声があることや、スマートフォンユーザーは5Gを使った新サービスに2割程度の割り増し料金を払うとしていることなどを紹介する。またスマホ以外でも今後5年で拡張現実(AR)用眼鏡の利用がさらに広がり、家庭用ロボットが新たなステータスシンボルとなる可能性を予想。今後は5Gを駆使した自動車からのデータ通信が重要になるとし、進展に自信を見せている。

日本は望み薄

 技術開発の立ち遅れから、日本では5Gが劇的に社会を変える可能性は低いとする見方もある。経済評論家の加谷珪一氏はニュースサイト「ITメディア」に寄せた記事「5G元年は結局『から騒ぎ』に終わる? 新技術が日本を変えられない真の理由」(1月7日付)で、5Gが果たすIoTの基礎インフラとしての役割に言及する一方、一般ユーザーの多くはショートメッセージのやり取りが中心であるため、5Gの通信速度を感じる人は少ないと指摘する。また5年間で総額3兆円ともされる通信各社の設備投資計画に触れ、その経済波及効果に期待する向きに対しても否定的。日本は5Gの技術開発で競争力が低下しているため、通信機器については海外メーカーからの調達を増やすと予想しながら「社会全体での効果は喧伝されているほどの効果はない」との認識を示している。

IoTインフラとして

 高速通信や低遅延性といった5Gの特長が産業用に活かしやすいというのは、衆目の一致するところ。消費者向けサービスよりも、IoT家電に囲まれたスマートホームに代表される新たなサービスの「縁の下の力持ち」(加谷氏)として浸透するスピードの方が速いのではないか。動画視聴については、都市部を中心に無料Wi-Fiスポットの拡大が進んでおり、外出先でもダウンロードできる環境が整ってきている。高速通信が必要なストリーミングで動画を楽しみたいという一般ユーザーは多くない印象だ。通信各社が打ち出すことになる料金プランも普及の鍵を握る。


 スマートフォン販売が頭打ちになる中、通信各社が5Gサービスを新たな「収入源」として打ち出したいのは理解できるが、サービス内容は未知数。一般ユーザーに支持されるかは、追加料金を払いたくなるような商品が提供できるかにかかってくるだろう。

 
 

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