聞けそうで聞けないM&Aの話

第7回

着手金って必要?

髙野 健二 2021年8月27日
 

M&Aコンサルティング会社に仕事を頼む際によく耳にするのが着手金です。

最近(2021年7月)では上場しているM&Aコンサルティング会社の株式会社ストライクが着手金を廃止したことも話題に上がりました。

00.pdf (eir-parts.net)

着手金とは

着手金とはM&Aの相手先探しなどの依頼をする際に、その契約締結時のタイミングで依頼人にM&Aコンサルティング会社から支払いをお願いされる料金のことです。

M&Aコンサルティング会社によって着手金が必要な会社とそうでない会社と別れます。また金額も50万円~200万円と各社によって違いがあります。

一方でM&Aの成立などの成功にかかわらず基本的に返金されない性質の料金であることは各社共通しています。

M&Aコンサルティング会社から見た着手金の意義

M&Aコンサルティング会社からみた、着手金をお願いする意義としてよくあげられるのは以下の点です。

①M&Aが成立するか否かは最終的には依頼人の判断にかかっており、最終的にM&Aが成立した後でなければ料金請求が出来ないのであれば、M&Aコンサルティング会社側の人件費等の諸経費はM&Aコンサルティング会社側のリスクとなるため、そのことを一部ヘッジする意味がある。

②依頼人のなかでも、着手金を支払ってまで依頼される方と着手金を支払うのであれば依頼しないという方では覚悟が違っているため、覚悟して依頼していただける方へのサービスに集中したいために着手金をお願いする。

依頼人から見た最悪のケースとは

逆に依頼人の側から考えた場合、着手金をお支払いしたもののM&Aの相手先は見つからずに承継出来ずに終わってしまうケースがリスクとなります。

M&Aの相手先が見つかるか否かは、それぞれの個別の状況によるところが大きいですし、経済環境の影響も受けます。

従って仮に多くのM&A成立実績数を誇っているM&Aコンサルティング会社に頼んだとしても、見つかる保証はありませんし、保証はしてもらえないはずですから、最悪のケースが生じる可能性は低いとはいえないと思います。

売り手候補者としての考え方

最悪のケースを考えた場合には、売り手候補者として着手金は出来れば払いたくないものと考えると思います。

例えM&A成立実績数が沢山ある会社であったとしても、その成立した実績数からは外れることになった依頼数はそれ以上の数があるはずですし、自社がどちらに入るのか判断は難しいと思います。

弊社では着手金のお願いはしておりませんが、M&Aコンサルティング会社から見た着手金の意義も分からなくはありませんので、一概に否定は出来ないと考えております。(着手金を稼ぐこと自体が目的となってしまっているようにも思えるケースは別ですが)
少なくともM&Aコンサルティング会社側でも依頼者を選ぶ基準として考えている側面がある点については留意されたほうが良いと思います。

その一方で最悪のケースが少なくないことも事実ですので、慎重に検討されるべきとも思います。総合的に検討して納得のいく会社(担当者)であれば、着手金も惜しくない結果につながることもあるのかもしれません。

納得いくまで担当者の方にお話を伺うことで、その会社の性質・風土など見えてくることもあるかもしれません。


いずれにしてもご自身で慎重に検討されることが第一歩であることは間違いないと思います。

 
 

プロフィール

株式会社M&Aコンサルティング
代表取締役/公認会計士 髙野 健二


BIG4メンバーファーム(現・新日本有限責任監査法人)で上場企業グループ等の会計監査、株式公開準備、買収監査(デューデリジェンス)、株価評価等のプロジェクトに参画。


その後、東証一部上場の専門商社やJASDAQ上場流通企業などのM&A担当・役員・顧問として、企業戦略立案・遂行の最前線で活躍した経験を持つ。


【主な役職】
ゲンダイエージェンシー株式会社(JASDAQ上場) 監査役(現任)、日本公認会計士協会東京会経営委員会委員長(2009年度、同委員会副委員長(2010年度)および同会M&A業務支援プロジェクトチーム構成員長、株式会社ノジマ執行役経営戦略グループ長(2007.6~2008.6)、東京都事業引継ぎ支援センター登録民間支援機関(現任)


HP:株式会社M&Aコンサルティング

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