聞けそうで聞けないM&Aの話

第5回

無料株価相談を受けたのですが・・・これって?

髙野 健二 2020年12月28日
 

「あるM&Aコンサル会社から無料株価診断を受けたのですが、どう思いますか?」

ここ1~2年増えている質問のひとつです。

また、「あるM&Aコンサルティング会社から、株価の目安を純資産+営業利益の2-3年分と聞きました。」という話を伺うケースもあります。


◎その株価ってあてになる?

当然ながら、その結果通りに売却出来るかどうかは別の話です。

欲しい人が多ければ高くなりますし、いなければ安くなります。

そもそも株価評価自体が評価者の主観が入ってくるものですし、一定の前提を置いたものですので、絶対的に正しいものではありません。

とはいえ全く意味の無い数字かというとそこまでは言い切れないと思います。

現実に株価の目安として使用されていることを考えれば、買手にとってはひとつの目安になりますし、売手にとっても判断するひとつの手かがりにはなりますので。


◎売手にとって大切なこと

一方で売手にとって大切なことは、「いくらだったら売却してもよいのか」自分自身の中で基準を持つことです。

その基準は、現在の役員報酬の1年分、2年分でもよいですし、営業利益の3年分、あるいは1円以上ということでも構いません。売却せずとも他に選択肢がある状況であればよいのですが、売却出来なければ廃業するしかないケースにはよりシビアに考える必要があるためです。また、売却せずとも他に選択肢がある状況であれば、腰を据えて満足の出来る水準に基準を設定して、その基準をみたす相手をじっくりと待つことが出来ます。

その基準は心の内にしまって、買い手や仲介会社の担当者に対してはもっと高めの金額を希望します。

熟練の買い手や仲介会社の担当者は本当の基準を探ろうとしてくることがほとんどですが、(ポーカーのように)それを伝えることはせずに限られた時間で条件交渉をしていくのです。

限られた情報と経験では、交渉の判断とタイミングは一番難しい決断になりますので、その意味からだけでも、セカンドオピニオンを求める意義は大きいと思います。

その判断に必須の相場観は、実際に普段からM&Aの交渉に係わり続けている人でなければ難しいと思いますので、M&Aを主体とした専門家のセカンドオピニオンをおすすめします。

(一方で自分勝手なセカンドオピニオンの方のペースに巻き込まれて、一番良い条件の相手を逃すことがないように、公平で適切なアドバイスを期待出来る相談相手を選ぶ必要もあると思います!)

価格は条件のひとつではありますが、最も重要な条件のひとつですので、後悔のないようにご検討されることをおすすめいたします。


 
 

プロフィール

株式会社M&Aコンサルティング
代表取締役/公認会計士 髙野 健二


BIG4メンバーファーム(現・新日本有限責任監査法人)で上場企業グループ等の会計監査、株式公開準備、買収監査(デューデリジェンス)、株価評価等のプロジェクトに参画。


その後、東証一部上場の専門商社やJASDAQ上場流通企業などのM&A担当・役員・顧問として、企業戦略立案・遂行の最前線で活躍した経験を持つ。


【主な役職】
ゲンダイエージェンシー株式会社(JASDAQ上場) 監査役(現任)、日本公認会計士協会東京会経営委員会委員長(2009年度、同委員会副委員長(2010年度)および同会M&A業務支援プロジェクトチーム構成員長、株式会社ノジマ執行役経営戦略グループ長(2007.6~2008.6)、東京都事業引継ぎ支援センター登録民間支援機関(現任)


HP:株式会社M&Aコンサルティング

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