聞けそうで聞けないM&Aの話

第3回

底値で買収する必勝法・・・はありません!

髙野 健二 2019年7月10日
 

「お預りしました資料を拝見させていただいた結果、弊社としてお出しできる条件は

現状の譲渡希望価格には到底及ばず、譲渡希望会社様に失礼にあたると思いますので、

誠に残念ではございますが、このたびはご辞退させていただきます。」

という返信をこのところ何度かいただくことがありました。

少なくとも「お出しできる条件」があるということはわかりますし、

譲渡希望価格はあくまで”希望”ではありますので、いくら位を想定しているのか聞いてみると決まって「500万円以下」と言われます。

 EBITDAの数年分など、譲渡希望価格を出す際にもそれなりの相場観はありますので、逆に「500万円以下」の評価となった理由をたずねてみると、理由になっていないケースが増えているのです。。。


A社長「借入金が1千5百万円増えているので、資金繰りが回っていないものと判断しました」

一方で現金預金は2千万円以上増えていました。。。

そのため、勘違いと思い、

私「念のため確認いたしますが、現金預金は2千万円以上増えていますよ」

A社長「それでも借入をしなくてはならなかったということは資金繰りが回っていないということと判断しました」

私「条件が良ければ借りられるうちに借りておこうと判断したり、取引先を紹介してもらったお礼のお付き合いとして借りるケースもよくありますよ。」

A社長「それでも私としては資金繰りが回っていないと判断しました。」

話がかみ合いません。。。

ゆえに500万円以下の評価は変わりませんよと。。。

そこまで話がかみ合わない場合には、売り手のアドバイザーとしては交渉を打ち切るのですが、そのことを告げると

A社長「また別の案件が出てきた際にはご紹介ください。」

私「。。。」


M&Aの価格は一般的な相場観や理論上計算された価額だけで決まるわけではありませんが、交渉のベースとなる価額はあります。

基本となる価額をベースとして、どれくらい欲しい買い手が存在しているか、売り手が売り急がなくてはならない状況なのかなど、様々な要素が影響したうえで価格は決まっていきます。

ロジックを無視して買い手が欲しい金額に「指して」売り手が降りてくるようであれば、

気が付いていない何かしらの問題を抱えている危険があることを疑った方がよいとさえ言えます。むしろ危険な案件を引き寄せている行動だと思われます。

以前から価額を無視した仲介をしている方が増えているという話も耳にしていますので、その影響もあるかもしれませんが、長くは続かないと思います。



良い会社(事業)は価格が高くなり、悪い会社(事業)は安くなるということが基本です。


 
 

プロフィール

株式会社M&Aコンサルティング
代表取締役/公認会計士 髙野 健二


BIG4メンバーファーム(現・新日本有限責任監査法人)で上場企業グループ等の会計監査、株式公開準備、買収監査(デューデリジェンス)、株価評価等のプロジェクトに参画。


その後、東証一部上場の専門商社やJASDAQ上場流通企業などのM&A担当・役員・顧問として、企業戦略立案・遂行の最前線で活躍した経験を持つ。


【主な役職】
ゲンダイエージェンシー株式会社(JASDAQ上場) 監査役(現任)、日本公認会計士協会東京会経営委員会委員長(2009年度、同委員会副委員長(2010年度)および同会M&A業務支援プロジェクトチーム構成員長、株式会社ノジマ執行役経営戦略グループ長(2007.6~2008.6)、東京都事業引継ぎ支援センター登録民間支援機関(現任)


HP:株式会社M&Aコンサルティング

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