ベンチャーのための資金調達(IPO編)

第7回

IPO「現状」

 

 先日取引所より承認が下りた企業で年内上場のIPOは出揃いまして、合計36社(予定(TOKYOAIM市場を除く。))となりました。昨年より、14社(昨年は22社)増え、2年連続社数ベースでは増加しました。ひとまず、2年前をボトムにIPOマーケットは回復基調にあるかと思います。

 11月までには、既に26社上場しており、残り(10社)が12月に上場を予定しており、全体の約3分の1が12月上場となっております。
 11月までに上場した企業の、市場別の企業数は、本則市場が5社、JASDAQが14社、マザーズが7社で、地方取引所の新興市場からは、今年も1社も上場が(予定も)ありませんでした。

1.11月までに上場した企業(26社)の横顔

11月までに上場した企業の横顔はざっと以下のとおりです。

(1)本店所在地
東京都が圧倒的に多いのは通年のことですが(20社)、今年は、東京に続いて愛媛が2社で、埼玉、愛知ほか、富山、島根がそれぞれ1社と久しぶりに上場企業が出た都市もあります。

(2)業種
今年は情報・通信業が10社上場し、また、IPOにおける初値マーケットも牽引役を果たしました。変わった所では、水産農林業に属する企業なども久々の上場を果たしました(1社)。

(3)直前期の売上高
・本則市場
平均は48,710百万円で、最大は146,452百万円、最小は10,451百万円。
・JASDAQ
平均は9,231百万円で、最大は45,264百万円、最小は158百万円。
・マザーズ
平均は2,460百万円で、最大は6,865百万円、最小は1,013百万円。

(4)直前期の当期純利益
・本則市場
平均は1,230百万円で、最大は4,017百万円、最小は343百万円。
・JASDAQ
平均は221百万円で、最大は2,924百万円、最小は▲1,307百万円。
・マザーズ
平均は258百万円で、最大は491百万円、最小は94百万円。
JASDAQの売上高、当期純利益の最小を記録しているのは、それぞれ別の会社ですが、どちらもバイオベンチャーであり、今年は(11月)までにバイオベンチャーが3社上場しており(いずれも、ジャスダック上場)、いずれも直前期は赤字の会社です。
マザーズの当期純利益の最小を記録した企業は、来期の当期純利益を199百万円と大幅増を予想しています。

2.今、チャレンジすべき

 前述のとおり上場するには最短でも準備してから2年はかかります。したがって、今年上場した企業でも、準備はすでに数年前から開始していることになります。今年(11月上場まで)のJASDAQ、マザーズの新興市場の企業に上場した企業の直前期の売上高、当期純利益の最小値を見ると、数値的にはかなり小粒な企業が上場しているのがわかります。

 まだ、以前のような、起業をした経営者なら必ず早期にIPOを目指すようなムードにまでは盛り上がってきていませんが、マーケットでは、再びベンチャー企業を受け入れる下準備ができてきたような気がします。景気の波と同じく、IPOマーケットにおいても、最悪期を脱し回復した後、頂点に達したら、再び、下降トレンドになるという繰り返しの歴史があります。我々マーケットを支える一員としては、なるべく、大きな循環に左右されること無く、IPOを通じて企業の成長を支援する使命があると思います(歴史は繰り返してはいけない)。そのような使命から、ブームまでは行かなくとも、ある一定の盛り上がりを続ける自助努力が必要かと思います。 今はまさに、盛り上がりの前夜ではないかと感じております。ということは、今が、将来のIPOマーケットの牽引役、しいては日本経済活性化の牽引役となる企業が、IPOを目指す絶好のタイミングではないかと思います。

 ということで、今回の「べき論」ですが、志しが高い経営者は、今からIPOに向けてチャレンジすべきだと考えます。

 
 

プロフィール

藍澤證券株式会社
引受部 部長 右島 学

大学卒業後、平成7年4月に証券会社に入社。
リテール営業ののち、大阪引受部、引受審査部に配属。
主に店頭登録案件の主幹事審査に携わる。平成15年9月に他の証券会社に入社し、主に新興市場案件の主幹事審査に携わる。
平成17年5月に日本アジア証券㈱に入社。
現在に至る。

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