第1回
資金繰り表を経営で活かす
ビジネスクリエイション株式会社 平村 一紀
1．資金繰り表とは
資金繰り表は、一定の区分、科目に基づき、一定期間のすべての現金収入と現金支出を分類・集計し、現金収支の動きや現金過不足の実態などを把握できる表です。作成することで、資金不足を予測できます。資金不足にならないよう銀行から借入を行う、支払いサイトを延ばすなどの具体的な対応策をとることができます。
具体的な経営の場面としては、例えば資金的にあまり余裕がなく急に大きな支払いがあったときに困らないように、資金繰り表を作成することが挙げられます。また黒字倒産を防ぐことも可能です。黒字倒産は利益がでていても、現金不足で倒産することを指します。
2．資金繰り表を使う効果
（1）入金の改善
売上入金の前に経費支払いが必要になる場合があります。このような状態が続くと、現金が不足して黒字倒産を引き起こす可能性が出てきます。
資金繰り表を活用して、売上入金計画を見直します。可能であれば入金を早め、遅れている売上があれば速やかに回収します。新たな取引先と契約を結ぶ際、支払期限をなるべく早いタイミングするなど契約内容を調整するための目安にもなります。大きな取引では、資金回収に時間がかかることがあります。金融機関と相談して、つなぎの融資を受ける準備をする必要性も予想できます。
（2）支出の改善
将来的な支払い見通しを確認して現金資産に不安がみつかれば、支出を抑える対応をとります。設備投資や経費の支払い時期を調整することで、一時的な現金不足を回避することが可能になります。どの経費を削減するかといった支出の無駄を改善させるためのチェックにも活用できます。
資金繰り表を作る際には、約6か月～1年程度先まで見通して作ることが重要です。見通しを作るためには過去の収支データを確認して過去の動向を把握する必要があります。
データをもとに予想しながら資金繰り表を作成することで、どの時期にどれぐらいの売上が計上される見込みがあるかといったことが、分かります。必要に応じて、資金を調達しなくてはならないタイミングを確認できて、経費改善がどの程度効果があるかも具体的に測定しやすくなります。
3．資金繰り表作成に必要な項目
過去の実績や契約などを加味して売上見積もりを作成します。売上以外の収入には売掛金の回収があります。入金時期はあらかじめ契約で決められていますが、入金が遅れるなどの問題が起きれば、資金繰りも大きく変わります。また取引先により契約内容に違いがあるので、それぞれの入金時期の予想を立てます。
経費では給与、家賃、水道光熱費などの固定費は支出時期と金額が予想しやすいです。一方、仕入や販促費など営業活動にかかる経費は売上により変動することから、過去の売上実績と経費の関係から比率を算出し計算します。季節ごとに支出する税負担や賞与などについても過去の実績から算出します。
また財務収支として金融機関からの融資による借入金による収入や、返済による支出を算出します。融資で現金が入金された場合は、財務収入として現金が増えます。毎月の返済は、財務支出となり現金が減ります。
「資金繰り表」のサンプルは、ビジネス書式・虎の巻から無料でダウンロードできます。
プロフィール
ビジネスクリエイション株式会社
代表取締役 平村 一紀
ビジネスクリエイション株式会社 代表取締役。
中小企業診断士 大学卒業後、サントリーフーズ株式会社入社、
マイク株式会社を経て平成14年、中小企業診断士の資格登録と同時にコンサルタントとして独立。
中小企業診断士の全国ネットワーク会社 株式会社L2L代表就任後、ビジネスクリエイション株式会社を設立。
Webサイト：ビジネスクリエイション株式会社
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