アスリート・マインド ~挑戦者~

第8回

【渡辺理想さん】IDEAL GYM代表/天才児と呼ばれた男、次の「理想」へ

柏木 太郎 2021年6月29日
 

<渡辺理想さんプロフィール>

キックボクシング・ムエタイジム「IDEAL GYM」代表。現役時代は、極真空手・K-1などで活躍し、現在は数多くのチャンピオンを育てる。

知る、分析する、行動することで、成功は掴める。

空手との巡り合い

渡辺 9歳の時に空手を始めたのですが、きっかけは、たまたまやっていた格闘技のテレビを見たことです。ウィリー・ウィリアムス選手が、胸パンチ一撃で相手を倒したシーンが衝撃的で。その選手が空手家だったので、空手を習いたいと思いました。

分析力は子供の頃から培われていた

渡辺 青森県八戸市の空手道場に通っていたんですが、あまり選手がいませんでした。なので、父に空手のビデオを買ってもらったり、お小遣いで空手の本を沢山かって、ひたすら強くなる為に研究しました。1日中、空手のことを考え、研究した成果を実践の練習で試してみる。頭を使いながら練習に明け暮れました。



泥仕合のデビュー戦

渡辺 デビュー戦は小学校5年生の時でした。スパーリングでは無敵だったので、試合もテクニックで綺麗に勝てると思っていましたが、現実はそうはいきませんでした。相手も必死で勝ちにきていたので、最後は自分も力ずくで勝った泥仕合でした。簡単には思い通りにならないことが、子供ながらにわかりました。

成功体験を積み重ねる

渡辺 地元の大会や地方の大会で優勝できるようになって、いつかは全日本のチャンピオンになるという目標を設定しました。高校生の時、全日本極真青少年空手道選手権大会で3連覇を成し遂げることが出来ました。その後、4年に1回開催される世界大会に出ることを目標設定し、それも2007年に日本代表に選ばれ第9回全世界空手道選手権大会に出場することが出来ました。空手時代、成功体験は多かったと思います。



ムエタイに遭遇する

渡辺 世界大会に出る年に、キックボクシングジムに出稽古に行きました。自分の蹴り技やテクニックはNO1だと思っていたのですが、タイ人のおじさんトレーナーにいいように遊ばれてしまいました。向こうは現役を引退してお腹も出ているトレーナー、片や自分はこれから空手の世界大会に出場する現役バリバリ。ムエタイの技術体系のすごさに衝撃を受けました。そこからムエタイにはまりましたね。知らない技術に触れることは刺激的ですし、自分にとってプラスにしかなりません。

キックボクシングへの転向

渡辺 キックと空手は全然違います。転向することに不安は特にありませんでした。比較的器用な方なので、ボクシングジムに行っても、キックに行っても、対応は早かったです。ただムエタイの深み、奥深さを理解するのには時間はかかりました。トレーナーになってからの方が、現役時代にわからなかったムエタイの奥深さを理解することが出来ました。選手を実際に育てることで理解できることもあるんですね。



引退・・・指導者へ

渡辺 引退を決意した最大の理由は「怪我」ですね。最初は足首を痛め、1年間休養しました。1年ぶりに試合をしたのですが、その時に今度は靱帯を切り、また1年間休養。引退しようかとも考えましたが諦めきれず復帰。その復帰戦では1ラウンドKO勝ち。まだイケるかなと希望を持ちました。結局その後の試合でボロボロになり、身体の限界を感じました。引退を決意。まだ身体が動けるうちに選手を育てたいという次の夢が芽生えました。

独自の指導方法でトップファイターを育成

渡辺 もともと教えるのは得意でした。実際、空手のチャンピオンもいっぱい育てましたし。子供の頃に培った分析能力は、大人になるまで磨いてきましたので、他のトレーナーと少し考え方や指導方法が違うかもしれません。基本的な身体の使い方などは、統一して教えていますが、その他は全員に違うことを教えています。おまえはこうした方がいいとか、ここを伸ばした方がいいとか。皆、違うんで。試合スタイルや運動神経、とくにその選手の性格を重視しています。性格は結構重要な要素だと思います。

錚々たる選手が集まるジムへ

渡辺 ジムを立ち上げた時は、フィットネスをメインにアマチュア選手を育てていければいいかなと思っていたのですが、今では各団体でトップに立つ選手やチャンピオンなど錚々たる選手が集まって練習しています。人が人を呼ぶ。自分の指導が評価されていると自信になりますし、やりがいはありますね。



今後の目標(理想)

渡辺 まずチャンピオンを沢山育てたいですね。可能性のある選手は沢山いるので、彼らの良さを最大限に発揮できるよう、徹底的に分析しサポートしていきたいと思っています。もう一つは、GYMの拡大です。IDEALをもっと増やして展開していきたいですね。IDEAL主催のアマチュア大会や、自主興行などやって、選手の底上げや格闘技を盛り上げるのに一役買いたいです。

その為に必要なこと

渡辺 指導者を育成することです。自分のノウハウを今からばら撒いていくこと。選手で大成できなかったことにコンプレックスを感じることはないと思うし、優秀なトレーナーになることは可能だと思います。それに力を入れています。

空手をやっていて良かったこと

渡辺 やっぱり人脈ですね。子供のころから日本中の大会に出ていましたし、世界大会では世界中の人と知り合うことが出来ました。幅広い年齢層と触れ合い、それが今の人脈としてしっかり培われていると思います。

メッセージ

渡辺 個人的な意見ですが、やりたいと思ったことは行動に移した方が良いと思います。また、自分の知らないものに触れることも、自分の世界観が広がるので大事なことだと思います。人生、いろんな事を知り、学び、自分のプラスに変えていく。知らないことを知れば疑問も出てくるし、その疑問を考えることで理解が深まる。行動しないと人生は充実しないのかなと思っています。今の状況を冷静に客観的に分析してみると、見えなかったもの、気づかなかったものが、見えてくると思います。



協力

場所:IDEALジム
撮影:山さん

 
 

プロフィール

株式会社アゴラ
柏木 太郎

様々な業種業態(異業種)と交流し、共同で新規プロジェクト立上げに参加する。



HP:株式会社アゴラ

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