産学連携&SDGs防災の取り組み 防災×RADIO
毎週、日曜日の午後2時から全国111局のコミュニティラジオで防災番組を放送しています。

防災の専門家である東京大学教授の目黒公郎先生と共に、様々な防災に関するお役立ち情報をご紹介し、その意味を一緒に考え実践するための防災番組です。
さて、本日は防災の「コストからバリューへ」と「フェイズフリー」という考え方についてお話したいと思います。どちらも、日本SDGs防災機構の代表である目黒先生(東京大学教授)が発信されている考え方です。
みなさんが防災グッズについて考える時、人助けでお金を儲けるのってどうなの?と感じてしまう事はないでしょうか?
でも、目黒先生(東京大学教授)は、ボランティアや好意など無償で行うことはサスティナブル(持続可能)ではないといいます。
そして、防災をビジネスとして成立させ持続可能にする「コストからバリューへ」という考え方があります。ここでの「コスト」となる防災対策は、継続性がなく、有事にしか効果が確認できないもの。対して、「バリュー」となる防災対策は、ふだんから企業や地域に価値やブランド力をもたらす継続可能なもの、です。この「バリュー」については掴みづらいと思うので、後ほど例えを挙げるようにしますね。
では次に、「フェイズフリー」。日常から身の回りに存在するアイテムやサービスを、ふだんはもちろん有事にも役立てることができるという考え方が、フェイズフリーです。「フェーズフリー」にしていく事で「バリュー」をもたらすと共に、結果的に災害適応力の高い社会にしていく事がとても大切とされています。
まず、この「フェイズフリー」の考え方を用いれば、企業が防災関連のアイテムやコンテンツを考える時に、防災用の新商品開発する事が必須ではなくなるのです。1からの防災商品開発よりも、今取り扱っている普段用のアイテムにちょっとだけ「災害時にも活かす工夫」をする事が有用な場合もあるという事です。そんな風に考えると、企業のみなさんも「この自社商品は防災にも使えるかも?」というアイデアが湧いてくるのでは無いでしょうか?
例えば、最近はこんな新規参入も見受けられます。
以前は乾パンや普通の缶詰などが主流だった非常食業界に、最近では一見防災とは無関係に思えるお菓子メーカーや飲食店が参入し台頭してきている・・・というものです。
被災時にも普段食べている美味しいものを食べて欲しいという想いから、防災業界以外の大手企業が防災にも取り組む事例がとても増えているようです。被災時にも普段食べている美味しいものを・・まさに「フェイズフリー」ですね。
また、少し多めに買っておいて食べながら循環させる「循環型備蓄」もあります。フェイズフリー×循環型備蓄の提案から始めれば、新商品開発をせずに今ある商品だけで防災ビジネスに参入できるだけでなく、買上げ点数・買上げ回数UPも狙えます。
循環させるアイデアは、このコロナ禍のおうち需要に合わせた備蓄品のクッキング提案や、お庭で備蓄品のキャンプ提案など沢山ありそうです。ここで唐突に登場したキャンプ。実はキャンプ用品も「フェイズフリー」に当てはまる防災にも役立つアイテム。ですので、循環型備蓄の提案と共に、「キャンプを楽しむテントで避難生活のプライバシー確保を」というような提案もできそうです。
このような「フェイズフリー」=「ふだんに役に立ち、有事にも役立てることができる」アイテムやサービスをお客さまに提案したりする事により、自社や地域にバリュー(例えば、売上・利益拡大・各種優遇など)をもたらす事ができると良いですね。
ただ社会貢献の為だけに防災に参入することは「コスト」になってしまいますが、そうではなくて「バリュー(例えば、企業の利益拡大や税制優遇など)」が伴えば、防災ビジネスを持続できるのではないでしょうか?
「バリュー」の典型的な事例についても、いつかコラムでご紹介できたらと思っていますので、お楽しみに!
みなさんも是非このラジオをお聴き頂き、自社商品を活かした防災ビジネスへの参入を考えてみて下さい。そして、もし良いアイディアが浮かんだら、ぜひご連絡ください。アイデア次第で、ラジオで目黒先生(東京大学教授)と対談するチャンス?があるかもしれません!