小さな会社の広報術

第7回

小さな会社のCSR

 

地域社会に貢献する

今年に入ってから「CSRを考えたい」というご相談を受けることが多くなりました。それを広報していくことで社会や顧客の信頼を得ることができますが、残念ながら一朝一夕でできるような活動には、広報する価値はありません。CSR活動は単発のイベントとしてより、継続してこそ力を持つものだからです。では、小さな会社でもできるCSR活動とは何でしょうか。

CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の頭文字で、日本語では一般的に「企業の社会的責任」と表現されます。大企業は、ウェブサイトにCSR活動のページを持っているくらい普通にこの言葉を使いますが、小さな会社ではまだほとんど使われていません。

CSRは大企業のやること、と勘違いしている経営者の方も多いかもしれません。なぜなら、メセナ活動と呼ばれた文化芸術活動のサポートと混同している方も多く、事業とは関係ない分野で何か社会貢献をすることというイメージがあるのでしょう。

実際に、金融関連会社が海外で植林をしたり、商社が地方で田植えをしたり、という事例はよくあります。しかし、小さな会社で行う場合、事業のドメインに近い分野、内容で実施することに意味があるのではないでしょうか。

地元の地域に焦点をしぼってみてもよいかもしれません。そうした視点で見ると小さな会社のCSRは「地域社会になんらか貢献すること」をテーマにすることを提案したいと思います。皆様の会社では何ができそうですか。

代表的な2つのパターン

地域社会への貢献の方法は、だいたい「寄付系」「行動系」に大別できるのではないかと思います。代表的な取り組みの大枠についてご説明していきます。

寄付系とは、寄付を主体とする取り組みで、直接寄付をする方法、環境・自然保護関連の財団やNPOを通じて寄付をする方法、寄付行為をマネジメントするサービスを通じて寄付をする方法などがあります。

選ぶポイントは、どんなテーマで寄付できるか、寄付先が特定できるかどうか、寄付している財団やNPOの活動に賛同できるかどうか、他の参加企業の顔ぶれです。

数年前からは自社の二酸化炭素排出量をオフセットして、それを植林の基金にするようなカーボンオフセットを通じた寄付の仕組みも広がり、単なる寄付だけでなく行動も伴うものも出てきました。

行動系では、地域のお祭りに協賛するような地元密着のもの、全国展開しているNPOの活動に参加するもの、行政が主体となっているものなどがあります。これらは、なぜその活動に参加するのか、という理由を明確にして選ぶとよいと思います。

社員も納得して楽しく続けられるものを選んだり、貢献の方法を吟味したりするほか、既存の団体に連携するのではなく、自社ならではのやり方を新たに構築してもよいと思います(そのほうが、広報としてはニュースリリースが書きやすいでしょう!)。

作ると意味を持つ、CSR報告書

中小規模の企業だからこそ、作ったほうがよいと常々お話ししているのは、上場企業ではおなじみの環境報告書やCSR報告書です。経営者からのコメントで象徴的なのは、「作るのに何の意味があるのか」「うちはまだ早い」というものです。

これも大企業だけのものと考えがちですが、そうではないと思います。その企業に見合った内容で作るという意味では、ページ数はたとえば1ページでもよいのです。デザインや印刷も凝る必要はないでしょう。

多くの中小企業は少なからず地域貢献の活動をしているはずです。環境関連のイベントに参加したり、何らかの寄付をしたりしている会社も増えているでしょう。そのようなことに特化して説明する資料と考えればよいのです。

ウェブサイトで記載しているからよい、と考えている企業は多いかもしれませんが、それが資料としてまとまっているほうが、もっと活用できると思いませんか。

人と時間を割く優先順位は重要ですが、報告書を作成する最初の一歩を踏み出してしまうと翌年からは更新する作業になるので省力化できます。内容構成や、こうしたレポートを作成すること自体が、企業によってはニュースリリースするのに値する場合もあります。

何のために作るのか。それは、自社を説明し、正確に伝えるために他なりません。広報として基本情報を「伝える」ツールのひとつです。メディアほか外部からの質問があったときに、整理された情報があることは企業としての信頼にもつながります。

 
 

プロフィール

株式会社アルゴマーケティングソリューションズ
PRコンサルティング部

メディアリレーションズ担当 田熊秀美

【経 歴】
有機野菜宅配企業で社長秘書、会員向け会報誌の編集を経て1996年、広報チームリーダーに。広報として情報発信することの影響力、活用方法を学ぶ。環境関連財団法人での広報兼務後、経営コンサルティング会社を経て、2002年より現職。生産材(BtoB)企業を中心とした広報コンサルティングのほか、セミナー「小さな会社の広報術実践会」「企業広報実務講座」を運営。広報機能を企業に“移植”することを目指し、基礎知識と実践ノウハウを提供している。2017年よりBtoBの技術マーケティング会社である株式会社アルゴマーケティングソリューションズの一部署として活動し、BtoB分野に特化した記者発表および広報実務請負業に従事している。

上記セミナー詳細:http://argo-ms.com/seminar/
問い合わせメールアドレス:info@argo-ms.com

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