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営業担当になった技術者のための「あらためて知っておきたい」営業マナー

第4回

メールでのコミュニケーション(ビジネスマナー 基本のキ編)

株式会社アルゴバース  瀧田 理康

 

 社内の連絡はもちろん、お客様とのやりとりにはメールを使うことが圧倒的に多いと思います。メールがコミュニケーションツールとして地位を確立し、スマートフォンやSNSが普及してきて、インターネットを経由したさまざまな文字によるコミュニケーションが存在するようになりました。営業担当者としては、これらをどのように使いこなすのか、まだ確立したマナーはありません。お客様のスタイルに合わせるのが営業担当者としては当然なのですが、短いメールやSNSにはコミュニケーションミスを起こすリスクがあることを忘れてはなりません。最近は携帯電話のショートメッセージを使われるケースもあります。私はお客様からショートメッセージで来た場合にはショートメッセージで返信対応しますが、自分からの発信の場合にはメールを使うようにしています。メールでのコミュニケーションについてはいろいろな書籍で書かれていますので、ここでは営業担当者として押さえておきたいポイントを述べます。


●宛先を絶対に間違えない

当たり前ですが、これがあり得るのがメールの怖いところです。必ず送信前に相手が正しいかチェックする癖をつけましょう。相手が間違っていなかったとしても、ccに正しい人がはいっているかどうかも大事です。「私にはccが入っていなかった」と気にするお客様もいらっしゃいますし、入れてはいけないccの方もいらっしゃいます。スマートフォンで素早く返信を行う場合など、注意が必要です。


●相手先をきちんと書く

メールは素早さが必要です。手紙とは違いますから、いきなり本文から入る人もいます。この点については、メールのマナーがいろいろあるようですが、私は営業担当者としてはしつこいぐらいに相手の部署名と肩書、名前を入れた方が良いと思います。


●内容は簡潔に

ビジネスのメールであれば手紙とは違うので季節の挨拶などは不要であると思います。ただし多くのメールでは、「いつも大変お世話になっております」という枕詞はついているようです。このあたりも確たる基準はありませんが、相手に対して敬意を払っていることがわかれば最小限にしましょう。本文が簡潔であることは、ビジネス文書の基本を踏襲していればメールに限ったことではありません。


●変換ミスに注意

漢字変換ミスは恥ずかしいミスですし、相手に自分の不注意さをアピールしてしまうことになります。何より、意味が異なって伝わってしまうリスクがあるので、細かくチェックしていきましょう。


●重いファイルを添付しない

自社の通信環境がよいからといって相手が同じとは限りません。平気で重たいファイルを添付してくる人は受け取り側としては印象が悪いので注意しましょう。重くても2MB以内が適切といわれています。


●署名をつける

「相手とのやりとりが慣れてきているのだから、署名なしでよいだろう」ということはありません。ビジネスメールでは署名をつけるのは常識です。連絡先も常に明記しておきましょう。


●適度に改行する

一つ一つの文章を簡潔に短くするのは、文章を書く基本です。それでも、どうしても長くなってしまうケースがあると思います。改行のない、横に長いメールは相手のソフトによっては分断されたり、横にスクロールしなければならなかったり状況が変わります。営業担当者としてはそこまで気を使ってなるべく完結に文章をつくり、適度に改行をしていきましょう。


●SNSやショートメッセージは、相手に即レスを要求してしまうことを念頭に

たとえこちらはそのつもりがなくても、その手段を使うということは相手からすれば即レスを求めていると思わると考えましょう。メールの利点は、相手の時間を干渉しないことです。SNSやショートメッセージは電話に近い感覚になりますので、相手の状況によって使い分けましょう。


メールでのコミュニケーションマナーについては、そのほか、ウイルスリスクの観点などからも多くの注意点があります。これからもいろいろなマナーが増えていくとは思いますが、営業担当者の心構えとして大事なのは、とにかく受け取る立場に立ってメールを送るということです。


受け取る立場に立ってメールを送るという観点で、特に添付ファイルにまつわるもう一つのポイントを最後にお伝えします。

相手からもらったメールにあるはずの添付ファイルが見当たらないときがあります。想定できるのは「相手が添付を忘れた」という状況ですが、まれに、何かの事情で添付ファイルが消えてしまうこともあるようです。つまりメールの送受信は完璧ではないのです。

だから、添付ファイルが見当たらないときに、相手が忘れていると断定しないコミュニケーションをおすすめします。たとえば私は「どうしても添付ファイルを見つけることができないため、お手数ですが再度お送りいただけると助かります」と返信するようにしています。実際同じようなメールをもらったことがあり、そのときは添付を忘れて申し訳ないと思うと同時に、気を遣っていただいたことに感謝しました。

 

プロフィール

株式会社アルゴバース
代表取締役社長 瀧田 理康

東京理科大学卒。自動車関連部材メーカーで、事業企画担当に抜擢され、本部長直下で一人で事業企画を担当。全国の販売会社、子会社と本社との橋渡し、各種会議、社長会、イベントのファシリテーションを行う。軌道にのったところで、社内ベンチャーの立ち上げメンバーに指名され一からやり直し。行ったこともなかったシリコンバレーや欧州への売り込みから工場生産管理まで行い、利益率20%の事業まで作り上げた。独立性が高く事業価値が高かったため、最終的に事業売却となる。アルゴバースでは、新規事業開発、広報・PR&販促の分野で技術がわかる点を強みに、BtoB企業のクライアントを広げている。事業売却とそれに至った経験と理論を体系化して、新規事業開発の支援を本格稼働。単なるコンサルティングではなく、最終的に実務を伴うソリューション提供をモットーとしている。

・中小企業診断士、リスクマネジメントプランナー(一般財団法人リスクマネジメント協会)、PRプランナー(PRSJ)
・著書は「新規事業開発」「経営基本管理/マーケティング」(ともに日本マンパワー出版)等
・2020年、「新規事業実務研究会(旧:ステージゲート法実践会)」立ち上げ


Webサイト:株式会社アルゴバース

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