アスリート・マインド ~挑戦者~

第4回

【山田悦弘選手】柔術家・ホロイムア代表/困難な状況でも前に進む

柏木 太郎 2021年6月1日
 

<山田悦弘選手プロフィール>

24歳、格闘技未経験でブラジリアン柔術を始め、世界大会ワールドマスターで準優勝する。現在は格闘技ジム「ホロイムア」を運営する経営者・指導者・グラフィックデザイナーの顔を持つ。

思い立ったが吉日

球技しか知らなかった

山田 小学校の3年生くらまではサッカー。その後、ボーイスカウトを6年生まで続けました。中学校では軟式テニス部、高校では硬式テニス部、途中からバレー部に入りました。専門学校や社会人になってからは友達とバスケをしたりしていました。球技ばっかりでしたね。身体を動かすことは好きだけど、試合などメンタルは弱かったですね。

今までにない衝撃を受ける

山田 専門学校を卒業して、大日本印刷に就職しました。5年間在籍したんですが、当時はとにかく忙しかった。自分の時間が無かった。自分の人生ってこの先どうなるんだろう?これは望んでいた人生じゃない、そう思い会社を辞めました。かと言って、具体的にやりたい仕事や没頭できる趣味もなかったんですけど。そんな時、同僚から格闘技でもやってみたらと言われ、1本のビデオ(当時VHS)を借りました。PRIDEという総合格闘技イベントのビデオで、桜庭選手とホイス選手の試合に衝撃を受けました。それまでは格闘技に一切興味無かったので、2人がどんな選手かも知らなかったのに、とにかく衝撃的でした。格闘技をやってみたい…それが23歳の時でした。

1年を無駄にした

山田 今でこそ、思い立ったら吉日で行動していますが、当時は格闘技を始めたいと思う反面、メンタルが弱かったので、1年間はジムに見学にすら行けなかったです。格闘技=殴られる、痛い。当たり前のことですけど、ビビッてました。なかなか動けなかったので、最後は友達や仲間に「俺、格闘技やるから」と言いまくり、退路を断ちました。24歳の時、ようやく格闘技ジムに入会しました。今思うと無駄な1年だったなと思います。



サラリーマンをしながら柔術家へ

師との出会い

山田 当初は総合をやるつもりで格闘技ジムに入ったんですけど、練習プログラムの中に「ブラジリアン柔術」というクラスがあって、柔術って何だろう?と思って参加してみました。道着を着ているんだけど、なんか柔道とは違うことやってるなっていうのが最初の印象でした。そこで出会ったのが宍戸先生(宍戸勇)です。当時はブラジリアン柔術のプルーマ級(現ライトフェザー級)2強と言われていたうちの一人。宍戸先生から柔術の楽しさを教えてもらいましたし、宍戸先生じゃなかったら続けていなかったかもしれない。僕の中では、そんな出会いでした。

柔術の楽しさ

山田 柔術って常に新しい技が増えているんです。つまり自分の考えたオリジナルの技が作れるっていうこと。柔術のテクニックの幅の広さ。そこに可能性というか、楽しさを見つけた感じです。僕はもともとクリエィティブな仕事をしていたので、そのあたりが合致しました。

3カ月間やりきると決めた

山田 今まで、スポーツは全部中途半端でやっていた。せっかく大人になってやるんだから、やりきろうと思いました。センスがあろうがなかろうが、とにかく3カ月間はやりきろうと自分の中で決めました。それから18年続いています。



8年かけて目標を達成

山田 柔術を始めて最初の目標は黒帯へ昇格すること。最短だと5年。妻には5年で黒帯になると宣言しました。格闘技未経験の素人の僕が何の根拠もなく、ハードルの高い目標を設定。試合で結果を残しながら茶帯へ昇格。最後の条件は全日本大会アダルトでの優勝でした。トーナメントでは過去に僕が負けた相手と当たり続けましたが、無事優勝。優勝した時は、爽快感でいっぱいでした。これで黒帯昇格。8年かかりましたが、目標を達成することが出来ました。

目標達成後が大切

山田 正直、大きな目標である黒帯昇格したことで、虚無感・喪失感を感じました。ポカンとする日が2週間くらい続きました。このままじゃダメになると思い、次の大きな目標設定が僕には必要でした。

格闘技未経験者が世界一に

山田 24歳で始めたブラジリアン柔術。未経験者でも頑張れば黒帯に昇格できることを証明することが出来た。次は、未経験者が世界一になれることを証明したい。カッコイイじゃないですか。それから、ワールドマスター大会へ参加し続け、2016年に世界2位になりました。あと一歩のところで冷静さを失ってしまった。必ず世界一を獲り、大人になってから始める人たちに道筋を作りたいですね。



悔いのない人生

恩返し

山田 最も忘れられない試合が2つあります。僕が柔術を始めた時にプルーマ級2強と言われていた宍戸先生と吉岡先生。このお二人と試合が出来たことです。当時は雲の上の存在、憧れでした。本当にお世話になったお二人と最初で最後の試合。いずれも負けてしまいましたが、同じ土俵に立てたこと、本当に恩返しできたと思っています。さすがに感極まりました。

敷居なんて低い方がいい

山田 悔いのない人生を送りたいと思って生きています。やりたいと思ったらやってみる。やり遂げる。4年前に、格闘技ジムをオープンしました。ジム名は「ホロイムア」。コンセプトはお洒落な感じをイメージしています。格闘技=厳しい・怖いというイメージを出来るだけ払拭し、初心者でも子供でも女性でも気軽に入会できるよう、最大限に敷居を低くしました。ワールドマスター大会優勝の他に、ホロイムア2店舗目のオープンも今後の目標です。



ホロイムア=前に進もう

山田 ホロイムアはハワイ語で、「前に進もう」とか、「たとえ困難な状況でも前向きに行こう」という意味があります。身体を動かすくらいの気持ちで、柔術の楽しさを知ってもらえたらと思っています。柔術をやっていて一番良かったことは、ポジティブでいられること。練習が終わって、みんなで笑顔になれる環境。なんとも言えない心地よさです。子供でも女性でも気軽に始められる競技だと思います。

メッセージ

山田 ジムを経営するまでは、サラリーマンをしながら柔術をしていました。何かを成すには、目標を達成するには、それをする為の環境作りが必要です。ただこんな時期なので、自分ではどうすることも出来ない状況になることもある。それでもやりたい事を見つければ、遠回りになっても必ず出来ると思っています。仕事での自分の代わりはいくらでもいるかもしれない。でも自分の人生で自分の代わりは自分しかいない。疲れたら休めばいいし、頑張りすぎない。僕が出来たんだから、大丈夫です。



協力

場所:ホロイムア
撮影:山さん

 
 

プロフィール

株式会社アゴラ
柏木 太郎

様々な業種業態(異業種)と交流し、共同で新規プロジェクト立上げに参加する。



HP:株式会社アゴラ

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