「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第23回

経営力向上計画策定をバネにする(上)

落藤 伸夫 2017年6月19日
 
金融機関に我が社の事業性を評価して融資してもらうため、「経営力向上計画」を作成するというアプローチがあります。シンプルながらも企業の現状を的確に表現した上で潜在能力をあぶり出し、成果を出すまでの経路をきちんと表現した経営力向上計画を準備すれば、事業性評価をベースにした融資を前向きに検討してくれるようになるかもしれません。

これまで経営力向上計画の作成について何件もご支援してきましたが、そのうちに気がついたことがあります。それは、経営力向上計画を作成することが、中小企業自身にとって「バネ」になる、つまり我が社を見直したり、「これから何に取り組んでいけば良いのだろうか」を考えるきっかけになるということです。「ささっと作成してしまえば良いのだな」と考えるのは、非常にもったいないと言わなければなりません。では、どうやって経営力向上計画を「バネ」にするかについて、今週と来週の2回に分けてお話ししたいと思います。


経営力向上計画の構成

経営力向上計画の構成を、改めて見てみましょう。以下の構成とするよう定められています。

1 (計画策定企業の)名称等
2 事業分野(業種)と事業分野別指針名
3 実施期間
4 現状認識
 (1) 自社の事業概要
 (2) 自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
 (3) 自社の経営状況
5 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
6 経営力向上の内容
7 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
8 経営力向上設備等の種類
(以上のうち「7」と「8」は該当する制度の活用予定がなければ記入する必要はありません)。


2 事業分野(業種)と事業分野別指針名

最初に我が社の業種と「事業分野別指針名」を記載します。業種とは「製造業」や「卸売業」、「サービス業」などのことですが、それを公的に定められた「日本標準産業分類」を使って、「中分類」と「細分類」についてコード(数字)と項目名を記載します。
<日本標準産業分類>
http://www.e-stat.go.jp/SG1/htoukeib/TopDisp.do?bKind=10

経営力向上計画では、「6 経営力向上の内容」で、我が社がどのようにして生産性を高めていくか、つまり儲ける力を高めていくかを記載する必要があります。

「と言われてもね。できそうなことは手がけてきたので、今更新しいことをやれと言われても、思いつかないよ」と思われる方もおられるかもしれません。その場合、「事業分野別指針」が役に立つかもしれません。「事業分野別指針」とは、事業分野(業種)ごとに儲ける力をアップする方向性が提示されたものです。
<事業分野別指針>
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/kihonhoushin.html

例えば製造業なら「イ.従業員等に関する事項」、「ロ.製品・製造工程に関する事項」、「ハ.標準化、知的財産権等に関する事項」、「ニ.営業活動に関する事項」、「ホ.設備投資並びにロボット及びITの導入等に関する事項」、「ヘ  省エネルギーの推進に関する事項」という製造業の6つのフェイズについて、合計15項目が提案されています。

例えば「イ.従業員等に関する事項」なら「(1)多能工化及び機械の多台持ちの推進」と「(2)継続的な改善提案の奨励」が、「ロ.製品・製造工程に関する事項」なら「(1)実際原価の把握とこれを踏まえた値付けの実行」と「(2)製品の設計、開発、製造及び販売の各工程を通じた費用の管理」が挙げられています。

経営力向上計画では、該当する業種(事業分野)について「事業分野別指針」が提示されている場合には、それに基づいて「6 経営力向上の内容」を書き込んでいかなければなりません。最初(「事業分野別指針」を読み込む前)、私は「大きなお世話だよ」と感じましたが、よく読んでみると、とても検討の行き届いた指針でした。ほとんどの中小企業にとって「これまで取り組んでいなかったが、効果が上がりそうな対策」を探すには、うってつけのツールになると思います。是非、活用してみてください。


3 実施期間

経営力向上計画でもって儲ける力をアップさせていく取組みを行う期間を定めます。経営力向上計画では、例えば労働生産性なら、5年間の計画の場合には5年後に2%以上の伸び率を、4年間の計画の場合には4年後に1.5%以上の伸び率を、3年間の計画の場合には3年後に1%以上の伸び率を達成できるよう目標値を定めることが求められています。

このような数値目標の達成を目指すにあたって、業種や業態、取組み内容によって、取組みを始めればあまり時間をおかずに成果が出る(小売業の従業員の行動を変える取組みなど)場合もあれば、時間を要する(製造業の設備投資を伴う取組みなど)場合もあるでしょう。これら要素を考えに入れながら、実施期間を考えていくことになります。


4 現状認識

経営力向上計画では、将来計画を立てる前に、現状認識するよう促しています。「自社の事業概要」や「自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向」、「自社の経営状況」は、当たり前すぎてバカバカしく感じられるかもしれませんが、それを改めて書面に著すことによる発見は多いと感じられます。

私がご支援した計画書を見て、ある会社の社長さんは、それを用紙にコピペして事務所に貼り出したそうです。いつも当たり前だと思っていることでも、それを紙に書き出すことで可視化されて「これはなんとかしなければならないな」と感じるきっかけになるからでしょう。

また経営力向上計画の作成にあたっては、「ローカルベンチマーク」を活用することも勧められています。ローカルベンチマークとは、自社の決算書からポイントを入力することで、同業者との対比がレーダーチャートで示されるものです。ローカルベンチマークでは「売上増加率」、「営業利益率」、「労働生産性」、「EBITA有利子負債倍率」、「営業運転資本回転期間」、「自己資本比率」という6つの分野で業種平均と比較したポイントが示された上で総合評価点が表示されます。自社を客観的に評価する、よいチャンスになるかもしれません。
<ローカルベンチマーク>
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/


「5 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」以降については、次回に続きます。

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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