「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第18回

金融機関が質問する意図

落藤 伸夫 2017年5月15日
 
事業性評価の時代に資金調達しようと思うなら、金融機関とのコミュニケーションが大切になります。事業計画書を作成・提出するのもコミュニケーションの一種ですが、実際に金融機関担当者に会い、話をすることが効果的です。

「しかしな、金融機関担当者と話をすると、質問ばかりで嫌になってしまう。こちらの返答が気に入らなくて、何か悪いことが起きるのではないかと思って、びくびくしてしまうんだ。」そのお気持ち、よく分かります。でも、それは、金融機関担当者が怖い人たちだという意味ではありません。相手のことがよく分かっていないから、怖いというだけです。金融機関担当者が何を考えているかが分かると、恐怖心も軽くなることでしょう。

ここでいう金融機関担当者とは、外回りの担当者だけでなく、役席(貸付課長など)や支店長も含まれます。というか、主に役席や支店長に面談することが勧められます。「実際、そういう人たちこそ、よく質問してくるから嫌なんだ。こちらを判断する立場だからな。」そうですね。では、なぜ金融機関は、企業に質問をするのでしょうか?


金融機関はなぜ質問してくるか

それは、面談相手の企業が融資できる相手なのかどうか、常に検討しているからです。「足元をすくうような話を求めているのだな。」そういう姿勢の金融機関・担当者が誰一人いないとは約束はできませんが、ほとんどの場合、フェアな態度で検討していると感じられます。特に地元に密着して活動している地方銀行や第二地銀、信用金庫、信用組合などは、地元企業のことをよく知りたいと思って、多く質問してくることでしょう。

金融機関の本業は融資です。いくら預金を集めてきても、それを貸し出さなければ利益をあげることはできません(もう一つ、株式や国債などの運用でも利益をあげることはできますが、融資がメインであることに変わりはないでしょう)。このため、融資先として適当な地元企業はないかどうか、いつも気にかけています。質問は、融資を断るための口実というより、融資を行いたいと思って、すなわち自らの本業拡大を目指してのことと考える方が、自然です。


企業に有利なことも記録に残る

貸出先企業経営者と面談した金融機関担当者は、ほとんどの場合、それを記録に残して上司に報告し、記録にとどめています。記録内容は、企業にとって不利な内容だけではありません。企業にとって有利なことも(きちんとアピールされていれば)、記録に残されます。ネガティブな情報がないか、聞き逃すことのないよう耳を皿のようにして聞いていることに間違いはありません。一方で、ポジティブな情報にも耳をそば立てています。特に事業拡大のための新規投資などには強い関心を持います。

但し金融機関は、融資の希望があればどんな案件にもすぐに飛び付くわけではありません。その逆ですね。「貸し倒れの可能性は如何ほどだろうか」ということにも気にかけています。


金融機関から知恵を借りる

「ほら、そうやって、貸し倒れるという前提で話を聞いているのだ。」そう解釈する必要はないと思います。ここは逆に、金融機関の知恵を借りるつもりになるのは如何でしょうか?金融機関は、お金を借りて失敗した例を山ほど見ています。数多くの倒産事例を見てきたから、貸し倒れの発生する可能性が高い企業に見られる「兆し」に気がついているのです。それが見えていないか、質問しているのかもしれません。

貸し倒れに至る可能性が高い「兆し」の代表例として「やるべきことをきちんと計画して実行する体制を作っていない」ことや「起こりそうなリスクを想定し、対策をしていない」ことが挙げられるでしょう。例えば、ある製造業者が融資を受けながら設備投資をしようとしている時に、「当該設備を一定以上の稼働率で活用できるほどの需要・販売先の確保」や「高度な加工が可能になる技能等の習得」などを確実に行う計画を立てていなかったり、「当該設備を使って仕事した時の利益予想」をシビアに行なっていない、「既存取引先が期待するほどの発注をかけてこなかった」場合の代替策などリスクヘッジをしていない場合には、当該設備投資が不首尾に終わる可能性が高いと想定できるのです。

金融機関は、こういうノウハウをもとに、いろいろな質問を投げかけてくるのだと考えられます。「需要があるのか?」、「使いこなせるのか?」、「利益は出るのか?」、「万一、期待する取引先が発注してこなかった場合はどうするのか?」などを聞くことによって、そのチェックをしている訳です。

という金融機関の意図が分かれば、それを意地悪だと捉える必要はないでしょう。借入しながら設備投資する場合の落とし穴を事前に教えてくれている訳ですから、それに対応すれば良いのです。「万一、期待する取引先が発注してこなかった場合はどうするのか?」と質問された時に「嫌なことを質問するね」と感じて言葉を濁すのではなく、「良いことに気付かせてくれました。次に会う時までに、そこを考えておきます」と答えれば良いのです。


質問を歓迎して計画をブラッシュアップする

こうやって考えてみると、金融機関の質問は、むしろ歓迎すべきでしょう。無料で貴重なノウハウを教えてくれていることになるからです。また金融機関が質問してくるのは、御社に対して関心があるこそです。「設備投資の予定があるのですが・・・」と言っても何も質問してこなかったら、逆に「関心がないのか?借入の可能性はないのか?」と考えた方が良いくらいです。金融機関が質問してきたら「我が社の動向に興味を持ってくれているのだな」と察して歓迎し、きちんと答えられるようにしたいものです。

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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