「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第46回

戦略とマネジメント

落藤 伸夫 2017年12月4日
 
「事業性評価融資を得るためには、どんな事業計画書を書けば良いですか?」という質問を、よくお受けします。こういう質問をお聞きすると、まずは「事業性評価融資を得るためではなく、あなたの会社を元気にするためですよね」と心の中では笑ってしまうのですが、結局は同じ意味なので、笑顔で答えるようにしています。「儲かるビジネスを、社員と力を合わせて行おうとする事業計画書です。」


儲かるビジネスとは

「儲かるビジネス」と聞いて、ビジネスを変えなければならないと思われる社長さんも時々おられますが、ほとんどの場合、その必要はありません。そうする体力もありません。今まで何年も続けてきたビジネスを、今になって急に変えることは、よほど考え、計画し、準備し、それに耐える蓄え等がある企業でなければ難しいのです。なので多くの場合、「今やっているビジネスを儲かるものにする」という意味になります。

「しかし、これまで何年もかけてトライしてみたけれど、全く儲からなかったのだけれど」という声をよくお聞きします。そう思ってしまうお気持ち、よく分かるのですが、実際にそうでしょうか?社長さんとヒアリングしてみると、実際にはトライしていないことが山ほどあることの方が多いように感じられます。「売上拡大策はしましたか?」と聞くと「やってはみたけれど効果があがらないので止めてしまった」、「経費削減策はしましたか?」には「同じくトライしたが効果がないので止めた」という感じです。

多大な努力をしたのに効果があがらないと止めたくなる気持ちもわかります。しかし、その効果があがらないのはなぜでしょうか?効果があがりにくい策をとってしまったのならば変えてみることができます。効果があがるまでに一定の時間が必要な策ならば、止めてはいけません。せっかくの努力が無駄になります。「そういう検証はしましたか?」とお聞きすると、ほとんどの場合、「いや、そこまではしていない」というお返事です。


社員と力を合わせるとは

今までの策が効果をあげられなかった理由のもう一つとして、社員の協力が得られなかったことが多いようです。「社長としては『この策が良いんだ』と思って社員に実行を求めるのだけれど、実際は条件闘争ばかり。これではイヤになる。」

ある会社でそう聞いた時、最初は「確かにそうだな。社員さんの意識改革から始めなければならないかも」と思ったのですが、試しに社員集会に出席させてもらった時、考えを新たにしました。「どっちもどっち」だったのです。

例えば「職場の整理整頓を徹底しよう」と社長が提案した時、社員が「それなら整理棚を作って欲しい」と応答したのを、社長は「条件闘争」と感じてしまったようです。でも、それは私からすると、課題解決のプロセスを一歩踏み出すための提案と感じられました。条件闘争とは思えなかったのです。それを社長に言うと、「我が社は狭いのだから整理棚など作れない。そういう条件を言って、私の提案をなし崩しにしたいんだろう」と答えていました。

このような場合、どうすれば良いのでしょうか?「整理棚が欲しいというのは、もっともだ。しかし我が社は狭くて整理棚を作るスペースはない。どうすれば良いのだろう」と聞くことができると思います。「提案に対して条件闘争された」と考えるのではなく、「課題解決について社員サイドからの気付きがもらえた」と考えるなら、成功に向かって大きく踏み出すことができます。


戦略とマネジメントがバランスのとれた計画

事業性評価融資が得やすい、言葉を変えれば「あなたの会社を元気にできる」事業計画書とは、このように「儲かるビジネスを、社員と力を合わせて行おうとする」事業計画書です。「戦略とマネジメントがバランスのとれた事業計画書」とも言えるでしょう。

「儲かるビジネス」を行うために、転業などドラマチックな変更は必ずしも必要ではありません。今のビジネスをより儲かるものにするため、できることは沢山あるはずです。「今までいろいろ取り組んでみたけれど、成果があがらなかった。」もしそうなら、その取組みを見直してブラッシュアップするところから始めたらどうでしょうか?これを計画的に行うことは、立派な「戦略」と言えます。

また、戦略を実行するためには社員と力を合わせることが大切です。想いを伝えることも大切ですが、もう一工夫できるかもしれません。新たな取組みを行おうとするときに、経営者と従業員の軸を合わせ、利害を一致させるのです。マネジメントの真髄は、この「軸合わせ」にあると言っても過言ではありません。

もし社長が「今まで何をしてきても効果が上がらなかった」と思っているとしたら、金融機関も同じように「あの会社は、いろいろ頑張ったみたいだけれど、成果を出すのは難しいようだ」と感じているかもしれません。このような状況下「今回の取り組みは、うまくいく可能性が高い。効果的な戦略を立てたばかりか、従業員を巻き込むマネジメントも工夫したのだから」と経営者が思えるようだったら、金融機関も納得してくれる可能性が高いということです。経営者自身が「これなら成果が出るだろう」と自信が持てる、会社を元気にして資金調達もできる事業計画を目指しましょう。

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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