「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第45回

金融機関が事業性評価融資を提案する場合

落藤 伸夫 2017年11月27日
 
新しい時代の資金調達方法として、「事業性評価融資」を金融機関に提案する方法があるとお知らせしています。これは、金融機関が事業性評価融資を行おうとする時に多くの場合に求められる事業計画書を予め中小企業の側で作成して提出することにより、金融機関に事業性評価融資を前向きに検討してもらおうとするものです。

では、金融機関は、中小企業が提案しなかった場合にはどのようにして事業性評価融資を行おうとしているのでしょうか?今回は、そのプロセスについて考えてみたいと思います。

事業性評価融資を行おうとする場合のプロセスについて考えておくのは、とても有意義なことです。中小企業が提案した場合でも、金融機関が融資の意思決定に必要になる題材(情報)には大差ないと思われるからです。金融機関が各プロセスでどんな情報を収集するかを知っておくことで、より効果的に提案ができるでしょう。


候補・事前情報収集段階

最初は、事業性評価融資を行う相手となる候補を挙げていきます。金融機関やその担当者は、さまざまな方法でもって候補を選ぶことでしょう。ある担当者は、これまでに社長からヒアリングした内容を思い出して(記録を参照して)、有望な取組みを行なっている企業をピックアップするでしょう。地域で有力な産業に取り組む企業の中から候補を挙げる場合もあると思います。

候補が挙がると、情報収集をします。候補はほとんどの場合、これまでの取引先から選ばれますから、前回融資時に入手した決算書を分析したり、返済状況などがチェックされるでしょう。さらに、当該企業が属する産業や地域経済の動向、取引先・競合となる企業等の状況についても情報収集するでしょう。


直接的な情報収集段階

次は、候補企業を訪問して直接的に情報収集していきます。多くの場合、経営者との面談を予約して訪問するでしょう。訪問時の会話は、業況や景気、顧客や取引先などについてなど、これまでの面談と特段に変わった内容ではないかもしれません。もし、当社のビジネスモデルや企業理念などについて情報収集していなければ、改めて尋ねてくると考えられます。

一方で、社長面談の前後には、企業の立地や周囲の環境、事務所や工場・店舗の様子も観察していることでしょう。工場・店舗の見学を依頼してくるかもしれません。


提案内容の立案段階

事前の情報収集及び訪問・経営者面談などから、事業性評価融資提案に向けた企業概要をまとめていきます。これは、今までの「債務者格付け」での審査で作成してきた企業概要からは突っ込んだ内容になっていることでしょう。

「事業性評価融資」とは、「債務者格付け」では融資できなかった企業に対して、将来には事業性がある(儲かる可能性がある)と期待して融資することです。事業性の有無を、根拠なく判断することはできません。一定のロジックで説明できるものである必要があります。

例えば「当該企業には潜在能力(強み)があり、それを発揮できたら儲けにつながる状況(機会)がある。しかし、ある事情等により(弱み)により、潜在能力を儲けに繋げていくことができない状況にある。弱みを克服するとともに、予想されるリスク(脅威)にも備えながら取り組んでいけば、儲けを出せる体質に変わる可能性(事業性)は高い」というストーリーが描けるなら、事業性評価融資を検討できると考えるかもしれません。


提案段階

以上のストーリーを描くことができたら、それを企業経営者に提案します。

しかし、企業経営者が「それは良い案ですね。当社はそれで行きたいと思うので、必要資金を融資してください」と申し入れたら、それで事業性評価融資が決まる訳ではありません。企業には、提案をベースに「金融機関の方針に則りながら、我が社として具体的に、何を、どのように改善する取組みをするのか。それによりどのような成果が見込まれるのか」に関する事業計画書を提出するよう、求められるでしょう。その内容が金融機関にとって納得がいくものだったら、事業性評価融資が行われるのです。


中小企業として何ができるか?

金融機関がどのように事業性評価融資を提案してくるかを知ることにより、中小企業として何ができるかが理解できます。自らが提案する時も、金融機関が提案してくる時も、事業計画書が必要になると思われます。事業改善の取組みに関するパートについては、記載内容は、大きな違いはないでしょう。

一方で、中小企業が事業性評価融資を提案する場合には、その前段階に関する内容も盛り込んでおいた方が、話がスムーズに通ると思われます。第一のポイントは、自社の状況(ビジネスモデルや企業理念などを含む)をはじめに自社が属する産業や地域経済の動向、取引先・競合となる企業等の状況等についてです。

第二のポイントは、自社に事業性があることに関するロジカルな説明です。先ほども挙げたような、例えば「当該企業には潜在能力(強み)があり、それを発揮できたら儲けにつながる状況(機会)がある。しかし、ある事情等により(弱み)により、潜在能力を儲けに繋げていくことができない状況にある。弱みを克服するとともに、予想されるリスク(脅威)にも備えながら取り組んでいけば、儲けを出せる体質に変わる可能性(事業性)は高い」というストーリーで説明できます。


金融機関が事業性評価融資を行う手順を知っておくことで、逆に中小企業から事業性評価融資を提案する場合についても、効果的な対策が打てるでしょう。

 
 
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プロフィール

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代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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