「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第38回

金融機関に受け入れられなかった場合

落藤 伸夫 2017年10月10日
 
現在は、金融庁が地域金融機関に「中小企業の支援をするように」と呼びかける一方、地域金融機関としてはまだ準備が整っていないという状況です。中小企業が金融機関に「私に、事業性評価融資をしてください」と依頼しても、積極的に応えられる金融機関はほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

しかし、悲観する必要はありません。中小企業が「事業性評価融資を依頼する事業計画書」を作成した上で金融機関に打診してみることはできます。中小企業の側からそういう提案をすると、地域金融機関は、かなりの可能性で検討してくれます。「債務者格付け」の枠組みでは融資が受けられなかった企業が融資を受けられた例も、少なくありません。


何度もトライする

以上のようなご提案をしましたが、現状についていうと、「事業性評価融資を依頼する事業計画書」を作成して地元金融機関に持ち込めば、必ず対応してくれるというほどの状況ではなさそうです。前向きな姿勢にはあるものの、準備が整っていないので慎重に対応しているところもあると思います。姿勢をはっきりと打ち出せていないところさえ、あるかもしれません。

こういう状況において、どのように対応すれば良いのか?私がご提案しているのは「何度もトライしましょう」ということです。ある金融機関、ある支店で「事業性評価融資を依頼する事業計画書」を受け入れてもらえなかったら、他の金融機関(特に、都市銀行などではなく、第二地方銀行や信用金庫、信用組合などの地元密着の金融機関)に提示して検討してもらいます。その計画書が適切に作成してあれば、そして貴社の状況が申し込んだ金融機関にとって「事業性評価融資を依頼する事業計画書」でもって対応できる状況であれば、いくつかの金融機関に提示する中で、その提案に応じてくれる金融機関に遭遇する可能性は決して低くないと思われます。


再挑戦時の改善点

再挑戦するにあたっては、金融機関に受け入れられる工夫を加えることがお勧めです。先に作成した「事業性評価融資を依頼する事業計画書」が断られた理由を考えて、それに対応するのです。金融機関が前向きに検討してくれなかった、実際に融資は受けられなかった、という場合の理由として、例えば以下のものが考えられます。

・金融機関としては、より工夫された「事業性評価融資を依頼する事業計画書」でなければ融資判断できなかった
・貴社の状況(特に決算状況)が「事業性評価融資を依頼する事業計画書」でもって融資判断できるものではなかった
・取引履歴が短すぎる等、金融機関との信頼関係を先に構築する必要があった


事業計画書を改善する

事業性評価融資を依頼したにもかかわらず応じてもらえなかった理由の一つに、計画書が、金融機関にとって受け入れにくいものであったことが考えられます。よくある問題点は「事業性」についての考え方です。

以前にもご説明しましたが、「事業性」は、中小企業の視点で「この技術は素晴らしい。世界に一つしかない技術だから、当然に受け入れてもらって良いはずだ」という観点で判断されるものではありません。「これから行おうとするビジネスが、顧客に受け入れられ、一定以上の売上が上げられ、自社の業績を改善できる」という意味合いで判断されます。前者の観点で作られた計画書では受け入れられない可能性がありますから、改善が必要です。


貴社の状況

事業性評価融資に応じてもらえなかった理由として、もう一つ、「貴社の状況が、事業性評価融資を依頼する事業計画書でもって融資判断できるレベルではなかった」という場合が考えられます。金融機関としては、債務者格付けで「実質破綻先」の企業には、いくら秀逸な事業計画書を提示されても、それで新規融資は難しいと考えるものと思われます。業務改善、時には事業再生ともいえるような真剣な取り組みを先行して行う必要があるでしょう。


専門家の助けを借りる

「事業性評価融資を依頼する事業計画書」について金融機関が前向きに検討してくれなかった場合の対応として、もう一つ、「味方を増やす」というアプローチが考えられます。「事業計画書を改善するにあたってアドバイスをくれるブレイン」、「金融機関と交渉する勇気を与えてくれるコーチ」、「必要な場合には戦略変更が必要だと教えてくれる参謀」そして「事業改善・事業再生のアシスタント」として、専門家を迎えるのです。

金融機関としては、今までとは違った取り組みを行おうとする企業が「その道に精通した専門家の力を借りることにした」というと、心強く感じるでしょう。専門家のノウハウを活用できるだけでなく、企業を複眼で観察できるようになる、困難な時に励ますコーチ役になってくれると期待できるからです。そのような専門家を味方に引き入れることは、事業性評価融資による資金調達だけでなく、貴社の業況改善にも役立つでしょう。必要に応じて、ご検討されることをお勧めします。
 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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