「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第29回

儲かる構図を作り上げる

落藤 伸夫 2017年7月31日
 
コンサルタントとして企業をご支援している時に、もっともワクワクするのは、新製品・新サービス開発など前向きな取組みのご支援です。新しい商品やサービスを開発するという取組みには心弾むものがありますね。企業人としてのロマンを感じます。一方で新製品・新サービスの開発にはリスクが伴います。そのリスクをうまくコントロールできるようお手伝いできるのは、コンサルタント冥利に尽きると感じます。

そういう新製品開発プロジェクトですが、敢えてお断りするというか、もし依頼して頂くなら、予めお考えをまとめて頂くことを条件にすることがあります。それは「儲かる構図」が全く描かれていない時です。資金調達でのご依頼を頂く場合に、そのようなケースが多いように感じます。


「開発」に集中すると

お話をお聞きしていると、アイディアはとても素晴らしいものです。製品化されると喜ぶ人がたくさんいる、非常に役に立つ、そう感じるものも少なくありません。長年、研究しておられるテーマの場合、製品化にそれほど高いハードルがあるとも思えません。融資を受けて取り組めば、きっと実現するだろうと思えるようなものです。

「欲しがる人がいる製品を開発しようとして、それを実現できる可能性も高い。ならばそれで良いではないか。」そう思われる方も多いことでしょう。話を持ちかけてこられる社長さんご自身が、そう思っておられます。しかし、倒産企業を1万社以上審査してきた経験を持つコンサルタントとして、それには落とし穴があることを知っています。


儲かる構図とは

それは、「儲かる構図」を描いていなければ、決して儲かることはないと言うことです。儲からなければ、事業を続けて行くことはできません。結果的に、プロジェクトは失敗してしまう可能性が高いということです。

新製品を知らせ、届ける努力をしなければ、それを欲しがり、喜ぶ人が潜在的に存在したとしても、決して知られることもなく、買われることもなく、喜んでもらえることもありません。それはせっかくの新製品が闇に埋もれてしまいます。それだけではありません。せっかくの投資をして開発した企業そのものが疲弊して、倒れてしまうかもしれません。

「私が作る製品は素晴らしいものなので、宣伝など『売る努力』に重点を置きたくない。商業主義に走りたくない。製品本位でいきたい」そう言われる社長さんは少なくありません。商業主義に走らず、リーゾナブルな価格で製品を提供し、お客様に喜んで頂きたいというお気持ちは素晴らしいと思います。

しかし、売る努力をするのと暴利を貪ろうとすることは違います。売る努力とは、開発した商品を、それを使ってもらいたいと思う潜在的お客様に的確に伝え、「この製品は確かに良いものだ、求めていたものだ」と納得してもらい、利益の出る値段で買ってもらうことを意味しています。それを体系的に行わなければ、お客様はあなたの新製品を知ることも、ないでしょう。

なのでもし、「新製品開発をしたい。そのための資金調達をしたい」という企業・経営者には、私はまず「それは素晴らしい。是非、この製品でもって利益を出すビジネスモデルを考えましょう。そこまでの構図がきっちりと出来上がれば、資金調達できる可能性が高まりますよ」と申すことにしています。


事業性評価による応援団

この順番で取り組みたいと思う理由は、もう一つあります。金融機関が、まさに、この順番で考えてもらいたいと思っているからです。企業の財務体質を採点して格付けした結果で融資判断するのではなく、企業の将来性をみて融資判断すること「事業性評価」といいます。まさに「事業性」つまり、そのビジネスを続けていけるか、利益を出していけるか、ということです。

事業性評価で融資をしたいと考えている金融機関は、企業の応援団です。ただし、熱い応援で蛮勇をふるってもらいたい訳ではありません。中途半端な取組みに満足してもらいたい訳でもありません。それでは失敗の可能性が高くなります。

金融機関は、ともすれば「新製品を開発したい。実現したい」という熱い想いをもった経営者に対して、冷静な頭脳で助言をすることで、企業が成功する可能性を高めるお手伝いをしようとする応援団です。企業の成功とは、この場合、新製品でもって儲けを出すことですね。そうやってビジネスを継続的に回して行くことです。

新製品開発のため資金調達しようと思われる社長さんは、ぜひ、「儲ける構図」まで視野を広げて企画してください。そうすれば、事業性を評価してもらい応援してもらえる可能性が高まるでしょう。
 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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