「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第10回

金融機関の特性に対応した行動を取る(金融基礎編)(前編)

落藤 伸夫 2017年3月13日
 
前回から、現在も生きているこれまでの金融判断にどのように対応していくかを考えているところです。中小企業金融支援は、金融庁が音頭をとって大きく変化してきているところです。これにより、経営改善に積極的な中小企業が金融支援(融資)を受けられる可能性が高まりました。しかし、以前の判断基準も生き残っています。というか、今までの判断基準は概ね残りながらも「経営改善に積極的な企業を支援する」という判断基準が加わるという感じでしょうか。このため、古いパラダイムでの融資判断をおさらいすることも意味があります。今回は次回と2回に分けて、金融に関する基礎的な知識について考えてみます。


金融の世界の共通用語

ここでのポイントは「金融の世界の共通用語」を理解し、使いこなせるようになるということです。金融とはお金が主役の世界です。これは何もお金の貸し借りだけに限りません。企業活動は全体として、お金を媒体に行われています。つまり事業活動や融資、ひいては金融の世界の共通言語は「お金」なのです。このため金融機関は融資を申し込んできた企業について、「相手企業は、お金について真剣に考えているか。お金についての話をきちんと受け答えできるか」について多大な関心を持っています。


決算書・試算表をベースに自社状況説明ができる

融資の場面では、それは多くの場合、決算書や試算表をベースに自社状況の説明ができるかに集約されます。金融機関から「御社の状況を説明して下さい」と言われたら、どのように説明するでしょうか?新規取引先として初めてその金融機関を訪問する場合には、業種や業態、取扱製品、主たる顧客、取引先などから説明していくことになるでしょう。

しかし既に取引のある金融機関だと、新製品を開発したとか、新分野に進出したなどがない限りは、このような話題のタネは、尽きてきます。このような場合に「特段、ご説明するようなことはありません」と言ってしまうと、金融機関としては「あ、この社長はお金をベースにした企業説明ができない人だな」と感じてしまいます。こうならないよう、お金をベースにした説明ができるようになりましょう。例えば決算書や試算表をベースに、以下のようなアプローチで説明することができます。


時間の経過でもって説明する

決算書の読み方には2種類あります。一つは単年度の数字を指標化するなどして分析する方法、もう一つは複数年度の推移を分析する方法です。単年度を指標化する分析は金融機関が行ってくれます。一方で、過去3期の推移などについては、是非、企業から説明したいところです。例えば売上ならば「前年並み」「ここ数年の平均的な伸び率」「ここ数年の平均を超える大きな伸び」「前年比でマイナス」「ここ数年で最も低迷」などの表現で説明できるかもしれません。3期分のデータを時系列にした表を作成すると、とても分かりやすくなります。


因果関係を説明する

時間の推移につれて説明を受けると、その原因を知りたくなります。例えば先の例で「前年並み」の場合には、その理由として「新規顧客獲得に向けて努力したが、一方で近隣に競合相手が進出したことが原因で既存顧客の流出を止めることができず、結果的に前年並みの数字となった」と説明できるかもしれません。

一方で、こういう説明を行わなかったら、どうでしょう。今言ったようなことは当たり前のことなので、特段に説明しなくても良いのでしょうか。ここで金融機関がどう考えるか、推察してみて下さい。「この会社は、前期並みの売上を確保していることで、満足しているのだろうか?一方で、この会社の近隣に競合相手が進出したという話も聞く。危機感をもって当たらないと今後は難しいと思われるのに、この会社は大丈夫かな?」と思ってしまうかもしれません。

「もう既に影響が出ていて、それに対処してやっとのこと前年並みの水準を保っているなら、自信を持って報告してくれるはずだ。そして、そういう報告があれば、当金融機関としてできる支援も提案できるのに。そういう報告がないとは、やはり、現状に安穏としているのかな。ということならば、今後については警戒した方が良さそうだ」と思うかもしれません。こういう誤解を残してしまうのは、とても残念ですね。ですから説明が大切になるのです。

(金融機関の特性に対応した行動を取る(金融基礎編)は、次回に続く)

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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