弁理士の著作権情報室

著作権Q&A ~著作権の基本を解説します~

どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか(その2)?

「どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか?」では、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したもの」が著作物になると解説しております。更に、「著作物」の例が記載されております。「どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか?」は、こちらをご覧ください。では、「思想または感情を創作的に表現したもの」とは一体どのようなものでしょうか?また、上記例で記載されているものの他に、著作物して保護されるものはあるのでしょうか?

どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか(その2)?

「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは?


(1)「思想又は感情」を表現したものであること
(2)「創作的」に表現したもの
(3)「表現したもの」
である場合に、著作物になります。

(1)「思想又は感情」を表現したものであること
「思想又は感情」とは、人間が考えたり、感じたことを表現したものという意味です。従って、人間以外が表現したものは著作物ではありません。例えば、サルが撮った写真や、機械が自動撮影した写真は著作物ではありません。この原稿は、日本の法律について記載したものですが、アメリカの裁判でもサルの自撮り写真が著作物にあたるかが争われ、著作物ではないと判断されています。また、AIが自律的に創作した著作物(AIの利用者の創作的な寄与がないもの)も、著作物ではありません。

単に事実のみを伝えるものや自然法則についても、「思想又は感情」を表現したものであるとは認められません。誰が表現しても同じようなものになるので、「思想又は感情」を表現したものとは言えないからです。

(2)「創作的」に表現したもの
何らかの形でその人なりの表現がされ、その人の個性が発揮されている必要があるということです。短い文章(キャッチコピーやタイトルなど)は、創作性を発揮し難く、創作性がないと判断されやすいです。また、著作物の種類によって、要求される創作性のレベルが異なるように思います。例えば、絵画や写真等で要求される創作性のレベルよりも、建築物で要求される創作性のレベルは高いように思います。商品を正面から写しただけの写真が著作物だと認められた判例があります(平成17年(ネ)第10094号)。一般住宅は、「居住用建築物としての実用性や機能性とは別に、独立して美的鑑賞の対象となり、建築家・設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような造形芸術としての美術性」を備えなければ、著作物にならないと判断された判例があります(平成15年(ネ)第3575号)。

(3)「表現したもの」
頭の中で考えているだけではなく、何等かの形で表現されている必要があります。形のある媒体で記録されている必要がなく、表現されているだけでよいので、例えば、音楽の著作物であれば、歌ったり、歌詞を口頭で表現するたけでもかまいません。誰も聞いていなくてもかまいませんが、記録もせず誰も聞いていないとなると、表現されたことを証明することが難しいでしょう。

また、表現の源である「アイディア」そのものは、著作物ではありません。従って、絵の画風とは、小説の設定や、料理本のレシピなどはアイディアなので著作物にはなりません。

著作物として保護されるもの


「どのようなものが著作権の保護対象(著作物)になるのでしょうか?」では、著作物となるものの例が記載されていました。この例に記載されているものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば、著作物となります。もっとも、この例はあくまでも例示なので、この例示にないものでも、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば、著作物となります。この例以外に、以下のものが著作物となることが著作権法では記載されています。

(1)編集著作物
複数の素材を編集したものが、編集著作物として保護される場合があります。編集著作物の例としては、百科事典、判例集、美術全集等です。
保護されるためには、その素材の選択と配列のどちらかに創作性がある必要があります。どちらか一方でかまいません。

電話帳であるタウンページですが、職業分類に関して独自の工夫が施されているとして、素材の配列に創作性があるとして著作物だと判断されている判例があります(平成8年(ワ)第9325号)。また、会社案内のパンフレットについて、素材の選択と配列の両方に創作性があるとして保護された判例があります(平成6年(ネ)第1610号)。

個々の素材は、著作物であってもなくてもかまいません。もし、個々の素材が著作物であるならば、編集著作物を利用する際に、編集著作物の著作権者だけでなく、ここの素材の著作権者にも許可をもらう必要があります。

(3)データベースの著作物
素材の選択と体系的な構成のどちらかに創作性があるデータベースについても著作物として保護されます。

編集著作物のところで、電話帳であるタウンページについて職業分類に関して独自の工夫が施されているとして編集著作物として認められた判例があることを記載しました。この判例で、タウンページデータベースについても、独自の工夫が施された職業分類体系によって電話番号情報を職業別に分類したものであるため、全体として体系的な構成によって創作性があると判断されています。

個々の素材は、著作物であってもなくてもかまわない点については、編集著作物と同様です。

データベースの著作物や平成8年(ワ)第9325号の判例について、より詳しくはこちらをご覧ください。

(3)二次的著作物
既存の著作物(原著作物)をベースに作成され、新しく創作性が加えられている表現物は、二次的著作物として保護されます。例えば、漫画や小説を映画化した場合は、映画が二次的著作物となります。また、英語の小説を日本語に翻訳した場合、翻訳した小説が二次的著作物となります。

二次的著作物は、新しく創作性が加えられていなければならず、加えられていない場合には、原著作物と実質的に同じものとして複製しただけになります。また、原著作物を感得できないもの(本質的な特徴が直接感得できないもの)であれば、二次的著作物とはいえず、全く別の表現物となります。

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

※ 著作権に関するご相談はお近くの弁理士まで(相談費用は事前にご確認ください)。
また、日本弁理士会各地域会の無料相談窓口でも相談を受け付けます。以下のHPからお申込みください。

キーワードから企業を探す
地域から企業を探す
支援機関ランキング< 週間 >