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その他の著作権

Q:どんなことをしたら著作権(著作財産権)侵害になるの?

弁理士の著作権情報室

A :著作物を創作した者(著作者)は、著作権を有します。そして、著作権とは、著作物を独占して利用できる権利であり、第三者が著作権者に無断で著作物を利用すると著作権(著作財産権)侵害になってしまいます。そして、著作権に基づいて、第三者に著作物の利用を許諾したり、譲渡をすることができ、これによって、著作権者が利益を得ることができます。譲渡されれば、著作者以外の者が、著作権を有します。

著作権(著作財産権)とは、著作物を独占して利用できる権利なのですが、どの様な行為が著作物の利用となるのかは、著作権法に規定されています。原則として、行った行為が、規定されている行為に該当すれば著作権(著作財産権)侵害になり、規定されている行為に該当しなければ著作権(著作財産権)侵害にならないということになります。では、どの様な行為を行えば、著作権(著作財産権)侵害になるのかを記載します。

Q:どんなことをしたら著作権(著作財産権)侵害になるの?

著作権(著作財産権)侵害となる行為


著作権侵害となる行為としては、以下の(1)~(12)があります。これらの各行為が著作権(著作財産権)を構成する権利(支分権)となります。

(1)複製権:著作物を複製(形があるように再製)されない権利
(2)上演権・演奏権:著作物を無断で公に上演や演奏(歌唱含む)をされない権利
(3)上映権:著作物を無断で公に上映(例えば、映画の上映等)されない権利
(4)口述権:言語の著作物を無断で公に口述(例えば、朗読等)されない権利
(5)展示権:美術の著作物と未公表の写真の著作物の原作品を無断で公に展示されない権利
(6)公衆送信権:著作物を無断で公衆送信(放送、有線方法、インターネット等の自動公衆送信)されない権利
(7)公への伝達権:公衆送信された著作物を無断で受信装置を用いて公に伝達されない権利(公に伝達とは、例えば、放送番組を街頭大型ビジョンで受信してそのまま流す行為)
(8)頒布権:映画の著作物の複製物を無断で公衆に譲渡又は貸与をされない権利
(9)譲渡権:映画以外の著作物の複製物を無断で公衆に対して譲渡されない権利
(10)貸与権:映画以外の著作物の複製物を無断で公衆に対して貸与されない権利
(11)翻訳権・翻案権等:二次的著作物を創作されない権利(二次的著作物の創作とは、例えば、原著作物である小説に基づいて二次的著作物である映画を創作することや、原著作物である英語の小説に基づいて日本語翻訳を創作すること)
(12)二次的著作物の利用に関する権利:原著作物の著作者が、原著作物に基づく二次的著作物を無断で利用(上記(1)から(11)の行為)をされない権利

上記(1)の複製権については、著作物に依拠して(真似をして)、同じような著作物を作成してしまった場合に著作権(著作財産権)侵害となり、著作物に依拠せずに同じようなものを作成した場合には著作権(著作財産権)侵害とはなりません。

また、上記(2)から(10)は、「公に(公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として)」行う場合や「公衆に」対して提供する場合にのみ著作権(著作財産権)侵害となります。「公衆」とは、不特定の者や特定多数の者です。このため、「特定少数」にあたる少数の友達や家族に対して行為を行った場合には、著作権(著作財産権)侵害となりません。

上記(1)から上記(12)の著作権(著作財産権)侵害となる行為とは別に、著作権(著作財産権)侵害とみなされる行為が著作権法で定められています。例えば、著作権等を侵害する行為によって作成された物を、頒布を目的として所持する行為等は、みなし侵害として著作権(著作財産権)侵害になります。

著作権(著作財産権)の制限


上記(1)から上記(12)の著作権(著作財産権)を侵害する行為であっても、著作物の利用を制限すると、文化の発展を妨げる場合があります。このため、上記(1)から(12)の行為に該当しても、一定の行為は「著作権の制限」により著作権(著作財産権)侵害とはなりません。例えば、個人的または家庭内その他これに準じる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、著作物を利用する者は無許諾で複製することができます。このため、テレビ番組を自分や家族が視聴するためだけに録画しても、著作権(著作財産権)侵害にはなりません。
著作権の制限について、詳しく知りたい場合には、下記の記事をご覧ください。


著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作物の部分的な表示等ができるようになりました ~2019年1月1日施行の著作権法の改正~

オンライン授業でのコンテンツ(著作物)の利用、著作権侵害になるの?【教育関係者向け】

令和2年度 日本弁理士会著作権委員会委員

弁理士 竹口 美穂

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

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