弁理士の著作権情報室

著作権Q&A ~著作権の基本を解説します~

曲を演奏したり歌ったりして著作権侵害になる場合は?

著作権者の許可なく曲を演奏したり歌ったりしたときに、誰もいない状況ならば著作権侵害とならないでしょう。では、どの様な場合に著作権侵害となるのでしょうか?家族や友人のためだけに曲を演奏したり歌ったりした場合には著作権侵害になるのでしょうか?路上で歌っているときに、たった一人の通行人しか聞いていない場合でも著作権侵害になるのでしょうか?

曲を演奏したり歌ったりして著作権侵害になる場合は?

演奏権の侵害について


著作権者の許可なく曲を演奏したり歌ったりすると、著作権者に無断で行うと演奏権を侵害してしまうことがあります。演奏権とは、著作権のうちの一つです。なお、著作権について詳しく知りたい場合には、「どんなことをしたら著作権(著作財産権)侵害になるの?
」をご覧ください。
演奏権とは、著作物を無断で公に演奏(歌唱含む)をされない権利のことです。従って、「公に」演奏したり歌ったりしたときに、演奏権を侵害してしまう可能性があります。「公に」とは、「公衆に直接見せたり、聞かせることを目的としている」ということです。では、「公衆」とは誰でしょうか?「家族や友人」は「公衆」なのでしょうか?家族や友人だけに聞かせるために曲を演奏したり歌ったりした場合には、「公衆」に聞かせるために演奏等したことになるのでしょうか?
「家族や友人」といったような特定の人は多数でなければ「公衆」にはなりません。従って、家族や友人に聞かせるためだけであれば、多数でなければ、「公に」演奏したり歌ったりしたことにならず、演奏権侵害にはなりません。ただし、「家族や友人」といったような特定の人であっても、多数であれば「公衆」になります。このため、多数の友人に聞かせるためであれば、友人に聞かせるためだけでも、「公に」演奏したり歌ったりしたことになり、演奏権侵害になる可能性があります。従って、友達100人のために演奏したり歌ったりすると、演奏権侵害になる可能性があります。
では、路上で曲を演奏したり歌っているときに、たった一人の通行人しか聞いていない場合でも、この一人は「公に」になるのでしょうか?この様な誰でも聞ける状況で演奏したり歌ったりしているときには、特定の人のためではなく不特定の人のために歌ったり演奏したりしていることになります。不特定の人は、たった一人(少数)でも「公衆」になります。このため、路上で曲を演奏したり歌っているときに、たった一人の通行人しか聞いていない場合演奏権侵害になってしまいます。

「公に」曲を演奏したり歌ったりしても演奏権侵害にならない場合


「公に」曲を演奏したり歌ったりしたときに、演奏権を侵害してしまう可能性があるのならば、学校の文化祭でコピーバンド演奏を行うことも演奏権侵害になってしまうのでしょうか?いえいえ、「公に」曲を演奏したり歌ったりしても、演奏権侵害にならない場合があります。
以下の(1)から(4)の条件を満たせば、「公に」曲を演奏したり歌ったりしても著作権侵害にはなりません。(1)から(4)の全ての条件を満たす必要があります。
(1)曲(著作物)が既に公表されたものである
(2)営利目的ではない
(3)聴衆・観衆から料金を取らない
(4)出演者に報酬を支払わない
従って、学校の文化祭でのコピーバンド演奏は、「コピーバンド」なので曲が既に公表されているため(1)の条件を満たします。また、学校の文化祭なので営利目的ではないから(2)の条件も満たします。従って、演奏を聞く人等から料金を徴収せずに、演奏する人に報酬を払わなければ、(3)(4)の条件も満たすため、演奏権侵害にはなりません。

その曲に著作権はある?


クラッシック音楽をオーケストラで演奏する場合には、演奏権侵害になるリスクはあるのでしょうか?この様な場合、曲が古くて著作権の存続期間が過ぎて著作権が消滅していることがあります。著作権が消滅していれば、「公に」曲を演奏して、かつ、上述した(1)から(4)の条件を満たさない場合でも、演奏権侵害にはなりません。なお、著作権の存続期間について詳しく知りたい場合には、「著作権はいつからいつまで続くの?」をご覧ください。もっとも、古い曲であっても、編曲がされており編曲で演奏したり歌ったりする場合には、編曲についての著作権が消滅しておらず、演奏権侵害となる場合があるので注意が必要です。
また、曲を歌った場合に、曲の著作権だけでなく、歌詞の著作権の侵害となるリスクもあります。著作物の利用の許可を取る場合には、曲の著作権者だけでなく、歌詞の著作権者からも利用許可を取る必要があるので注意が必要です。

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

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