日常生活の著作権

キャラクターのアクリルスタンドと著作権

弁理士の著作権情報室

1.はじめに


みなさんは楽しく推し活していますか?
筆者も推しキャラがいて、たくさんのグッズを持っています。
推し活の一環として、大好きなキャラクターのフィギュアやアクリルスタンド(通称「アクスタ」)をお気に入りのカフェや絶景スポットに連れて行って、写真を撮るコトもあるかと思います。また、「映え」を狙って撮影した渾身のワンショットをSNSにアップしているのも良くみかけます。
しかし、ふと「コレって勝手にネットに載せていいのかな?」「著作権的に大丈夫?」と不安になったことはありませんか?今回は、推し活の中でも、アクスタと著作権のルールについて考えてみたいと思います。

キャラクターのアクリルスタンドと著作権

2.アクリルスタンドと著作権


まず前提として、私たちが手にしている推しキャラのアクスタは「著作物」です。
キャラクターのデザインとかイラストに著作権があるといわれるとピンと来ると思いますが、推しキャラも、その作者や出版社、制作会社(権利者)が大切に生み出した財産です。
ここで、難しいのは「アクスタ」という「モノ」の所有権は購入した私たちにありますが、そこに描かれた「キャラクターの絵」の権利は、依然として権利者が持っています。
よって、著作権法に照らして考えると、著作権者に無断で、SNSなどにアップする目的でキャラクターを撮影したりする行為については、著作権法上の色々な権利に関わるおそれがあり、著作者や著作権者の許可が必要になるのが原則となってしまいます。

3.明らかにダメな行為


前提を受けて、まずは推しを愛していても、以下の行為は「法的リスク」や「逮捕者」も出ている非常に危険な行為と考えられます。
①無断で複製・販売
こういった行為は、権利者にとって不利益が生じる最たるものと言えるでしょう。
公式アクスタを3Dスキャンなどして自作のアクスタを作り、それを出品したりする行為は完全にアウトです。推しが困る行為はやめておきましょう。
②「魔改造」して販売する
市販のアクスタに、パーツの付け替えや塗装などで改変を加えることを魔改造と呼んでいます。好適な例としては、作中のワンシーンの描写に忠実に作り替える場合がありますが、アクスタを性的・過激に改造し、オークション等で売る行為もあり、著作者の「気持ち」を傷つける「同一性保持権」の侵害にあたり、実際に摘発事例もあります。
③公式と誤認させる利用
企業の広告や、自身のビジネスの宣伝にキャラクターを勝手に登場させることは、著作権の問題はもとより商標権侵害などの問題もあります。
以上①~③の行為は明らかにアウトなので、行わないでくださいね。

4.推し活としてセーフなラインは?


一方で、たぶん一番気になるのが、「市販のアクスタを買って、旅行先の風景などと一緒に撮影してSNSに載せる」コトと思います。
結論から言うと、「著作権法上はグレーに近いものの、文化としては広く容認されている」のが現状です。同人作品が容認されているのと同じく、ファン活動の一環として黙認されているものと考えられます。
公式の多くは、ファンが非営利目的で楽しむ「お出かけ写真」を、作品を盛り上げるポジティブな活動として捉えていると思います。なぜなら公式がハッシュタグを用意して推奨しているケースも間々見受けられるからです。
一方、作品の世界観を壊すような場所やシチュエーションでの撮影は、公式がダメと判断するかも知れません。

5.まとめ


推し活は、作品、ひいては著作者へのリスペクトがあってこそ成り立つものです。
現在の雰囲気では、個人が趣味の範囲でアクスタ撮影をSNSに投稿して訴えられるケースは考えにくいですが、それは公式側の「ファン精神の尊重」というご厚意とも思えます。
もし気になる場合には「公式のガイドライン」などを確認する必要もあるかもしれませんが、ともあれ「非営利活動」で、「作品への愛を忘れない気持ち」があれば問題にはなりにくいと思います。
ルールとマナーを守って、これからも素敵な推し活ライフを送ってくださいね!

参考)
文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと

令和7年度 日本弁理士会著作権委員会委員

弁理士 山本 雅之

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

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