プレスリレーションを考える

第5回

企業取材の心構え ②

株式会社エムシーストラテジー   槇 徳子

 

番組・特集のストーリーがあるか

テレビとのプレスリレーションを考える上で、テレビ取材・ロケの実際を知って頂き何が求められるかイメージして頂くために、私自身が前職でディレクター、カメラマン、編集マン(当時は編集ウーマンという言い方はなく)の方々からご指導頂いたことを交えてエピソードを共有しています。

テレビで取り上げられるための最初の関門はその番組、特集の放送時間の「尺」に見合うストーリーと取材映像を確保できそうか、ということです。5分、10分、30分、1時間枠など尺それぞれにフォーカスポイントの描き方、ストーリー展開のテンポが異なってきます。

「ユニークな経営者」「イノベーティブな製品」「卓越したサービス」を尺の長短はあってもどこまで起(承)転結をもったストーリーに落とし込めるか想定できなければ番組取材の実現は難しいといえるでしょう。


ガイアの夜明けの企画

ガイアの夜明けが始まってまだ1、2年の頃、私の知人だったグローバル企業の日本社長をフォーカスしてはどうかとプロデューサー、ディレクターに提案したことがあります。日本語が流暢で日本文化贔屓の外国人社長がテレビに登場することは当時まだ少なく、会社も商品も知名度が高いことから視聴者の興味を惹く番組になると想像したのですが、ベテランディレクターによる取材可能性についての見立ては、「その経営者のユニークさだけで番組は成り立たない」「ブランド名やロゴが有名だと番組ごとコマーシャルになってしまうので厳しい」「サクセスストーリーだけでは1時間もたない、何らかの失敗談を挟めればまだしも」というものでした。

取材される法人側からしたら「よいお話に終始すると思ったら痛い話まで?」と思われるでしょうし、「ストーリー、構成をどうするかはテレビ局の仕事だから」と関与の仕方も難しいところです。

その通りですが、実際には「何が撮れるか」「どうストーリーにできるか」をディレクターがイメージできなければ実現しません。ここでも番組化のための情報提供、ロケ先提案、実現のための調整など、企業、法人側の多大なるご協力によって番組が成立することはよくあることです。


番組企画実現の裏側では

その外国人社長にガイアの夜明けの企画が上記理由で難航している旨を伝えると、社長自ら全面的にテレビ取材に応じること、また社内でロケ対応チームを編成して、海外本社における一般に公開されていないシーンのロケ・取材許可をもらえるよう働きかけるとの提案を頂きました。かなり貴重な取材が実現することから、ディレクターに番組化を検討してもらえることになり、数か月を経て放送の運びとなったのでした。

当時はモーニングサテライトの月~金出演があり私自身のコミットには限界があり、海外ロケなどはプロダクションの皆さんにお任せになってしまったのは残念なことです。

 

プロフィール

株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子

20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。


2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員

2022年~(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役


Webサイト:株式会社エムシーストラテジー

プレスリレーションを考える

同じカテゴリのコラム

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。