プレスリレーションを考える
筆者:株式会社エムシーストラテジー 槇 徳子
テレビ局で取材する側、放送する側として長年苦心したり、こうあって欲しいと思ったことを基に、マスメディアの目に留まる情報発信には何が求められるのか、いくつかのエピソードも交えて皆さまと共有したいと思います。 従来のマスメディアがデジタル化し、更に多様化していく中で、世の中を良くする情報発信とは何かをテーマに気付きを言葉にしていけたら幸いです。
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これまでのコラムで色々な角度からお伝えしたように、今やテレビ出演のハードルはかなり低くなりました。そこで、明日ご自身がテレビ番組からインタビュー、取材、コメントを求められた場合に、気を付けるべき「表現」について共有したいと思います。
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今回は、私がテレビ局に在籍していた平成の時代に、テレビが一企業、店舗を取材し放送することについて「広告に当たる」と誹りを受ける時代から、視聴率低下と社会的経済的背景の変化により、どのように変わっていったのか、解説していきます。
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新しいプロダクトのプレスリリースを拝見しながら「このリリースの書き手はプロダクトを実際に使った経験があるのだろうか?」と思うことがあります。
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昭和、平成の時代プレスリリースはFAX送信がデフォルトでした。絶え間ないFAXの受信音は報道フロア環境の一部でもあり(更に報道フロアではNHKプラス全局の放送も流れていました)、流れてくる内容を見る係、選別するデスクもいましたがほぼゴミのような扱いでFAXを送る側を思うと切ない状況でした。
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前回企業・法人の取材では番組の長さに見合う取材対象、エピソードやストーリー構成が見えないと実現が難しいというお話、また取材される側から歩み寄って頂けたことでコンテンツができた経験談を共有させて頂きました。「海外ロケで本邦初となるテーマ」をセッティングすることはどこの組織・企業でもできることではありませんが、取材側として協力して頂けると取材・番組が成立しやすいポイントは他にもあります。
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テレビとのプレスリレーションを考える上で、テレビ取材・ロケの実際を知って頂き何が求められるかイメージして頂くために、私自身が前職でディレクター、カメラマン、編集マン(当時は編集ウーマンという言い方はなく)の方々からご指導頂いたことを交えてエピソードを共有しています。
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専門家からコメントを頂いたり、スタジオ出演して頂くような場合の個人のプレスリレーションにフォーカスした経験談を前2回共有させて頂きましたが、今回は企業など法人を取材対象とする場合にも目を向けたいと思います。
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毎日のニュース番組の報道現場では、様々な識者の方々に放送が差し迫る中でのコメント、出演依頼をしなければならない状況が多々あったことは前回触れたとおりですが、特にスタートしたばかりの知名度の低い番組の場合や、経験が浅い場合は切羽詰まることばかりでした。そのような状況下で、依頼相手からポジティブな返答を得られることは僥倖そのものです。「承知しました、〇時までならコメントできます」「残念ながら出演は無理ですが電話でしたら何とかOKです」といった神対応に何度救われたことでしょうか。
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様々な時間帯ニュース番組を月~金の帯で出役兼つくり手として経験しましたが、WBSなど有名番組以外では予算もチーム人員も限られているのでチームの一人一人が日々大変な状況でした。特に株式市場の取引終了後の時間帯で午前と午後2つの時間帯のニュース番組を担当していた時はまさに自転車操業状況でした。勿論、局・番組によって報道現場の状況は全く違いますが、生放送は待ったなしであることは同じです。
プロフィール
株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子
20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。
2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員
2022年~(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役
Webサイト:株式会社エムシーストラテジー