ビジネスの著作権

著作物に関して確定日付をするメリットは?

弁理士の著作権情報室

著作権は、どの様にして取得するかご存知ですか?特許、実用新案権、意匠権、商標権といった産業財産権は、発明、考案、意匠(プロダクトデザイン等)、商標の内容を示す出願書類を特許庁に提出して、一定の条件を満たしたものについてのみ、発生します。著作権は、文化庁管轄のものですが、文化庁に対して何か手続きをして発生するものではありません。著作権は、著作物を創作的した(創作的に表現した)だけで、著作物を創作した著作者に自動的に発生します。それなのに、弁理士等の専門家に相談したときに、著作物に関して、確定日付をすることを提案されて、なぜそのようなことが必要なのか疑問に感じたことはありませんか?確定日付とは何か、どうして確定日付をオススメされたのか、説明させて頂きます。

著作物に関して確定日付をするメリットは?

「確定日付」とは?


「確定日付」とは、公証人がその書面に日付のある公印を押し、その日にその書面が存在することを証明するものです。公証役場に、書面を持参すると、公印を押してもらうことが出来ます。その他の方法として、私は、メディアに書面のデータ(著作物を示す写真の画像データ等)を記録させ、封筒に入れて糊付けしたものを持参して、糊付け部分に公印を押してもらったことがあります。この場合には、メディアに複数の書面を記録させることが出来る点がメリットですが、封筒を開けてしまったら、証拠として使えなくなってしまうというデメリットがあります。値段は、700円/件(2022年1月現在)となっています。

また、電子データに対して日付情報が付与される電子確定日付という制度もあります。手数料は、通常の確定日付と同様に、700円/件(2022年1月現在)です。電子データを保存してもらうこともでき、この場合は追加で300円/件(2022年1月現在)を支払う必要があります。保存期間は、50年です。

「確定日付」がなぜ必要か


上述したように、著作権の発生には、手続きが不要で、著作物を作っただけで著作物を作った著作者に自動的に発生します。権利の発生に費用がかからず、手間もかかりません。その分、著作物が、いつ作られていて、いつから著作権が発生しているかを証明することが、産業財産権と比べて難しいです。もし、自分が著作権を持っている著作物について他者によって真似されて同様のもの(模倣品)が創作された場合に、自分の方が先に著作物を作ったことを証明できなければ、真似をされたと主張しても認められないおそれがあります。

上述したように、確定日付は、その日にその書面が存在することを証明するだけのもので、著作権が自分にあることを証明してくれるようなものではありません。しかし、その証明があると、少なくとも、その日には著作物が存在したことを証明できるので、その日付が模倣品の創作日よりも前であれば、自分の著作物の方がオリジナルであることを証明するための有力な証拠となります。この様な用途のために、著作物について確定日付をするメリットがあります。

「確定日付」の代替手段は?


確定日付の代わりに、その日にその書面(著作物)が存在することを証明できる手段はあります。例えば、文化庁等で「第一公表年月日の登録」を受けるという方法があります。料金としては、一つの著作物について3,000円(2022年1月現在)で、確定日付よりは高額です。また、申請書を記載する手間もかかります。なお、著作権登録についての詳細は、「著作権登録は種類がたくさん!あなたにぴったりの著作権登録を教えます」をご覧ください。

また、タイムスタンプサービスを活用することもできます。タイムスタンプとは、タイムスタンプに刻印されている時刻以前にその電子データが存在していたことと、その時刻以降に、電子データの内容が改ざんされていないことを証明するものです。タイムスタンプは、様々な会社がサービスを提供しており、値段も様々です。

他に、産業財産権を取得するために出願することも、その出願日に、その著作物が存在したことの証明になります。例えば、著作物がシンボルマークやキャラクタ等である場合には、これらは商標権を取得することが出来るものであるため、商標登録出願をしても良いと考えます。ただし、出願するだけで、一つの著作物について最低額でも12,000円(2022年1月現在)かかり、申請書類の記載も難しいため、その日にその書面(著作物)が存在することを証明するためだけに活用はし難いでしょう。

まとめ


著作権は、著作物を創作しただけで発生する手軽さゆえに、著作権の発生を証明することは難しいため、創作物を著作権で保護したいと考えたときには、著作物が発生したことの証拠作りをしてください。証拠作りには様々な方法がありますが、確定日付は、安価で手間の少ない使い勝手のよいものです。

令和4年度 日本弁理士会著作権委員会委員

弁理士 竹口 美穂

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

※ 著作権に関するご相談はお近くの弁理士まで(相談費用は事前にご確認ください)。
また、日本弁理士会各地域会の無料相談窓口でも相談を受け付けます。以下のHPからお申込みください。

【ビジネスの著作権】に関連する情報

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。