弁理士の著作権情報室

著作権Q&A ~著作権の基本を解説します~

マンガ・アニメのキャラクターデザインを自由に真似しても大丈夫?

世界でも有数のマンガ・アニメ大国である日本には、数えきれないほどの魅力的なキャラクター達が日々誕生しています。誰しも自分のお気に入りのキャラクターを真似して描いた経験はあるのではないでしょうか。ところで、キャラクターは著作権で保護されるという話も耳にしますが、自由にキャラクターを真似して描いても大丈夫なのでしょうか。

結論から言えば、ご自身が楽しむためだけに趣味で真似して描く程度であれば、「私的使用」であることから自由であり、著作権侵害になることはありません。但し、ビジネスとして商業的に使用する等、著作権侵害になる場合もある点にはご注意ください。

マンガ・アニメのキャラクターとは?


マンガやアニメのキャラクターは、以下の3つの要素から構成されていると言えます。
(1) マンガ・アニメの『キャラクターデザイン(イラスト・絵)』
(2) マンガ・アニメの『キャラクターコンセプト(性格や個性などの抽象的な概念)』
(3) マンガ・アニメの『キャラクターの名前』

(1) マンガ・アニメのキャラクターデザインは著作権の保護対象?


マンガ・アニメのキャラクターデザインとは、いわゆる「キャラクターのイラスト・絵」のことです。簡単に言えば、ドラゴンボールの孫悟空やワンピースのルフィと聞いて、皆さんが頭の中でイメージするキャラクターのイラスト・絵と思ってください。

マンガ・アニメのキャラクターのイラスト・絵に「著作物性」があれば、著作権が発生して保護されることになります。では、キャラクターのイラスト・絵には著作物性はあるのでしょうか。
正解は、マンガ・アニメのキャラクターのイラスト・絵には著作物性が認められます。漫画家が苦労して創作したキャラクターのイラスト・絵は、いわゆる「美術表現物」と捉えることができるため、著作物性が認められて著作権としての保護対象になります。よって、マンガ・アニメのキャラクターのイラスト・絵を漫画家に無断で真似した場合には、著作権侵害になるのが原則です。
但し、常に漫画家に使用許可を求める必要があるとすると、文化の発展に寄与するという著作権法の趣旨に反してしまうことになるため、法律では侵害にならない場合が例外的に決められています。その例外の一つが私的使用であり、自分が楽しむためだけに趣味で真似する程度であれば、著作権侵害にはなりません。

マンガ・アニメのキャラクターデザインを自由に真似しても大丈夫?

(2) マンガ・アニメのキャラクターコンセプトは著作権の保護対象?


体内のエネルギーを一気に放出するかめはめ波なる必殺技を繰り出せる主人公、海賊王を目指している負けず嫌いなゴム人間など、マンガ・アニメのキャラクターには魅力的な性格や個性が設定され、読者を魅了します。いわゆるマンガ・アニメのキャラクターコンセプトと言われるものです。

著作法で保護されるためには、「著作物性」を有することが条件になると説明しました。では、マンガ・アニメのキャラクターコンセプトに著作物性はあるのでしょうか。
確かにキャラクターコンセプトも漫画家が独自に創作したものではあるのですが、それらは「思想又は感情を創作的に表現したもの(描かれたもの)」とまでは言えず、あくまでアイデアに留まると考えられることから、著作権の保護対象にはされていません。

(3) マンガ・アニメのキャラクターの名前は著作権の保護対象?


マンガ・アニメのキャラクターには、親しみやすい魅力的な名前が付けられていますが、孫悟空やルフィなどのキャラクターの名前も、漫画家の「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは言えず(マンガ・アニメのキャラクターコンセプトと同じ考え方ですね)、創作的表現とは認められないため、著作権では保護されません。

商標登録をすることもできます!


マンガ・アニメのキャラクターの名前や、キャラクターデザインについては商標登録をおこなえば、商標権として保護することも可能です。例えば、「孫悟空」については、株式会社手塚プロダクション(登録第0725171号)や株式会社フジテレビジョン(登録5108593号)などの複数の企業によって商標登録がされています。商標権は更新手続きさえおこなえば、永久に存続させることができるので、息の長い人気キャラクターの保護には特に有効です。

なお、私的使用は、著作権上は例外的に権利侵害とはならなくても、商標権侵害にはなり得ますのでご注意ください。

マンガのキャラクターの著作権侵害が認められた事件(ポパイネクタイ事件)


「ポパイネクタイ事件」(最判平成9年7月17日)では、ポパイのマンガの図柄等をネクタイに付して販売した行為が、著作権侵害に該当するか否かが争われました。
裁判では「ポパイのイラスト・絵」についての著作権が認められ、「ポパイのイラスト・絵」についての著作物を無断で複製したことを理由として、著作権侵害が認められました。一方で、「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということはできない」と判断され、ポパイというキャラクターそのものに対する著作権は認められませんでした。

なお、複製に関しては「第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである」と判断され、完全コピーはしていなくても、キャラクターの特徴が真似されていれば、それだけで著作権侵害になると示されていますので、ご注意ください。

以上

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

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