日本とミャンマーをつなぐビジネスを展開するジーフロッグが同国ヤンゴンの中心部、シュエンゴンダインに日本語教育施設「大原国際日本語学校(OIJ)」を開校した。正しい日本語教育を実施、日本への留学や就職を目指す大学生や大卒者を支援する。同社代表社員でOIJ最高経営責任者(CEO)を務める木村賢嗣氏は「少子高齢化で人手不足に直面する日本を助けるのは、パワーと活気があふれるミャンマー。国内で働く場が乏しいミャンマー人のためにもなる」と意気込む。
ジーフロッグ代表社員・木村賢嗣氏
--当初は4月開校を目指していた
「新型コロナウイルスの感染拡大でミャンマー政府が教育施設の休校を決めたため、開校を延期した。OIJの定員は300人だが、8月24日の開校時は23人でスタートした。コロナ禍の日本に行くことを親が嫌がったり、教育施設の休校で地元に帰ったままヤンゴンに戻ってこない学生もいたりして小規模での開校となった」
「同一空間で30人以上集まることが禁止されており、われわれが運用できる範囲として最大規模とした。ただ、せっかく開校にこぎ着けたが、厳しい行動制限などで抑えてきたコロナ感染が再び見られるようになったことから同国政府は全土で休校を決めた。OIJも8月27日からの休校を余儀なくされた」
--「日本に行きたい」という需要は減っていないのか
「ヤンゴンには約300の日本語学校があり、それだけ日本への留学や就職に対する人気は高いといえる。開校前にアンケートしたところ、2週間で240人強がOIJに個人情報を提供してくれた。『日本語を学びたい』という意欲をもつ大学生・大卒者が多いことが分かり、しかもヤンゴン以外の居住者が50%を占めており、需要は全国レベルといえる。定員300人もコロナ禍が収まれば十分に埋まる」
--授業で目指す日本語レベルは
「日本語能力試験(JLPT)N5(基本的な日本語をある程度理解)~3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解)と、会話力を学ぶフリースクール(N2相当)の4クラスに分かれており、3カ月でそのクラスの試験合格を目指す。ミャンマー語と日本語は文法が似ており、ミャンマー人の日本語取得スピードは早い。日本人講師が1人常駐し、フリースクールを担当するとともにミャンマー人教師の養成に取り組む。N3~5クラスは3人のミャンマー人が教える。また『前橋国際日本語学校』『東京桜ヶ丘学院』と連携して日本語教育を進める」
ミャンマー・ヤンゴンに開校した日本語学校で学ぶミャンマー人
--開校延期中に取り組んだことは
「延期を受けて4月、ミャンマー人の情報収集手段として普及しているフェイスブック上で『HINOMARU Classroom(日の丸教室)』を開講、2カ月半でフォロワー数が1万2000人を突破した。動画などを使って言語や文法、会話などを教えている。これとは別にOIJに興味を持つ人たち向けにホームページ的な使われ方を狙ってフェイスブックに公開したところ約1万3000人が登録してくれた」
--なぜミャンマーに特化しているのか
「富士通などIT企業に就職し、開発拠点として設立したミャンマーの担当となり、ミャンマー人を知った。少子高齢化が進む日本を救える国はどこかを考えるとミャンマーしかないと気づき現地に行くと、昭和の時代の日本のようなパワーと活気を目の当たりにした。しかも親日国で、日本人の心に近い国民性を持つ。しかしミャンマーには働く場が乏しく、何とかしたいと思い、特化するようになった」
【プロフィル】木村賢嗣(きむら・けんじ)
1986年富士通入社。2001年セイコーエプソン、18年3月合同会社ジーフロッグ設立し代表社員。52歳。山口県出身。
【会社概要】ジーフロッグ
本社=千葉県船橋市湊町2-12-24
設立=2018年3月26日
事業内容=ミャンマー専門の人材提案・教育・進出支援。設計開発
「フジサンケイビジネスアイ掲載」