弁理士の著作権情報室

外国の著作権制度

中国の著作権登録制度

著作権は、著作物を創作した時点で、申請手続きなく発生し、著作物の保護が始まります。一方で、日本でも中国でも、著作権に関する「登録制度」が設けられています。登録を受けるとどのような効果があるのか、また、どのようなメリットがあるのかについて、著作権の専門家である弁理士が解説します。

中国の著作権登録制度

著作権登録の効果・メリット


著作権は、行政庁などへ申請を行うことなく、著作物を創作した時点で自動的に発生し、原則として著作物を創作した者に帰属します。著作権の発生・帰属が権利発生段階で公示されるものではないため、ある著作物についての著作権が誰に帰属しているかを、外部から判断することは容易ではありません。このため、著作権侵害事件が発生した場合に、権利行使をしている者が本当に著作権者であるかどうかが争点になる場合があります。

中国実務上、著作権者の登録を受けておくことで、著作権がその者に帰属していることについての推定を受けることができるようになります(初歩的証明)。著作権が自己に帰属していることの推定を受けられるということは、著作権侵害訴訟において、原告が著作権登録証書を提出することで、著作権が自己に帰属することを積極的に立証する必要がなくなるということです。逆に、被告としては、著作権が原告に帰属していないということを積極的に立証しないと、原告が著作権者であるという判断のもと、審理が進められてしまいます。

また、著作権侵害行為が悪質である場合に、行政摘発を行うことがあります。こうした場合にも、申立人が著作権者であることを立証する必要があります。しかし、著作権登録を受けている場合には、著作権登録証書を提出することで、初歩的な証拠として取り扱ってもらうことができます。

このほか、イラストなどの著作物について、第三者に抜け駆け的に商標登録出願をされてしまった場合に異議申立を行ったり、商標登録されてしまった場合に無効審判請求を行ったりすることがあります。こうした場面で、第三者に出願・登録されてしまった商標が、自己の著作権を侵害するものと認められれば、第三者による商標登録を阻止することができます。このように、著作権登録を有していることで、異議申立・無効審判や、その上級審である裁判所での審理での立証のハードルを下げることができるようになります。

著作権登録の種類


中国では、著作権に関して、以下の登録制度が設けられています。

1. 著作権者の登録
2. 実名の登録
3. 第一発行(公表)年月日等の登録
4. 創作年月日の登録
5. 著作権の譲渡の登録
6. 著作権の移転の登録(相続その他 の一般承継)
7. 著作権の信託の登録
8. 著作権を目的とした質権設定等 の登録
9. 著作隣接権の移転等の登録
10. 登録の変更、更正、抹消等の登録

一方、出版権の設定等の登録は、認められていません。

著作権登録の手続


中国で著作権登録を受けるためには、中国版権保護センターに、必要書類を添えて申請を行います。登録手続は、標準的には受理日から30営業日で完了します。追加費用を支払うことで、登録までの期間を短縮させることもできます。以下の著作物については、オンラインで登録申請を行うことができます。

1. 言語著作物
2. 音楽著作物
3. 演劇著作物
4. 無言劇及び舞踊の著作物
5. 絵画、図形及び彫刻の著作物
6. 映画及びその他の視聴覚著作物
7. 録音物
8. 建築著作物
9. プログラムの著作物

著作権登録と著作権の発生


前述の通り、著作権は登録に発生するのではなく、創作によって発生します。また、中国版権保護センターは、登録申請があった作品について、それが著作物であるかといった実体的な審査を行いません。従って、著作権登録を受けたからといって、そもそも著作物ではないものまで著作権で保護されるようになるわけではありませんし、著作権が消滅したものについての保護が復活するものでもありません(登録によって権利が発生する商標権と異なる点です。)。

もし著作権侵害の成否が争点となる紛争が発生した場合には、著作権登録は、著作権があるとした場合の権利の帰属についての初歩的な証拠にはなりこそすれ、著作権の発生・存在についての絶対的な証拠とはなりません。

とはいえ、中国実務上、著作権登録を受けることにより初歩的な証拠として認めてもらえるということは、非常にコストパフォーマンスよいと言えます。2018年には年間300万件を超え、翌2019年には400万件を超える著作権登録がなされたという状況は、このことを端的に示していると考えられます。

※ この記事は執筆時の法令等に則って書かれています。

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