「帳簿の作成作業が劇的に楽になった。10月の増税も余裕を持って迎えられる。8%に上がった前回とは大違いだ」
東京都練馬区のスーパーマーケット「グリーン&フルーツ ムサシヤ」の事務職員、青木英治さん(55)は、2年前に導入したクラウド型の会計ソフト、freee(フリー)に満足顔だ。
軽減税率制度が導入されれば、事業者は取り扱う商品ごとに適用税率を確認し、税の申告のための帳簿も税率ごとに区分して記帳する必要が生じる。
しかし、この会計ソフトと連携しているレジに商品の適用税率を登録しておけば、そのデータが会計ソフトに送られ、自動的に仕分けされて帳簿も作られるため、会計作業の負担が大幅に減少するのだという。
フリーの担当者は「増税時期が近づくにつれて問い合わせは増えている」という。契約プランによって価格は異なるが、個人事業主であれば月額980円から利用可能だ。
フィンテックガーデンは、レシートの内容を「QRコード」化し、同じレシートに印字する技術を開発した。事業者が会計処理を行う際、レシートの内容を会計ソフトなどに入力し直す必要があるが、同社の技術を使えば、スマートフォンでQRコードを読み取るだけでレシートの内容がデータ化される。
一方、乱立するキャッシュレスサービスへの対応へ、リンク・プロセシングは7月、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済に1つの端末で対応可能なサービスを発売した。レジスペースに複数の決済端末を置く必要がなくなる。高橋徹弥社長は「店員の教育が追いつかず対応に苦慮する事業者も支援できる」と話す。
端末代は6万9800円で、月額1000円程度の使用料が別途必要となる。今なら補助制度で、店側は端末代を負担することなく導入することが可能だ。
もっとも、こうしたフィンテック企業のサービスには、増税や還元の仕組みがもっとシンプルであれば不要だったものもある。増税に伴う複雑な制度が、中小事業者の負担増となっている実態に変わりはない。
「フジサンケイビジネスアイ」