インソース・舟橋孝之社長
日本では労働人口の減少を補うため、多様な人材の活用が課題となっているほか、先進7カ国(G7)中で労働生産性が最下位で、仕事の効率化や業務改善、事業変革などが急務となっている。これらの課題解決のための社会人向け研修事業を手掛けるインソースは、1600種類以上の研修コンテンツを開発してきた。舟橋孝之社長は「すぐに役立つ仕事のノウハウを身につけられる」とアピールしている。
--講師と講演のコンテンツを作成するクリエーターの分業体制になっている
「一般的には講師が講演内容のコンテンツを作成する。しかし当社では、講師には登壇して講演することに集中してスキルを上げてもらう。多い人では年間200回以上になる。自然と腕が上がるので、顧客から高く評価されている。講師は豊かな職務経験を持ち、伝える能力と、共感力・愛情のある人を厳選して採用している」
--コンテンツの強みは
「コンテンツは専任のクリエーターが作成する。さまざまな業界の現状をデータベースとして100万件以上蓄積している。リアルな現実を反映させることで現場の課題の解決方法を示す。データを有効に活用するので、合理的にコンテンツを作成できる。このため他社と比べ同じ内容の講座を廉価で提供している」
--リーマン・ショックなどの景気後退期にも売り上げを伸ばした
「不況で各企業が採用を手控えたので、逆に優秀な人材を獲得して規模を拡大できた。東日本大震災後には新市場開拓にもチャレンジし、医療・福祉業界向けにも進出した。一方、経費削減が進んだことで他社より価格が安い、当社へシフトする顧客も増えた。内容的にも満足してもらえたため、リピーターとして定着している」
--ダイバーシティ(多様性)経営を実践している
「従業員の半分以上は女性が占めている。性的少数者(LGBT)や精神障害者の人も、コンテンツ開発やIT関連業務などを担い、貴重な戦力として貢献してくれている。こうした人たちが心地よく働く職場環境をつくることで、LGBT向けや精神障害者向けのコンテンツづくりにも役立っている。優秀な人も多く、ダイバーシティ採用をさらに進めていく」
--今後の成長戦略は
「職場外教育で実績のある事業所は全国で19万3000社あり、これまで当社は1万5000社から受注している。これは7.7%にすぎず市場開拓の余地は大きい。東京のほか、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、広島、福岡の全国14カ所に事業所を構えているが、首都圏を中心によりきめ細かく拠点を整備し、3年で1.5倍の20カ所に増やし地域密着を進めていく。新しいコンテンツの開発も加速させる」
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【プロフィル】舟橋孝之
ふなはし・たかゆき 神戸大経営卒。1988年4月三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。プラザクリエイトを経て、2002年11月インソースを設立し、代表取締役、15年8月執行役員社長。52歳。大阪府出身。
【会社概要】インソース
▽本社=東京都千代田区神田錦町1-19-1 神田橋パークビル5階
▽設立=2002年11月
▽資本金=3億2600万円
▽従業員=238人(16年5月末時点)
▽売上高=24億2300万円(15年9月期)
▽事業内容=社会人向け研修、eラーニング、システム開発・販売など
「フジサンケイビジネスアイ」