簡単に短時間で立体物の型を取ることができる3D造形機「マイクロVフォーマーR001」=東京都葛飾区
真空成形加工のラヤマパックは、初心者でも簡単に短時間で立体物の型を取ることができる3D造形機「マイクロVフォーマーR001」を10日に発売する。産業用の真空成形加工機を元にして、家庭やオフィスでも使えるよう小型化した。
真空成形加工の利用の裾野を広げることで潜在需要を掘り起こし、新規市場の開拓につなげる。初年度は直販で100台の販売を計画している。1台32万1840円。
真空成形加工は、熱を加え軟らかくなったプラスチックシートを型の上に置き、圧力を加え吸着させて立体物を作る加工法。主に卵の食品パックや食品トレーなどの成形に用いられている。
マイクロVフォーマーR001は、幅52センチ、奥行き37センチ、高さ46.8センチ、重さ8.2キロで、机やテーブルに置くことができる。使用するときは家庭用の100ボルトのコンセントに電源プラグを差し込み、本体天井部のヒーターを温める。専用のプラスチックシートをスチール製のフレームに設置して、フィギュアなどの型の上に置いて密着させる。シートと型を外すと立体物が出来上がる。作業に要する時間は約20秒で、特別な技能は必要ない。A4より少し大きいサイズの食品トレーのほか、フィギュアの保護パック、建築模型づくりなど多様な用途に応用できる。
「何をつくっているんですか」とたびたび尋ねられることに、羅山能弘社長が会社の先行きへ不安を抱いたことが開発のきっかけとなった。「食品パックなどで身近なのに真空成形加工は知られていない。認知度を上げて需要を喚起しなければならない」との危機感から2013年に開発に着手した。
だれでも手軽で安全に利用できるという商品コンセプトに、自社の従業員だけで使いやすさを第一に試行錯誤を繰り返した。ほぼ完成した14年10月に展示会に出品する。操作が簡単で安全なことから注目され、実演には人だかりができた。包装資材メーカーやデザイン事務所、大学の研究室、工作を趣味にした個人など、これまでの顧客層より幅広い人が訪れた。
今後は1年に1回、作品コンテストを開いてユーザーのモチベーションアップを図る。羅山社長は「当社では想像もつかない斬新なアイデアがでてくるかもしれない」と本業への相乗効果に期待している。(佐竹一秀)
◇
【会社概要】ラヤマパック
▽本社=東京都葛飾区東立石1-7-5
▽設立=1973年11月
▽資本金=1000万円
▽従業員=20人
▽売上高=非公開
▽事業内容=真空成形加工、金型設計製造など
「フジサンケイビジネスアイ」