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属人化は悪か?強みか?経験とノウハウを次世代へつなぐ“継承の仕組み”

#ヒューマンリソース・採用支援

属人化は悪か?強みか?経験とノウハウを次世代へつなぐ“継承の仕組み”
「誰でも同じように仕事ができる会社が理想だ」多くの企業が業務の仕組み化やマニュアル化に取り組んでいます。人が入れ替わっても事業が回り、品質が安定する組織は、経営にとって大きな強みです。一方、現場では今なお「その人がいないと判断できない」「経験者に任せた方が早い」といった属人的な仕事が数多く残っています。属人化はリスクとして語られがちですが、そこには長年の経験や判断力、信頼関係といった企業の価値も含まれています。本記事では、属人化を単なる問題とせず、どう継承し、会社の資産として残していくかを考えます。

    なぜ属人的な仕事はなくならないのか

    どれだけ業務を標準化しても、すべての仕事を同じ手順で再現できるわけではありません。特に以下のような業務は、属人化しやすい傾向があります。
    ・状況に応じた判断が求められる仕事
    ・顧客との信頼関係が成果に直結する仕事
    ・経験や失敗の積み重ねによって磨かれる仕事
    これらはマニュアルに書ききれない「暗黙知」に支えられています。属人化は、現場で価値を生み出してきた証でもあるのです。

    仕組み化しても残る「人の領域」がある

    近年、AIやDXによる業務効率化が進んでいます。定型作業や情報整理といった分野では、仕組み化やシステム導入は大きな効果を発揮します。しかし実際の現場では、最終的な判断や微妙な調整は人が担っているケースがほとんどです。
    どんなに仕組みを整えても、状況の変化を読み取る力や、過去の失敗経験から生まれる判断基準まで完全に再現することは困難です。属人的な仕事は、仕組み化が不十分だから残っているのではなく、人の経験や判断が必要な領域として自然に存在していると考えるべきでしょう。

    属人化を「排除」するのではなく「見える化」する

    属人的な仕事をなくそうとすると、かえって現場の力を削いでしまうことがあります。重要なのは、属人化を否定するのではなく、何が属人的なのかを整理することです。
    ・どの判断が人に依存しているのか
    ・なぜその人はうまく対応できるのか
    ・経験者が大切にしている判断軸は何か
    こうした問いを通じて、暗黙知を少しずつ言葉にしていくことで、属人的な仕事は共有可能な知識へと変わっていきます。

    継承の第一歩は「教える」より「語る」

    属人的な仕事は、いきなりマニュアルに落とし込もうとしてもうまくいきません。まず必要なのは、経験者が自分の仕事について語る場をつくることです。
    判断に迷った場面、過去の失敗、顧客との向き合い方などを共有することで、仕事の背景にある考え方や価値観が次世代に伝わります。正解を教えるのではなく、考え方を伝えることが継承の鍵となります。

    仕組みと人の役割を分けて考える

    すべてを仕組みに置き換えようとすると、属人的な価値は失われてしまいます。仕組みやツールは情報を整理し、判断材料を揃える役割を担い、人はその情報をもとに判断を下す。この役割分担を意識することが重要です。
    判断理由や考え方を共有しながら、少しずつ任せていくことで、「あの人しかできない仕事」は「複数人で担える仕事」へと育っていきます。

    まとめ

    属人化は必ずしも悪ではありません。そこには企業が長年培ってきた経験や価値が詰まっています。大切なのは、それをブラックボックス化せず、次世代に引き継ぐことです。仕組み化と人の力をバランスよく組み合わせることで、属人的な仕事は会社のリスクではなく、未来を支える資産へと変わります。

    編集局の声

    属人化をなくそうと焦る必要はありません。大切なのは、「人にしかできない仕事がある」ことを認め、その価値をどう残すかを考えることです。経験や想いは、仕組みだけでは引き継げません。対話し、共有し、少しずつ任せていく。その積み重ねが、組織の強さとなり、事業を次の世代へとつないでいきます。

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