StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 代表者 落藤伸夫氏
「10億円企業創成支援研究会」設立、成長志向の中小企業にワンストップで実践的支援
潜在成長率が0%代半ばの日本経済。底上げには中小企業の成長が欠かせない。政府も中小企業の稼ぐ力の強化へ舵を切った。2025年度の「(売上高100億円を目指す)100億企業」施策に続き、27年度から「10億企業」の創出に取り組む予定だ。中小企業支援を手掛けるストラテキューションズは7月14日、中小企業政策のパラダイムシフトを好機ととらえ、「10億円企業創成支援研究会」を立ち上げた。代表を務める落藤伸夫氏は「10億円企業づくりを手伝う。そのため中小企業診断士など専門家を全国規模で集め、実践的な支援をワンストップで提供する」と意気込む。
- ――政府による中小企業政策の見直しとは何か
- 従来は、例えば新型コロナウイルス禍のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保)のように、きめ細かい救済制度により倒産防止・生存を最優先に取り組んできた。これからは成長支援だ。リスクを伴う成長投資・成長型再生の促進に力を入れる。これにより中小企業の「稼ぐ力」強化と賃上げの好循環を実現し、より多くの企業が成長志向に向かうメカニズムを構築するというわけだ。
- ――「10億企業」の創出とは
- 25年度に「100億企業」施策をスタート。26年度からは「10億企業」創出メカニズムの構築に向けて検討に着手した。ターゲットは売上高1億~10億未満の約60万社。成長の核となる事業価値があり、経営者が本気で成長経営に取り組み、メインバンクも本気で伴走支援すれば飛躍する可能性がある。10億円を超えると生産性は向上し、組織経営が定着するので倒産しにくい安定期に入る。その域に達したいとする成長志向企業を見つけ、育てる政策が推進される。
- ――10億企業宣言すると成功確率が高まるのか
- 身の丈に合わない成長宣言はむしろ倒産を招きかねず、補助金が取れるからと安易に宣言すると非常に危険だ。会社の価値を高める方法が成長ではないのに無理に成長を追ったり、自社に合わない成長エンジンを間違って選択したりするからだ。社長のワンマンで経営体制がしっかり整っていないこともリスクになる。それらに気を付けて取り組むのなら、宣言によって決心を固め、社員や顧客、取引先、金融機関などに知らしめることで成功確率は高まるだろう。
- ――どうすればいいのか
- まずは自社を知ること。そのうえで会社価値を高める方策を選ぶ。市場規模が限られているのであれば強化型。現状は間違っていないのでそのまま強化する。地域一番、ニッチトップ向けで、成長よりも生産性・収益性向上の継続を狙う。2つ目は成長型。先進技術や確固たる財務基盤がある企業は、強みを生かし経営を改革したうえで売り上げ増を目指す。3つ目は再構築型。収益性が低下し事業の見直しが必要な場合、事業収縮により成長が難しいので業態転換あるいは出口戦略(M&A、廃業)を模索する必要がある。
- ――成長志向の企業がとるべきアプローチは
- 成長のドリブン(原動力)、それは製品、ネットワーク、店舗、人材、技術のどれなのかを探す。的外れでは成長につながらない。ある印刷関連企業は、定評の技術力を高めるため人材力向上を目指したが、それを生かせる美術印刷など高単価案件は少ない。真の成長エンジンは価格優位性のある製品と発注元とのネットワークだ。自社に合わないエンジンを回しても売り上げは伸びない。次にマネジメントの変革も求められる。勘と度胸、社長への一極集中を改め、戦略的経営、組織としての総合力を磨く必要がある。社長の変革こそがスタートラインと言える。成功への道はつまり、まず自社価値を高める方法を選び、次に自社に適したドリブンを見極める。そして成長へのマネジメント体制を築くことに尽きる。
- ――中小企業診断士としては顧客企業に10億宣言を勧めるのか
- 私は現実主義者なので、政府が「売り上げ10億円を是非とも目指して」「頑張って」と勧めるのだから、使えるなら使った方がいい。補助金などの巨大ニンジンを生かせるチャンスなのでつかみにいくべきだ。さらに、10億宣言で経営者の成長に対する本気度が可視化される。金融機関や支援機関は「本気で成長したい企業」と認識できる。選ばれる企業になれるわけで、新規取引先の開拓にもつながる。心機一転のつもりで使えばいい。
- ――だからこそ専門家の出番がやってくるわけだ
- 専門家の介在価値は経営者の熱意をシステムとして作り上げ、それを動かすハブになれること。まず各専門家が自分の切り口で顧客に勧める。入り口の財務分析(税理士)から、人事戦略(社会保険労務士)、出口の計画策定(中小企業診断士)まで専門家が連携して支援する体制をつくる。それが10億円企業創成支援研究会だ。金融機関が求めている「(融資の)妥当性の担保」を提供できる。
- ――同研究会への期待も大きいのでは
- 売り上げ10億円を目指す企業にとって成長がベストかを見極め、正しい成長エンジンを選び、マネジメント変革を伴走する。この一連の流れを体系的に支援するネットワークにより、ハードウェア(必要な期間・機能)とソフトウェア(しなやかな経営力)の両輪からアプローチする。野球選手に例えると、鍛え上げられた身体能力に、最高のパフォーマンスを発揮できる走り方、投げ方、打ち方を教えることで偉大な選手になれる。つまり稼ぐ力を高められるわけだ。
- ――どんな体制になるのか
- そのために必要な専門家を集めて、ワンストップサービスを受けられるようにする。コアメンバーは10~20人だが、全国ネットワーク化して1000~1万人体制で10億企業づくりを手伝う。ゆくゆくは金融機関とも連携して、真の成長企業エコシステムを構築したい。第一弾として東京商工会議所が主催して11月25、26日に東京ビッグサイトで開催するBtoB総合展示会「ビジネスチャンスEXPOinTOKYO」に出展する。
落藤 伸夫 (おちふじ・のぶお)
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 代表者
中小企業診断士事務所StrateCutions(ストラテキューションズ)、合同会社StrateCutionsHRD、事業性評価支援士協会、10億円企業創成支援研究会 代表
中小企業診断士・MBA
大学卒業後、中小企業信用保険公庫(現日本政策金融公庫)入庫。以後、主に信用保険業務(信用保証協会が中小企業の倒産等により代位弁済した案件の保険金審査)に従事
公庫総合研究所勤務及び信用保証協会出向の他、事業再生スキーム構築プロジェクトチーム 公庫代表も務める。
2014 退職/中小企業診断士として独立
2018 合同会社StrateCutionsHRDを設立、代表
2021 事業性評価支援士協会代表
2026 10億円企業創成支援研究会代表
公庫経験を活かして「中小企業が活躍できる仕組みを作れる支援者」を目指している。