株式会社 NGC 社長   チェラッパ・スリラム氏

中小企業のグローバル進出をサポート

日本企業のインド進出支援を中心に両国の橋渡し役を担うNGC(東京都豊島区)が事業を活発化させている。豊富な生産年齢人口を背景に高い経済成長が続くインドに対する日本企業の注目度は高まるばかりで、特に中小企業は新たな市場として熱視線を送る。ITエンジニアが多いことも人材不足に悩む企業にとって魅力的だ。チェラッパ・スリラム社長は「我々は柔軟に対応できるネットワークを持っており、日本企業のニーズにあわせてトータルサポートできる」と力強く話した。

――社名のNGCとは
Nihon Global Corporationの頭文字から取った。文字通り、日本とグローバル社会をつなぐ目的で2024年1月に立ち上げた。16年にインド南部の最大都市チェンナイに設立したNihon Global Gatewayの関連会社だ。メイン事業は日本企業のインド進出支援と、インドの高度人材を日本に送り込むための日本語教育支援だ。
――世界最大の人口を持つインドは魅力的だ
世界一の人口大国。しかも若者が多く中間所得層が拡大している。現状ではインドに進出する日本企業は1500社程度にすぎず、進出余地は大きい。最近はインドへの進出熱が高まっていると強く感じる。日本企業にとって東南アジアは近く、インドは遠いというイメージがあるが、実はタイから近い。しかもインドは中東やアフリカへの中継(輸出)基地になれる。今は大手企業が多いが、中小企業にとって進出価値は大きいといえる。
――どういうことか
日本企業、特に中小企業の中には高い技術力を持っているにもかかわらず、国内にとどまり海外に出ない企業は少なくない。こだわりが強い製品をつくりながら供給先を絞っているのは非常にもったいないことなので、インドに興味を持つなら進出を後押しする。インドに進出した日本メーカーの多くは、部品を100%インド国内で調達できず日本からの輸入に頼っている。日本にとどまっている部品メーカーはインドに出てくればいい。日本で認められるだけの技術力を持っているので、インドで新たな供給先を間違いなく確保できるはずだ。
――インド進出を考えている日本企業からどんな相談を受けているのか
「モノだけ輸出したいので現地代理店を紹介してほしい」「市場開拓に一緒に乗り出せるパートナーがほしい」「現地に工場を持ちたいので場所を探してほしい」「そのために人材も確保したい」など千差万別だ。こうした様々なニーズに合わせてトータルでサポートできるのが我々の強みだ。進出先を探していたメーカーには工業団地を紹介した。我々は工業団地のネットワークを持っており、運営が中央政府でも州政府でも民間でも紹介できる。工業団地ではない進出先を探すことも可能だ。
――インドは州によって政策や経済・労働規制などが大きく異なると聞くが
規制だけでなく、商習慣も異なる。このため我々のサポートも進出先によって変わってくるが、拠点を置くチェンナイのほか、全国規模でネットワークを築いており、困ったときの相談相手になれる。ビジネスに限らず、どんな困りごとでも対応できる。
――優秀なエンジニア人材も日本に送り込めるのか
理系大国・インドは若いエンジニア人材が豊富で、多くのグローバル企業から求められている。「CEOがインド最大の輸出品」といわれるほどだ。こうした中で日本企業が採用に当たり最大のハードルとなるのが日本語だ。インドの若者はアニメが好きで、しかも安全、時間に正確な日本行きを考える学生は多い。円安による給与安も気にならないという。そこで我々はチェンナイで50年の歴史がある日本語学校ABK AOTS TAMILNADU CENTERと連携し、日本語のみならず日本のビジネスマナーや文化・慣習なども教えている。
――高度エンジニア人材を求める日本企業にどんなサービスを提供できるのか
インドの理系人材が日本で活躍できるように採用活動から育成までワンストップで総合的にサポートしている。日本語教育はもちろん、日本企業で働くために必要な企業文化の理解を高める教育を行うことで採用後のミスマッチを防ぎ、職場や生活などでもスムーズになじめるようにサポートする。入社準備から入社後のメンタルケアやキャリア相談、生活相談、コミュニティーへの参加といった定着支援にも力を入れている。
――大学側も協力的なのか
大学側も学生を本気で日本に送り出したいので、卒業前に日本語教育を行って入社までに学ばせたり、日本企業がどんな人材を求めているかを伝えるプログラムを組んだりしている。こうした甲斐あって、25年は80人を2社に送り込んだ。入社までに必要なサポートを全面的に行うので、昨年10月に入社してから現在まで退職者はほぼゼロという。
――これから注力する分野は
日本企業のインド進出支援が最大テーマであることに変わりない。そのためのサポート内容を増やし充実させる。7月に入り日本の高市早苗首相とインドのモディ首相がニューデリーで会談し、経済連携の強化で一致した。日本企業による2兆円規模のインド投資も打ち出した。とてもいいパートナーシップを築けたと思う。日本には世界に誇る技術力、品質力、誠実なモノづくり文化がある。一方、インドには豊富な人材、成長市場、そして世界をリードするIT技術がある。我々の使命は、双方の強みを結び付け、新たな価値とビジネス機会を創出することだ。日本とインドの両国を知る我々の役割はそれだけ重要になると認識しており、期待に沿えるよう頑張る。
――日本企業のグローバル展開も支援していく
日本企業の進出先としてインドがベストと考えるが、インドをベースにグローバル展開をサポートする。チェンナイを拠点に、メキシコやドバイのビジネスパートナーとのネットワークも生かし、グローバル展開に対応できる体制を整えている。ビジネスで重要なのは信頼関係だ。どこに行くか、誰と会うかで成否が決まる。これこそが我々の強みといえる。「日本とインドをつなぎ、世界へ」。これからも国境を越えた信頼とネットワークを生かし、人と企業の可能性を広げる架け橋であり続ける。

チェラッパ・スリラム
NGC 社長

1971 年、インド・チェンナイ(旧マドラス)生まれ。

Madras University(マドラス大学)機械工学科を卒業後、ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。1994 年には南インドにおける日本語能力試験の優秀成績者として国際交流基金(Japan Foundation)の招聘を受け初来日。その後、海外産業人材育成協会(AOTS)の技術研修プログラムに参加し、日本語・IT 技術を学びながら日本企業での実務経験を積む。

以来 30 年以上にわたり、日本企業とインド企業をつなぐビジネスの最前線で活躍。ITソリューション、人材育成、人材支援、コンサルティング、ローカライゼーションサービスなど幅広い分野で実績を重ねてきた。

日本市場向け IT 企業の日本統括責任者として東京・大阪の拠点立ち上げを主導し、日本人とインド人によるグローバルチームを構築。さらに 2007 年には Nihon Technology を共同設立し、CEO & Executive Director としてインド・日本・ドイツに拠点を展開。日本企業の海外事業支援を通じて、国際企業へと成長させた。

現在は、Nihon Global Gateway および株式会社 NGC の代表として、日本とインドのビジネス連携を支援するとともに、市場調査、事業開発、人材支援、企業進出支援など幅広いコンサルティングサービスを提供している。また、ドイツ企業との合弁事業を通じて、バイオガス事業にも携わり、環境・エネルギー分野におけるプロジェクトも推進している。

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