株式会社ニューズドテック 代表取締役社長   粟津 浜一

ニューズドテックが上場 再生スマホの世界展開目指す

「温故知創でモバイルを次世代につなげる」を使命に掲げるニューズドテックは12月22日、東京証券取引所TOKYO PRO Marketに株式を上場した。初値は430円だった。午前10時からのセレモニーを終えて取材に応じた粟津浜一社長は「上場は世界展開のファーストステップ。中古端末を独自技術で再生して長く使ってもらうという文化を世界に広める」と意気込みを見せた。

――上場セレモニーの感想は
アッという間だったが、緊張した。体がこわばり、足が震えた。打鐘のときは身が引き締まる思いだった。うまく鳴らすことができ、いいスタートが切れた。社員約20人とパートや関係者約30人が参加。岐阜羽島のサプライチェーンセンターからも駆け付けた。「上場会社になった」ということでテンションも、今までにないほど上がっているように感じた。この勢いを今後の事業展開にうまく生かしたい。
――何が評価されたのか
「温故知創でモバイルを次世代につなげる」という使命の実現に向けてまっすぐに取り組む姿勢が評価されたと思っている。上場が認められたということは、我々が手掛けているビジネスに市場性・成長性があるということだ。我々は通常の「中古端末を仕入れて販売し廃棄する」ビジネスではなく、「仕入れて再生し販売・レンタル、さらに回収・再利用」という、いわば「モバイル端末を長く使い切る」循環型モデルを確立した。このビジネスモデルをやり続けることに徹する。それが成長につながる。
――ビジネスモデルに手応えを感じている
温故知創の精神、つまり我々の事業でいうと、中古端末を独自技術で再生して長く使うという文化、考え方を世界に発信していく。来たるべく宇宙の時代に備えるためでもある。世界のほうが中古端末のパーツを交換・修理し再生することで長く使うという技術と文化は進んでいる。しかし、我々は端末の健康診断アプリ「スマホカルテ」で状態を可視化できるという強みをもつ。劣化したバッテリーの交換や故障箇所の修理などを最適タイミングで行える。世界に先駆けて手掛けていくことで競争優位性を維持したい。
――足元の業績は
2025年4月期は、売り上げ22億6500万円、営業利益2100万円、最終利益800万円だった。26年4月期はそれぞれ25億7600万円(前年比14%増)、9000万円(4.3倍)、4200万円(5.2倍)と増収増益で過去最高の業績を見込む。
――中古スマホの市場動向は
新品の利用期間は平均すると4.4年と横ばいで推移している。02年は2年だったので、サイクルは2倍超も長期化した。買い替えのタイミングは動作の不具合で、バッテリー劣化が50%、画面の破損や故障が25%だ。これが我々のビジネスチャンスととらえた。健康診断アプリでいつでもどこでも簡単に測定できるからだ。例えばバッテリーの健康度は、使えば使うほど劣化する。目安となる80%に到達するとアラームが鳴って買い替えのタイミングであると知らせる。
――スマホの健康診断アプリは確かに強みだ。このほかには
我々が扱うのは中古端末ではなく再生端末と呼んでいる。端末の価値を「使い捨て」から「使い切る」に再定義したからだ。このため仕入れた端末を検品しデータ消去、クリーニング、バッテリー交換、研磨することであたかも新品同様の品質に再生する独自技術を確立した。これにより端末にセカンドライフ、サードライフを与えることができる。もう一つが差別化されたレンタルモデルだ。使っても使わなくても同じ料金を支払う定額制ではなく、使った分だけ支払う従量課金制を導入した。使わない人は安くなるのは理にかなっている。
――今後の展開は
スマホカルテのバージョンアップだ。今はスマホの現状の状態が分かるだけだが、将来は常時モニタリング(自動診断)できる仕組みを確立する。スマホは今や、日常の生活や仕事になくてはならないもので、急に壊れたりすると困る。例えばバッテリーの残量予測・劣化予測により最適な買い替え時期が分かり準備することで、使えない状態を防ぐことができる、我々にとって、スマホ買い替え時のボトルネックが解消でき、スマホ販売・レンタル台数の最大化が図れる。従量課金も法人向けパソコンレンタルの領域にも導入する。26年1月にも本格スタートの予定だ。今後はレンタルと従量課金が大きなビジネステーマになると思っており、戦略を練っていく。
――世界展開については
26年1月に米ラスベガスで開催されるテクノロジーの見本市「CES」に出展、「OMAMORIforSMARTPHONES(スマホのお守り)」と題して講演する予定だ。バッテリー劣化など将来を予測する可視化に特化してプレゼンする、これを機に国内から海外展開に本格的に挑む。

粟津 浜一(あわづ・はまかず)
株式会社ニューズドテック 代表取締役社長

筑波大大学院理工学研究科修士課程修了。2004年ブラザー工業入社。09年アワーズ(現ニューズドテック)を設立。

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