Jトラスト株式会社 グループ Nexus Card株式会社 代表取締役社長   本庄 浩一郎

ネクサスカード、在留外国人向けデポジット型カード発行 日本初のサービスで快適生活サポート

在留外国人や留学生が日本でより便利に暮らすにはクレジットカードが欠かせない。しかし、外国人は審査に通りにくいといわれる。カード会社にとって貸し倒れリスクが高いからだ。こうした中、Jトラストグループのなかでクレジットカード事業を担うNexus Card(ネクサスカード)は日本で唯一、在留外国人向けに保証金(デポジット)を預けることで利用限度額まで使えるデポジット型カードを発行する。外国人は使いすぎを防ぐことができ、同社はリスクを低減できる。本庄浩一郎社長は「デポジット型は審査に通りやすく、それだけ在留外国人の生活不便をなくせる。日本が外国人から選ばれるための社会貢献の一つといえる」と発行の意義を強調する。

――デポジット型を発行するクレジットカード会社は珍しいのでは
日本でデポジット型カードを発行しているのは5社。このうち在留外国人向けを扱っているのは当社だけで、2020年2月に「J TRUSTグローバルカード(現Nexus Global Card)」の名称で発行した。日本人向けカードは同年8月で、在留外国人向けのほうが早かった。デポジット型は銀行口座を開設していなくても、デポジットを支払うことで申し込めるという新しいタイプのカード。デポジットをクレジットライン(カード利用限度額)とするので、使いすぎる心配がない。カード会社にとって支払い遅れがあってもデポジットから補えるので、信用面で不安がある人も審査に通りやすい。
――だからデポジット型に目を付けた
クレジットカード発行では後発なので大手と競争しても勝てない。規模でいうと象とアリであり、差別化するにはニッチ分野を狙う必要があった。そこで在留外国人に着目した。クレジットカードは日本で、豊かで快適な生活を送るのに必要なインフラの一つ。そのカードが持てるようにデポジット型を開発・提供することにした。パイオニアとしてのプライドがあり、審査体制も他社より一日の長がある。在留外国人向けカードの先駆けとして歴史に名を残すつもりで事業を展開している。
――知名度は上昇しているのか
デポジット型の市場を創ってきたという自負はあるが、まだまだ知らない人が多い。しかし在留外国人は増えており、審査に通りやすいデポジット型の市場は拡大するとみている。実際、デポジット型の利便性が東京スター銀行の目に止まり、提携を持ちかけられた。取引先企業の外国人従業員を紹介してくれるということなので25年11月、カード会員紹介の業務委託契約を結んだ。熊本県に進出した台湾大手半導体企業とその関連企業の駐在員が対象。日々の決済手段としてのカードに加え、現地は車社会のため、他社にはないETCカード発行が最も魅力的という。稼働している第1工場に続き、第2工場も建設予定で駐在員は今後も増える。しかもエンジニア・技術者としてステイタスも高いので我々は安心してカードを発行できる。東京スター銀、半導体工場の駐在員、さらに我々もウイン・ウイン・ウインという本当にいい話をもらった。これを機に、他の地域金融機関や特定技能外国人などを雇っている工場を持つ大手メーカーから提携話が来ることを期待している。
――在留外国人は増えるばかりだ
25年6月末時点で396万人に達した。日本の労働人口が減る中で、日本経済は外国人に頼らざるを得ず、外国人誘致は地域経済の活発化にもつながる。とはいえ、円安で賃金が目減りしているほか、韓国など周辺国も人材不足から獲得競争が激しくなっている。このため、日本が選ばれる国になる施策、取り組みが必要だ。在留外国人の生活不便をなくせるデポジット型の発行もその一つと考えている。我々の経営理念である「健全なクレジット事業を通じて社会に貢献する」に通じる。
――審査に通りにくい日本人にも向いているのか
信用情報機関に支払いの延滞など金融事故の履歴が登録される、いわゆるブラックリストに載るとカード発行が難しくなる。しかし、信用面で不安がある人でもデポジット型なら使いすぎないので審査を通りやすいといえる。とはいえ成約率は50%(在留外国人は10%)だ。カードを保有できてから5年間程度かかるが、まじめに取引していけば「支払い能力に問題はない」と認められ“ホワイト”として信用を再構築できる。こうしたクレジットヒストリーを築くことで信用を回復できる。「ありがとう」と感謝の言葉をもらうこともある。ブラックリストから消えて大手カード会社に移る人もいるが、社会貢献と考えているので仕方ないと思っている。
――割賦ビジネスも展開している
割賦事業が主力で営業収益(売上高)の80~90%を占める。(Jトラストの藤澤信義社長がプライベート・カンパニーとして運営している)脱毛業界大手のクリアグループ(主なブランドは「メンズクリア」「ストラッシュ」)、ヴァージニアグループ(「レジーナクリニック」「フレイアクリニック」)の利用者向け割賦販売が好調で、数十万円の代金を我々が立て替え払いする割賦売掛取扱残高が増えている。
――業績にも貢献しているのか
22年6月にクリアグループの割賦取り扱いを始めてから業績が急拡大。営業収益は22年12月期の3億900万円から23年12月期は13億8400万円に増加、24年12月期は23億4400万円に膨らんだ。営業損益も22年12月期の1億6200万円の赤字から23年12月期は9300万円の黒字に転換し、24年12月期は5億2100万円に達した。25年3月からヴァージニアグループの割賦取り扱いも開始しており、さらに業績は伸びると見ている。脱毛は今や女性だけでなく男性、子供も行う時代で、市場はどんどん拡大。我々は大手2グループを押さえておりシェアを維持するだけでも残高は積み上がっていく。割賦事業と脱毛事業の連携がうまくいったといえる。

本庄浩一郎(ほんしょう・こういちろう)

1995年法政大経営卒。同年武富士入社。2012年Jトラスト入社。韓国のJT親愛貯蓄銀行副社長を経て23年ネクサスカード。25年4月社長。東京都出身。54歳。

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)とは?

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。