株式会社フリーウェイジャパン Jフロートプロジェクト プロジェクトリーダー   井上達也

「失われた40年」を打破せよ 日本ソフト産業、再浮上の狼煙

かつて世界を席巻したエレクトロニクス産業の陰で、ソフトウェア開発も独自の進化を遂げてきた。しかし、今や国際競争力のランキングは下降の一途をたどっている。気がつけば、我々の日常は海外製ソフトに囲まれ、日本の技術は「ガラパゴス」と揶揄されるまでになってしまった。長引く低迷を打破し、再び世界で勝負できる産業へと変革するため、「Jフロートプロジェクト」が始動する。同プロジェクトを率いる井上達也氏に、日本のソフト産業が抱える課題や展望について聞いた。

――日本のソフト産業の現状について
厳しい現実として、40年間にわたり日本のソフト産業は成長を止めてしまったと考えている。ゲームやアニメといった一部の分野は世界で高い評価を得ているが、全体としては「ガラパゴス」化が進んでいる。
――その背景は
日本語に特化したソフト開発の慣習が原因だ。国内向けに作られたソフトは、海外では通用しない。そのため、売れるか売れないかわからないソフト開発より、確実に儲かる受託開発に多くのプログラマーが投入される。結果として、日本のプログラマーは世界での成功を諦め、国内市場での「請負仕事」に甘んじてきた。
――ソフト産業が復活するために必要なことは
プログラマーがワクワクするようなソフトを開発しないと、業界に活気は生まれない。受託開発に終始する環境では、プログラマーは自らの発想力を発揮する機会を失い、単なる「作業員」に成り下がってしまう。この悪循環が、日本のソフト産業の停滞を招いている。
――世界に通用するソフトを開発するということか
我々が立ち上げるプロジェクトが目指すのは、「言葉の壁」を越えるソフトの開発だ。日本の企業や個人が、海外のデジタルサービスを使うために支払う金額は、年間6兆円を超えるという。この「デジタル赤字」を解消するためにも、海外で通用するソフトを開発する必要がある。言葉の壁を越えるものでないと、米グーグルやアマゾンのように世界で飛躍することはできない。会計ソフトや販売管理ソフトといった国内向けのサービスではなく、世界中の誰もが使える汎用的なものが求められている。例えば、表計算ソフトや画像処理ソフトのように、言葉を必要としないソフトだ。
――日本のソフト産業が世界で浮上するための課題は多い
最近ではAI(人工知能)が普及し、「もうプログラマーは要らない」といった話も聞くが、AIにできることはまだ限られている。AIは「当たり前」のものを作ることは得意でも、「当たり前ではない」ものを生み出すのは苦手だ。人間の発想力が必要不可欠といえる。Jフロートプロジェクトでは、発想力を育むために業界の垣根を越えたクリエイターたちが集まり、知恵を出し合える「場」を提供したいと考えている。その結果として、海外に通用するようなソフトが開発され、産業の活性化をもたらせばいいと考えている。
――Jフロートプロジェクトに期待ががかる
みんなが集まれば、何かが変わるはずだ。そう信じて、プロジェクトを立ち上げる。参加企業から資金を集めるのではなく、純粋に「知恵の結集」を目的とし、日本発のソフトを開発して世界に発信する機会を積極的に創出していく。停滞の時代をもう終わらせなければならない。日本のソフト産業が、再び世界から注目される『花火」を打ち上げる日は近い。

井上 達也(いのうえ・たつや)
Jフロートプロジェクト プロジェクトリーダー
株式会社フリーウェイジャパン 代表取締役

日本デジタル研究所を経て1991年に同社を設立。国内最大級の61万ユーザーを超えるクラウドシステムメーカーに成長。18歳からプログラムを製作。コンピュータ歴は46年を数える。

◯特許 バランスシートレンディング
◯著書 『起業を考えたら必ず読む本』『【決定版】小さな会社の社長の戦い方』(明日香出版社)他著書多数。

HP:Jフロートプロジェクト

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