株式会社uA  代表取締役   臼倉 斉史

美容師の独立を支援 世界に日本の美容・健康・文化を発信

「美容業界を変える」。こんな熱い思いからuA(ウーア)を立ち上げた臼倉斉史代表取締役。2016年8月に開業したtoC(消費者向け)のサロン事業では独立を目指す美容師をサポート。さらにtoB(企業向け)の美容サロン・エステ向けウェルネス事業で周辺分野を開拓するだけでなく、異分野といえる国際イベントの開催にも奮闘。美容師の活躍舞台を世界に広げると意気込む。

――「美容業界を変える」とは
美容師が働きやすい、言い換えると他業界に流れるのを防ぎたいと思い、ウーアを設立した。美容師として稼いでもオーナーに多くを吸いあげられたり、独立を邪魔されたりして先が見えなくなり辞めてしまう若者は少なくない。これでは業界は衰退しかねない。この先の自分の人生を描きやすくなる職場環境を作りたいと思った。
――確かに美容室の倒産が増えている。美容師のやりがいを高める必要がある
思い描くものは人それぞれであり、ゼロイチ(何もない0から1を生み出す=起業)が好きな人がいれば、イチジュウ(1を10に伸ばす=事業)が好きな人もいる。経営するサロンは東京・代官山と恵比寿にある。独立した美容師が集まっており、美容師は自分の好きな時に予約を受けつける完全フレックス制で働いている。開業初期から在籍するメンバーの1人は2カ月に10日ほど美容師として顧客の要望をかなえるために腕を振るい、 残りは沖縄で暮らす。代官山の店長は育児の傍らの隙間時間を活かして働いている。集客さえできれば働きやすいシステムであり、自分らしく働く第一歩となりうる。
――独立を目指す美容師を応援するため教育にも力を入れている
まずは教育。学びたくないけど稼ぎたい人には教えない。勉強を続けている美容師の売り上げは間違いなく増える。だから、その人に適したサポートを行う必要がある。このため、個々の美容師に真っ白い画用紙を渡して、そこに人生を描いてもらうのが私のやり方だ。方向性が一緒なら伴走する。イチジュウを目指すなら、私と美容師としてやっていける土台を築いてから、その上の建物、すなわち独立までのプランを自ら立てるのが望ましい。
――教育方針は
私は16歳で業界に入り「お店を持つ」という夢に向かって技術の習得に注力した。「美容師は技術がすべて」と思い込んでいたからだ。技術が認められて母校の日本美容専門学校で教えることになったが、技術を教えるだけでは生徒はついてこないことが分かった。自分本位で、相手を思いやるハートがなかったからだ。だから独立して若い美容師を応援するためウーアを立ち上げた。今は美容師にハートの重要性を教えながら、頑張る美容師を助け育てている。業界を変えるためだ。
――サロン経営を始めて10年になる
東京・代官山の1号店は10周年を迎えた。社名のウーアの「ウー」はYOU、「ア」はアルファベットの最初のA。つまり社名にはユーザーファーストの「あなたから始める」という意味を込めた。ちなみに小文字と大文字の組み合わせは直観で決めた。10年が経過して、当初の思いを残しながら、ユニバーサル・アライアンスのuA、つまり、異なる文化や専門性を持つ人々が持ち味を生かしながら調和し、新しい価値を生み出す。そんな世界を広げていく。
――これまでの取り組みに手応えを感じているということか
サロンでは顧客の要望に応えるためカウンセリングに時間をかけており、顧客が自分の意見・考えを整理したいときには施術しながら壁打ちの相手もする。こうしたコミュニケーション力が付加価値となり、顧客獲得と単価アップにつながっている。ウェルネス事業も好調だ。美容サロン・エステ経営者に、「反転美容」を実現する施術方法「AIRSERUM(エアセラム)」ブランドのオリジナル美容液や機械を販売している。反転美容とは若々しい髪や肌を求める美容のことで、歳を取らないように抵抗するアンチエイジングより進歩した概念といえる。肌から始まり、その奥まできれいにするのがエアセラムだ。
――世界を意識した事業とは
手先が器用で、ユーザーファーストの接客が得意な日本の美容師は世界で通用する。そんな思いから、新たな事業として海外戦略・国際イベントに乗り出す。その第一弾として来年5月に、親日国・アゼルバイジャンで「THE JAPAN ESSENCE GLOBAL EXPO 2026」を開催する。日本が育ててきた美意識や健康観、おもてなしの精神を体験と理解を通じて世界に発信するイベントだ。日本ブランドの価値を発信したい。
――イベントをその後の展開にどう生かす
EXPO 2026は日本の美容や健康、伝統、食文化を持つ企業が実際に「売れる国際市場」に向けて踏み出す最初のステージという位置づけだ。アゼルバイジャンを起点に、トルコやジョージア、ウズベキスタンなどへ日本の美容・健康・文化を広め、マーケティング機会やパートナーシップ形成、現地展開の足掛かりとして活用する。まさにユニバーサル・アライアンスだ。
――事業展開は中から外へと広がっている
確かに美容業界という中から業界の外へ、日本という中から世界という外へ向かっている。中と外を行ったり来たりしながら、螺旋階段を上るように成長するのが面白い。美容でいうと、外面が整えれば内面、つまり細胞やメンタル、健康も改善する。内面と外面はつながっているからで、外面を磨くことは内面を磨くことになり、内面を磨くことは外面を磨くことになる。人生は何かとつながればもっと面白くなる。つながることで何かを創りあげたい。

臼倉 斉史(うすくら ひとし)
株式会社uA 代表取締役

2007年より日本美容専門学校 教務部に勤務し、美容実習・美容技術理論の指導に従事。新人スタッフへの技術指導や専門知識教育にも携わる。

2009年にはVIDAL SASSOON TEACHERS TRAINING(ロンドン・日本)にて、美容インストラクターとしての指導技術と理論を習得。

2014年、パーソナルスタイリストジャパン卒業。

2015年、APHCA主催「アジア環太平洋ヘア&メイク オリンピック」クリエイティブヘアカラー部門で優勝。

2016年、株式会社uAを設立し、代官山にヘアサロン「Hair Make il」をオープン。

2017・2018年には「Asia International Collection」にてクリエイティブディレクターを務める。

2023年、恵比寿にリバースエイジングサロン「RASS」を設立し、反転美容®・AirSerum®事業を始動。

2024年より国内外で美容講習活動を展開。

2025年、「THE JAPAN ESSENCE GLOBAL EXPO 2026」主催・実行委員会委員長を務めると共に、「2026 Miss SAKE Azerbaijan」ブランドパートナーに就任。
さらに、Universal Alliance MMC(アゼルバイジャン法人)を設立。

著書:プロのため「細胞」と「美容」入門 〜次世代の美容室・鍼灸院・エステサロンが押さえておきたいこと〜

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